私の思いと技術的覚え書き

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指数の話し・値の妥当性疑問

2024-03-07 | 問題提起
指数の話し・値の妥当性疑問
 3/6日刊自動車新聞にて、工賃単価を引き上げに諸軟性をなどと車体製車事業者との関係系に単価改定に服務を持たせた声か出ていた。今回登場する案は、「参考指標公金単価を柔軟性を・・・」、「車体事業者が損保への直情わずかに2割・・・」という申して結果だった。


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独占禁止法と損保の歴史
2022-04-21 | コラム
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/ef14088fd9ad6012c19a612aa55a2e9d

指数の疑問 その9【米ミッチェル工数との対比考察】
2022-06-09 | 問題提起
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/104b2b3dff5caa97b250efc1580aaf76

 本件の指数や工数などについての批判をどう思うかを、この自動車整備業など業界関連に詳しい元工業系新聞記者だった方に意見を質したことがある。この際の返答は、「それはなかなか難しいと思うね。工数なり標準時間の策定に関わる学者というのが過去様々な論文なり書籍を発表していて、それぞれ一定確立されたものがあるから」という様なものだった。
 それでは、そういう学者の本を読んでみるかと心当たりをたぐり、「作業研究/並木高矣ら・1970/12」を入手し読み込んで、以下の記述をした。

指数の疑問 その3【標準時間は少量小口生産には不確実性を内在する】
2022-04-29 | 問題提起
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/e5cad7275a2e8cb07d08bef51e54597a

 つまり、この「時間研究」からは、工業生産における工数など標準時間に相当する妥当性の扱いは、マスプロダクションとしての同じ作業を繰り返すことが前提とされていることが理解できる。つまり、修理だとか板金という作業実態としては、同じ車両の同一部位を繰り返し作業をし続けることは、いささかもあり得ず、作業観測から得たという基表値を策定したと云うが、何処までそれが妥当性を持つのか、ますます疑念は高まるところなのだ。

 また、指数は準備+正味+余裕の区分というところは、この書籍でも記されているが、そもそも流れ作業とかの場面を想像して欲しい。つまり、イメージしやすいのは、車両製造における艤装ラインのベルトコンベア上での風景だ。艤装ラインでは、ベルトコンベアが、微速で動いているが、各セクション(タクト)での作業は、それぞれ60秒なのか120秒程度なのかで完了し、次に流れてきた車両で同じことを繰り返すのだ。この場合、まずコンベアの起動前に、必用工具や必用部品を整えるなどの準備時間がある。その後、コンベアが動き出しラインのそれぞれ担当者が、受け持ちのタクト(作業)を繰り返し続ける。この場合、各担当者が受け持ちタクトを過不足なく完遂できることを極限まで追求して揃えることで、ラインの生産効率は高まることが想像できる。このことを知ると、こういうマスプロダクションの思想を、自動車整備とか板金作業に関わる工数に流用することの疑問を感じてしまうところだ。

 先のリンクの【標準時間は少量小口生産には不確実性を内在する】内でも、本の著者は記しているが、10個以下の個別生産では、作業(時間)は不安定にならざるを得ないとあり、不安定な作業(時間)を標準化しても不経済だとしている。そこでは、(観測集計的なではなく)経験的な、見積時間として求めるべきだろうという主旨のことが記されている。

 なお、指数の値が疑問という意見は、触れ合うBP業の方から、次の様な意見がある。
 いわゆる衝突安全ボデーになって以降、指数値の乖離がますます大きくなったなった様に感じるというものだ。つまり、これは主に溶接系パネルを対象にしていると思えるが、パネル鋼板に高張力鋼が採用され、切削性が難易度、パネル合わせ枚数増加、位置(チリ、寸法)合わせの難易度などが、それぞれ高じていることからと想像できる。
 一方、拙人自身の想像においても、外板パネルなど、いわゆるボルト系パネルの脱着もしくは取替においても、ボルトは少なくなったが、いわゆるクリップだとか、差し込み、嵌合とかいう組付け法が増えている。そして、その修理書を見ても、細かい差し込み嵌合の解説などはなく、外す時など、どの方向へ引いたら良いのか?と、その要領を試行錯誤する場面が増えているのではないか。それと、指数は装着相手部位が正常とされている前提だが、幾ら相手部位が正常であっても、チリが昔より狭く、しかもチリ合わせ面が、3次元的に変化する様なパネル端部形状のパーツが増え、実作業時間との乖離が広がっているのではないかと懸念を持っている。

まとめ
 何れにしても、現行の指数値は様々な不透明さを持っている。このことを指数策定者である、自研センターにたずねると、「指数は自研センターの値で、これを使う使わないは自由だ」と述べる。一方、それを実運用する保険会社は、確かな基準値と信じているが如く、指数を無視すると、場合によっては協定できませんと案件を塩漬けにされるということがある。しかも、この指数の根拠とか妥当性に話しが及ぶと、自研センターが種々妥当性を検討して作っています程度で、その中身はまったく説明できない(自研センターは指数の中身たる根拠を損保含む外部に開示していない)ということなのだ。
 この様な不透明さを感じる中、指数値とは科学的な値であると説明されるが、その科学性の根拠のないまま、修理料金を決定する大きな要素になることに、異議を感じない者がいるのだろうか。世の決定事項は、法令の基で国家・行政・司法などの機関であれば、一方的な判断というのも一種の公権力として付与されあり得るが、それとて異議申し立てもしくは求釈明を要求する権利を請求人としては持つのだ。それが、本来できない決定事項が繰り返されているのは、討議、交渉、妥協の原理を前提とする自由主義および民主主義の国で続いているのを異常な事態だと感じないのだろうか。


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