DRP(損保指定工場)衰退のきざしか?
DRPとはダイレクトリペアプログラムの略だそうだが、意味的は直需を指すのだろう。ところで、板金塗装業とは、昔からだが下請け体質が強い業種と云われてきた。そういう中で、1995年前後から、このDRPという言葉と、損保の指定工場ということが俄に業界に衝撃を与えたと思える。
そもそも、この1995年前後は、バブル崩壊の影響があらゆる業種に影響を与えつつ、景況感は低下しつつあった時代だ。そんな中、もう一つ、一部ディーラーは始めていたが、広くディーラー自身が自己の向上で板金塗装を行うという、業界内で云うところの内製化が全国で拡大し始めたのだった。
損保の指定工場とディーラーの内製化だが、比較的業容の大きい板金塗装業にとっては、危機感を持つのは当然のことで、大きな業容の板金塗装工場ほど、損保指定工場になる事例は以後増えて行ったと思える。ところが、本ブログ6/6付けで記した既存の指定工場を辞めるもしくはその検討をしているという情報を伝え聞いている。おそらく、この動きはこの近隣だけのものではなく、既存の指定工場の多くが迷っているのかもしれない。
指定工場流動化現象のウワサ
2023-06-06 | コラム
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/896447d727999e49e226764d7f97229b
このことは、NetでDRPネットワークという組織の入庫誘導台数の2018年、2019年の対前年件数の減少にも現れているのではないのかと思いつつ眺めるのだ。
ところで、ディーラー内製化だが、往時は次々と内製工場を各ブロックに配置し、内製化率を上げてきたという経緯を示すのだが、この10年以内でやや縮小する動きが出てていることに気づいている方は多いと思える。つまり、最高に内製率が高かった時でも、特別な事例もあるのだろうが、決して内製率は100%に達しなかったし、比較的大手の板金塗装業では、従来と同様複数のディーラー下請けを中心に業務展開をしている工場はあるのだ。そこで、ここでは、ディーラー下請けと損保下請けで、どんなデメリットや逆のメリットがあるのか、私見を含め以下に列記してみたい。
➀ディーラー下請けでは、昔に比べレス率は上がる傾向を示してきた。従来30%レスが、今では40%レスが多くなっている様だ。
②ただし、ディーラー下請けでは、部品は総て支給となるので、月末清算、翌月末払いとかの部品代の運転資金に窮する心配はない。自動車板金だが、保険料率算定機構が集計する損保の車・物修理費の集計では、車両で約30万、対物で約26万(共に代車とか消費税除く純修理費)の様だが、このおよそ50%ちょっとが部品代でしかも、この業種の変わったところかもしれないが、価格の値崩れはなくほぼ定価販売できるが、ディーラー以外の一般工場は、利幅が10%程しかない場合が多い。
③ディーラー仕事を嫌う板金屋さんの声も聞くが、確かに厳しい品質を要求するのがディーラーではあると思う。しかし、損保指定工場で入庫誘導された場合でも、ユーザーによっては、あまりに理不尽と思える過剰な要求が出てくる場合もあり得る。この場合、損保は何も諫めちゃくれないだろう。ディーラーの場合は、厳しい要求を突き付けはするが、このような理不尽な要求を下請け板金業に廻す事例はおよそ少ないだろう。それは、互いにプロとしての良識を持っているからに他ならない。
④損保指定工場の場合、指数を使うことはもちろん、単価も損保と協定した価格で行うことになる。代車も無料でサービスすることが原則となる。当然、理不尽と思える、産業廃棄物処理費用の要求もできない。
⑤損保指定工場の場合は、引き換えに保険の契約をということになるのだろうが、一般の修理屋さんでは、任意保険の大きな収保は期待しておらず、自賠責保険の程度だろう。対ディーラーの場合で、新車の購入とか保険商品の購入とか云われる場合もあるのだろうが、そこは受注量とか品質と絡めて、そういう問題はほとんどないという板金工場も多くと思える。
