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デジタルとは その3 フリップフロップのこと

2022-01-29 | 技術系情報
デジタルとは その3 フリップフロップのこと
 筆者はコンピューターの専門家ではないが、コンピューターの心臓部となるCPU(現在はマイクロプロセッサーを使用することからMPUと呼ばれることが多い)の基本動作は、基本は2進数を要素としたデジタル回路で、四則演算とか2値を前提とした条件判断など各種限定された用途動作しかできない。これを命令セットとか呼んでいる様だが、各種ソフトウェアでは、この命令セットを駆使して組み合わせたり繰り返したりする順序(これをアルゴリズムと呼ぶ)で様々な処理を行っている。


 コンピューターの根源的な基本処理は、1bitづつ順繰りに四則演算とか行うのだが、これを同時に32bitとか64bitで行うことで、桁数の多い計算とかより複雑な条件判断が行えると考えてよいだろう。この1bit単位の計算は、ANDとかORとかいう論理回路を組み合わせたもので行えるが、これはMPUの中に回路としても組み込まれているし、プログラムの中で記述することも可能だ。
 ところで、このプログラムを順序正しく行うのもそうだが、計算過程で桁上がりするので、その桁上がり値を一時的に記憶する装置をレジスタと呼んでいるが、この基本原理がフリップフロップ(通称FFと呼ぶ)という回路で、これも論理回路を複数組み合わせて作っている様だ。つまり、通常の論理回路は、その入力信号値がある瞬間だけ出力するが、入力値が変化すると出力値が維持できないので、一時記憶するためにレジスタという記憶装置が必須だが、この回路をFFで行っていると考えればよいだろう。


 と云うことでフリップフロップという記憶する回路は、MPUに限らずデジタル論理回路とかカウンター回路には必須の概念なのだ。この一時記憶することを、ラッチすると表現することも多い様だ。なお、このラッチは、クロックの立ち上がりで動作するものと、立ち下がりで動作するもの(共にエッジトリガーと呼ぶ)がある。

 ところで、筆者は40年前はトヨタサービスの整備士だったのだが、当時初代ソアラ(Z10系)で初めてデジタルスピードメーター(速度値を7セグメント緑色蛍光数値表示管[現在だとLCD])で表示するものだが、この原理はスピードメーターケーブル(当時は未だTMアウトプットシャフトのドリブンギヤからメーターまでの機械的ケーブルがあった)の回転を、メーター内のパルス発生器で検出する仕組みとなっていた。現在なら、4輪各輪にABS用のパルス発生器が装備されており、これを利用してスピードメーターも、動かしているのだが・・・。

 この動作原理としては以下の様な概念だ。

 まず、パルス発生器のシャフト1回転の発生するパルス数(デジタルの1もしくは0のこと)が40回(40bit)だと仮定してみよう。このパルス数がある時間単位で60回をカウントしたとき、メーターの表示値(カウント値)を60と表示させたいとすると、添付図のブロックダイヤグラムに示す様な、2つの信号で、カウンター回路(IC化されたチップが様々ある)でカウントすることで計測表示できることになる。
 これは、MPUを使用した高度なものでもなく、単なるデジタル回路だ。ただ、この時、単位時間のパルス間隔(サンプリングタイム)が短いと、表示値の1の位が頻繁に変わりすぎて視認性が悪くなるので、もう一つ別のラッチ用パルスを作ってやることで、これと組み合わせることで例えば0.5秒毎に表示が変わる表示回路とすることができる。このサンプリング間隔で、表示値を維持(記憶)することをラッチすると当時も表現していたものだ。


 この例の様に、サンプリングタイムの立ち上がりもしくは立ち下がりで逆転させることで、それまでの値を保持すると共に、基準パルスを逓倍させ周波数を上げたり逆に下げたりすることができるのもFFの回路の良さだ。
 また、これはデジタル回路とは異なるが、これは昔の無線機等でチャンネル毎に基準となる周波数の水晶振動子が必用であったが、現在は1つの水晶振動子で、様々な同期周波数を作れる技術が、PLL(フェーズ・ロック・ループ)という技術が当たり前になっている。最近は、これに加えて、音声や画像を含む信号処理にデジタル技術で加工を施し、画質や音質を変えたりする技術がDSP(デジタルシグナルプロセッサー)で、様々な対応MPUが開発されている。
 このDSP技術は、ADAS(先進安全システム)に従来から使用されていたミリ波レーダーとか最近使用されだしたLiDAR(ライダー)というレーザーをスキャン走査する中でDSPと組み合わせ、単に距離を測るだけでなく方向(左右、上下の俯角)まで検出できる様になっているそうだ。

※フリップフロップ(英語)の語源としては深い意味でなく、日本語で云えばペッタンパッタンとかを表す擬音から来ているそうだ。それが転じて、意見をコロコロ変える者や出来事を当てはめる言い回しに使われるそうだ。

【関連過去記事】
機械式アナログスピードメーターのこと(637rpm判る?)
2019-10-18 | 車両修理関連
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/f791d368d28afcc4ab1a1c7f62282284


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