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 私の思いと技術的覚え書き

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損害賠償および債権・債務者間の立証責任

2022-05-08 | コラム
損害賠償および債権・債務者間の立証責任
 このことは民法上の基本要素なのだが、保険会社も保険契約者も、よく理解していないことなので、整理しておきたい。

1.民法上の損害賠償としての立証義務
 民法上で不法行為を受けた者は損害賠償できることになっているが、その損害賠償の立証義務は被害者側にあると云うことだ。多くの保険会社が絡んだ賠償保険の取り扱いについては、保険会社が先回りして、これこれの賠償金になりますよと提示する場合が多いが、それを無視して独自の請求を行いたい場合は、その立証責任は被害者にあると云うことなのだ。このことは、保険会社の担当者も知っておく必用があり、あまりにかけ離れた損害賠償の請求を行う被害者には、その証明はあなたがしなければなりませんよと突き放すことも知っておく必用がある。

 もちろん、この立証だが、確実な証拠でもあれば結構なのだが、あやふやだとか主観が相当に含まれるとなれば、それは違うんでないのと反論を受けたり、訴訟の場で第三者の裁定を受けようということになる。

2.債権・債務者間の立証責任
 債権、債務者と云えば金員に関することが主になるが、これを契約関係と置き換えても同様との理念で良かろう。つまり、保険会社は、契約期間の様々な約款条件で、対象事故が起きたとき債権者(契約者)に対する債務者(保険会社)の立場になる。この場合、立証責任は債務者側にあるので、保険会社が払わないと結論付けるなら、こういう理由で払えないという立証を求められるのだ。

 関連して、昨今耳に入る保険事故の扱いで、新車購入して半年とか1年で、車両火災で燃えたが、原因が良く判らず保険会社が払ったという事例を耳にするが、アホな保険会社がいるなと思っている。新車メーカーは、新車保証(下記の様な区分)が設定されている。この新車保障の契約では、債務者が車両メーカーで、債権者は車両所有者もしくは使用者となろう。

 ここで、新車購入後、原因不明で車両火災が生じたとしたら、車両保険の対象にはなるのだが、保険を使うことは次回更新時に保険料の値上げのデメリットもあり、まずはメーカーに請求を起こすべきだろう。それについて、メーカーは払わないなら、それなりの調査をして、こういう理由で払えませんと説明すべき義務を負うのだ。そのことを知らない保険会社担当者が居ること自体が信じられない思いとして聞くのだ。なお、保険金支払い後も代位求償権を持つのでメーカーに求償はできるのだが、保険会社とメーカー間では、圧倒的に情報格差があり、なかなか求償は巧く行かないケースが多かろう。また、国内損保などはm該当ディーラーと代理店関係でもあれば、そんな求償行為自体がためらわれてしまうだろう。

新車の保障制度
➀一般保証 3年または6万キロ何れか早い方
 消耗品を除くほとんどの部品が対象になる。

②特別補償 5年または10万キロ何れか早い方
 消耗品は除くがエンジン、ステアリング、パワートレーン、乗員保護機構など、重要保安部品が対象になる。

追記
 車両保険では、支払できない(免責)条件として、いわゆる故障損害を明記している。つまり、自然損耗だとかを原因とする、偶然外来でない事故は免責にしている。このことは、最近の調査員の子供達も判っちゃいると思うが、先の新車半年で車両火災で燃えた案件を支払った保険会社があると聞くと、判っているのか不安になる。

 てなことで、エンジンオイル不足でエンジン焼き付きとか、ATでもMTでも内部クラッチが滑ってる等の多くの場合が免責になる。ただし、操作ミスだとか運転上のミスから、エンジンン損壊に結び付いたという事例は、偶然外来という主因で有責となるので要注意だ。例えば、悪路でオイルパンをぶつけ、気付かず走行していてエンジン焼き付きとか、MTで5速から4速にシフトダウンしようとして2速に入れ、オーバーレブしてエンジンが損壊したとか有責になる。ただし、このことを知る修理工場が関与する場合に、その様な事故報告指導をさせ、損害内容もそれなりに組み立てることもあり得るので、ここは調査員の技量に負うべきところだが、現在の子供達に理解できるだろうか。

 それと、ある軸が破壊を起こしていたとする。この破壊が脆性破壊か疲労破壊かが、有無責の岐路となる場合があり得る。つまり脆性破壊は急激・外来の余地あるが、疲労破壊となると使用損耗で徐々に破壊が拡大したとなり故障損害の範囲になるということなのだが、おそらく言葉は知っているだろうが、そのことが自ら携わる業務に何処まで関与するか考えたことない調査員もいるかもしれない。このことは、単なる「見積屋」には到底理解できないことだろう。


#債権・債務者と立証義務 #見積屋でない調査員であって欲しい


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