さて、1995年から2005年の10年間で、比較的規模の大きな板金塗装業は、ディーラーの下請けを続けつつ損保の指定工場にも加入しつつ事業運営して来たと思える。
ところが、最近記した情報でも日車協連が30年ぶりに損保と団体交渉を進めるということを記したが、この1995年から現在まで、つまりこの30年間で日車協の組織率は大幅に下がっている様に想像できる。このことは、私の住む静岡県では、昨年脱退が行われたし、それ以前に広島とか幾つかの県で車体協会がないということがある。また、車体協会は残るが、加入工場が減って来たと云うことはもちろんあるだろう。
このことの責任は日車協連本部だけにある訳でなく、先に記した様に1995年頃を起点とした、景況感が不透明さを深める中、ディーラーの内製化の上昇と損保の指定工場への動きの中で、損保と争うだけムダという思いを経営者に生じたからに違いないからと思える。そんな経営者の思いを書き記した文書を添付するが、この行間には赤裸々な経営者のジレンマが感じられる。
ただ、私は信じたいのだが、幾ら資本主義自由経済でと云っても、一方通行は独裁と云うことでしょう。民主主義とは、双方がつばぜり合いのケンカをするのを良しとするのではなく、対等に話し合い論理的かつ合理的な解決を目指すべきであることだろう。
まとめ
そういう中で、今この時、DRPと云う直需を増やす思考はともかくとして、損保の指定工場と縁切りする工場が表出しているのかと云うのが、本文書の核心となる想定となる。それは、諸物価高騰、先の見えない更なる景況感の悪化、政治の不審や堕落、ビックモーター事件に見る損保への不信、そういう事象が基底にあって、もの申す(対等に話し合う)タイミング、つまり元の立ち位置に立ち返ることの必然性と、正に今がそのターニングポイントというべきか、諸情勢が変えるべきチャンスの位置にいることを意識せざるを得ないと明示している様に思える。
DRPとはダイレクトリペアプログラムの略だそうだが、意味的は直需を指すのだろう。ところで、板金塗装業とは、昔からだが下請け体質が強い業種と云われてきた。そういう中で、1995年前後から、このDRPという言葉と、損保の指定工場ということが俄に業界に衝撃を与えたと思える。
そもそも、この1995年前後は、バブル崩壊の影響があらゆる業種に影響を与えつつ、景況感は低下しつつあった時代だ。そんな中、もう一つ、一部ディーラーは始めていたが、広くディーラー自身が自己の向上で板金塗装を行うという、業界内で云うところの内製化が全国で拡大し始めたのだった。
損保の指定工場とディーラーの内製化だが、比較的業容の大きい板金塗装業にとっては、危機感を持つのは当然のことで、大きな業容の板金塗装工場ほど、損保指定工場になる事例は以後増えて行ったと思える。ところが、本ブログ6/6付けで記した既存の指定工場を辞めるもしくはその検討をしているという情報を伝え聞いている。おそらく、この動きはこの近隣だけのものではなく、既存の指定工場の多くが迷っているのかもしれない。
指定工場流動化現象のウワサ
2023-06-06 | コラム
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/896447d727999e49e226764d7f97229b
このことは、NetでDRPネットワークという組織の入庫誘導台数の2018年、2019年の対前年件数の減少にも現れているのではないのかと思いつつ眺めるのだ。
ところで、ディーラー内製化だが、往時は次々と内製工場を各ブロックに配置し、内製化率を上げてきたという経緯を示すのだが、この10年以内でやや縮小する動きが出てていることに気づいている方は多いと思える。つまり、最高に内製率が高かった時でも、特別な事例もあるのだろうが、決して内製率は100%に達しなかったし、比較的大手の板金塗装業では、従来と同様複数のディーラー下請けを中心に業務展開をしている工場はあるのだ。そこで、ここでは、ディーラー下請けと損保下請けで、どんなデメリットや逆のメリットがあるのか、私見を含め以下に列記してみたい。
