私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

およそ世間一般に知られていない関生事件

2023-02-16 | 問題提起
およそ世間一般に知られていない関生事件
 2年程前から、関西地区を中心に行われている司法を中心とした労働組合弾圧事件たる、いわゆる関生事件のことを知りつつ、これが現下日本の行き詰まりの一つの大きな要素としての動きだと意識して来た。そこで、特に関西地区の知り合いと話しをする都度、「関生事件知ってるか?」と質すが、ほとんど知られていないことに唖然とする。

 ここで云う関生とは関西生コンのことで、正式には関西地区生コン支部労働組合という産業別組合のことを指す。この産業別組合とは、多くの組合運動では、単一企業の従業員で構成され、その地位保全を目的として企業経営人と対峙する形態が多いが、産業別組合とは多数の類似別企業に就労している組合員を束ねるものだ。つまり、関生とは、その名の通り、各組合員は、多くはコンクリートミキサー車の運転を業とする、就労者やミキサー車と運転手で様々な建設工事に伴う生コン製造企業に請負で雇われる一人親方といえる者達を束ねているという組合なのだ。

 この関生事件とは、この産業別組合が、過去から警察、検察、裁判所から、労働組合法で認められるべき権利を、弾圧もしくは迫害されてきた事件を指すのだ。

 ところで、日本国憲法28条では、労働者の権利として、「団結権」「団体交渉権」「団体行動権」といった3つの権利を認めています。これらをまとめて、労働三権と呼ぶ。そして、日本には、労働者を守る様々な法律があるが、その中でも基本となるものが「労働基準法」「労働組合法」「労働関係調整法」で、これら3つの法律を、「労働三法」と呼ぶ。

労働3法
➀労働基準法:労働時間、賃金の支払い、休日など労働条件の最低基準を定めた法律
②労働組合法:労働者が労働組合をつくり、会社と話し合いができることなどを保障した法律
➂労働関係調整法:労働者と使用者の間で生じる争いごとの予防・解決を目的とした法律

 今回の関生弾圧では、例えば組合として会社とスト権を前提として、話し合いとか交渉権を持つのだが、警察および検察は労働組合法などで、スト権とか交渉権を持つ労働組合の権利を除外し、刑法の職場放棄とか強要罪を適用ししつつ起訴し裁判官判事はそれを追認し罪刑を確定させるということを繰り返して来た。そして、警察とか検察は、個別組合員に、組合を脱退することを条件に罪を軽減することをほのめかしてきたという、いわば組合潰しの動きを総称するものだ。

 ところで、関生が生まれたのは1970年代頃の、高度経済成長期だが、日本は高成長していたのだが、そのしわ寄せはコンクリート構造物で云えば、セメントを作る大企業とかゼネコンと云われる大建設会社を頂点として、その下層に何十ものレイヤーを重ねた、土建会社、生コン製造業社、生コン運送業者などが存在する。そういう中で、生コン価格の過当競争から俗にシャブコンと呼ばれた、過剰の水で薄めコンクリート成分が少ない生コンが使用されて建築物が製造された結果として、1995年初頭に起きた関西震災において、甚大なコンクリート構造物の破壊が起きたという極めて重大な説がある。このことは学問的に立証はなされていないが、私見としてはかなりあり得そうな話しだと感じている。

 ところで、日本の過去の国鉄民営化されたのが1987年の中曽根の時代だ。これも、国鉄の累積債務という定説であるが、国鉄内に幾つかあった労働組合潰しが主目的であったという説がある。この国鉄民営化およびその後のバブル崩壊と共に、日本の労働組合運動は下火となり、挙げ句の果ては小泉時代の労働者派遣業の拡大により、一気に労働者の分断と労働運動はなきに等しくされた。現下10年、安倍が首相、麻生が副首相だった訳だが、麻生は麻生炭鉱、麻生セメントのどら息子、安倍の(親父の)地元山口は、宇部セメント、トクヤマセメントの大拠点だ。この辺りの関係性を考えると、今回の関生労組弾圧は、権力者(政治家と大企業経営者)により仕掛けられたものであることは確かだろう。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。