私の思いと技術的覚え書き

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ベンチマークのこと

2016-10-12 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 ベンチマークとは、ある基準点を定め、比較検討するために使われる言葉である。クルマの場合であれば、同等他車種の市場評価が高いクルマや自社の従来車をベンチマークにして、新型車の開発を行うなどよく行われているのだろう。

 例えば、VWゴルフ1は、FFジアコーサドライブの完成型として非常に高い諸性能と市場評価を受けた訳だが、世界中の同クラスFF車を作るメーカーに与えたショックは大きなものだったと思える。爾来、ゴルフは同級FFのベンチマークとして、各メーカーは意識して来たはずである。しかし、私見であるが、ゴルフも5までは、如何にもVWたるものが感じられたが、6以降は、大幅にベンチマーク足り得る諸要素が希薄化してしまったのではと感じている。

 類似の問題で、初代セルシオ(初代レクサスLS:UCF11型)が世界中の高級セダンを作るメーカーに与えたショックも大きなものだったと思える。4L・V8の出力特性と4AT+ロックアップ付きの効率しかり、高い車体剛性と良好なスタビリティ、そしてNVHの高次な性能は時代の水準を突き抜けていた。しかも、ベンツやBMWを遥かに下回る販売価格には、これらメーカーに与えたインパクトは大きなものだっただろう。爾来、世界中のクルマメーカーが日本型(というよりトヨタ型)の生産システムを真似る様になり、面白くないクルマが増える一つの要因となったとも思えるが・・・。

 BMWの7シリーズ740i(E65)は、6カ月ほど乗り続けたことがあるが、これはBMWじゃないし、ドライバースカーでもないと感じ続けた。それは、でか過ぎる車体による取り回しの悪さや、大き過ぎるステアリングなど、幾つも思い浮かぶが、このV8はバルブトロニック(可変吸気弁)も付くし、ダブルVANOSも付き、同排気量でも初代レクサスLSより、より大きな出力と中低速性能を持ったエンジンだ。確かに素早く高回転まで噴きあがるイナーシャの小ささなど、優れたものを感じるが、振動および静粛性、そして燃費性能では到底LSに及ぶものでないと感じる。

 舶来崇拝主義のつもりも国産優位主義のつもりもないが、個性のない国産にあきあきしているクルマ好きとしては、多少故障率や信頼性が劣っても、独自のアイディンティティが保持する輸入車への関心は薄れない。クルマも世界競争としての一商品だから止むないのだろうが、あまりにも生産性や効率重視だけを突き詰めること(つまりトヨタ型)は、ブランド失墜への道を辿ると思える。




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