➀ディーラー下請けでは、昔に比べレス率は上がる傾向を示してきた。従来30%レスが、今では40%レスが多くなっている様だ。
②ただし、ディーラー下請けでは、部品は総て支給となるので、月末清算、翌月末払いとかの部品代の運転資金に窮する心配はない。自動車板金だが、保険料率算定機構が集計する損保の車・物修理費の集計では、車両で約30万、対物で約26万(共に代車とか消費税除く純修理費)の様だが、このおよそ50%ちょっとが部品代でしかも、この業種の変わったところかもしれないが、価格の値崩れはなくほぼ定価販売できるが、ディーラー以外の一般工場は、利幅が10%程しかない場合が多い。
③ディーラー仕事を嫌う板金屋さんの声も聞くが、確かに厳しい品質を要求するのがディーラーではあると思う。しかし、損保指定工場で入庫誘導された場合でも、ユーザーによっては、あまりに理不尽と思える過剰な要求が出てくる場合もあり得る。この場合、損保は何も諫めちゃくれないだろう。ディーラーの場合は、厳しい要求を突き付けはするが、このような理不尽な要求を下請け板金業に廻す事例はおよそ少ないだろう。それは、互いにプロとしての良識を持っているからに他ならない。
④損保指定工場の場合、指数を使うことはもちろん、単価も損保と協定した価格で行うことになる。代車も無料でサービスすることが原則となる。当然、理不尽と思える、産業廃棄物処理費用の要求もできない。
⑤損保指定工場の場合は、引き換えに保険の契約をということになるのだろうが、一般の修理屋さんでは、任意保険の大きな収保は期待しておらず、自賠責保険の程度だろう。対ディーラーの場合で、新車の購入とか保険商品の購入とか云われる場合もあるのだろうが、そこは受注量とか品質と絡めて、そういう問題はほとんどないという板金工場も多くと思える。
さて、1995年から2005年の10年間で、比較的規模の大きな板金塗装業は、ディーラーの下請けを続けつつ損保の指定工場にも加入しつつ事業運営して来たと思える。
ところが、最近記した情報でも日車協連が30年ぶりに損保と団体交渉を進めるということを記したが、この1995年から現在まで、つまりこの30年間で日車協の組織率は大幅に下がっている様に想像できる。このことは、私の住む静岡県では、昨年脱退が行われたし、それ以前に広島とか幾つかの県で車体協会がないということがある。また、車体協会は残るが、加入工場が減って来たと云うことはもちろんあるだろう。
このことの責任は日車協連本部だけにある訳でなく、先に記した様に1995年頃を起点とした、景況感が不透明さを深める中、ディーラーの内製化の上昇と損保の指定工場への動きの中で、損保と争うだけムダという思いを経営者に生じたからに違いないからと思える。そんな経営者の思いを書き記した文書を添付するが、この行間には赤裸々な経営者のジレンマが感じられる。
ただ、私は信じたいのだが、幾ら資本主義自由経済でと云っても、一方通行は独裁と云うことでしょう。民主主義とは、双方がつばぜり合いのケンカをするのを良しとするのではなく、対等に話し合い論理的かつ合理的な解決を目指すべきであることだろう。
まとめ
そういう中で、今この時、DRPと云う直需を増やす思考はともかくとして、損保の指定工場と縁切りする工場が表出しているのかと云うのが、本文書の核心となる想定となる。それは、諸物価高騰、先の見えない更なる景況感の悪化、政治の不審や堕落、ビックモーター事件に見る損保への不信、そういう事象が基底にあって、もの申す(対等に話し合う)タイミング、つまり元の立ち位置に立ち返ることの必然性と、正に今がそのターニングポイントというべきか、諸情勢が変えるべきチャンスの位置にいることを意識せざるを得ないと明示している様に思える。