思考の7割と収入の3割を旅に注ぐ旅人の日々

一般的には遊び(趣味)と見下されがちな「旅」も、人生のなかでやるべき「仕事」である、という気概で旅する旅人の主張と報告。

今年上半期の大きな仕事は、『ツンドラ・サバイバル』の校正というよりも校閲

2015-06-30 23:59:59 | 出版・言葉・校正

昨年11月に出版された『サバイバル登山入門』(DECO)に続いて、先週の26日(金)に発売の服部文祥氏の新刊『ツンドラ・サバイバル』(みすず書房)の校閲を担当しました。

僕はこの仕事ですでに5回ほど通読しているが(校正・校閲では「読んで」はいけないと思いつつ、どうしてもそうなっちゃう……)、服部氏がみすず書房からの出版は3作目のこの本はざっくり簡単に言うと、服部氏の本拠地である月刊誌『岳人』で13年1月号から14年12月号まで連載していた「超(スーパー)・登山論」を1冊にまとめたもので、僕としてもその連載はすべて読んでいて予備知識は存分にあったので、物凄く取り組みやすかった。『サバイバル登山入門』のときよりも作業に費やせる時間も比較的多かったので、改めて調べ直したことも多かった(もちろん、だからといって『サバイバル登山入門』がダメだというわけではない)。
しかし、校閲部が設けられているような大手版元が単行本1冊を校正・校閲するのにふつうは2、3か月は費やすところを、これは初校・再校含めて1か月ほどで、そりゃあ時間はいくらあっても足りない感じだったけど。4月下旬の黄金週間に入る直前あたりから1か月で、連休や週末なんてお構いなしの完全に一般社会とは異なる曜日・時間感覚でゲラ(校正刷り)と向かい合っていた。

内容に関してはあえて触れないが、月刊誌連載で毎号ぶつ切り感覚だった国内の5つの登山と、NHKBS番組制作で13年秋に行った極東シベリアのツンドラ地帯での徒歩行と、国内編・国外編の二部構成できっちり章立てもして1冊にまとめるとしっかり映えるもので、1冊のなかでの文章の統一感(専門的な表記とか言葉の意味とか)を、服部氏の筆致を損なわないように努めながら出すのに特に気を遣った。

ちなみに、今作では(写真提供以外では)初めて後ろの「あとがき」の最後のほうに、本づくりにかかわった関係者を挙げており、一応そこに僕も加わってしまった。ただこれは僕から望んだことではなく、入るか否かは著者・編集者にお任せ状態だったのだが、完成品を見ると結局は入っていたということで。なんか、より責任を感じちゃうなあ。でもまあ、名前が出たとしてもそれに恥じない仕事はきっちり果たしたつもりですけど。

上の写真で2冊出しているのは、1冊は先週末にふつうに買い、もう1冊は服部氏のサイン入りを今日いただいた(届いた)。年内にもう1冊増えるかも。それが初版なのか重版がかかって2刷になるのかは、今後の宣伝次第かなあ。

というわけで、来月に早速この新刊絡みの催しが東京都・東京ビッグサイトと神奈川県・湘南T-SITEとひとまず2か所で決まっていたりもして、今後の売れ行きはいち関係者として僕もそれなりに緊張しながら見守ってゆくことにする。より多く売れますように。


なお、基本的に貧民の僕が27日(土)の投稿のように本をいろいろ買うことができた理由は、この仕事の報酬のおかげで。
まだまだ充分とは言えないが、今後の仕事に役立つ資料となる本もいくつか揃えることができたので、これを機に新たな仕事が増えるといいなあ(と、毎回願っている気がするが、現金な性格なのでまあいいや)。



※7月1日(水)の追記



先週、この本と同時期に『Fielder』vol.22も発売されたが、服部氏は表紙と特集の序盤に登場している(それとは別に、自宅でニワトリを飼っている話の連載は3回目)。今回、表紙でついに(『岳人』でも許されない?)どアップ写真になった。
ただ、特集の記事はサバイバル登山というよりも最新の道具論のようなもので、どちらかと言うと『サバイバル登山入門』の内容に近いかもしれない。


※7月7日(火)の追記



本文で触れた催しの、4日(土)の東京ビッグサイト(の東京国際ブックフェア)のほうを観に行ってきた。
出展ブースの一角で、思ったよりも小規模の場だった。聴衆は、着席してじっくり聴くほどでもない通りすがりの来場者も含めて、最大で30人くらいか。混雑するこの会場では仕方ない。
しかしまあ、新刊とはあまり関係ない某裏話も聴くことができて、小さいながらも有意義な場であった。


※7月21日(火)の追記



19日(日)、結局は湘南T-SITEのほうも聴きに行った。参加者の規模は当初の告知では80名の募集だったものの、残念ながら? 人が集まらなくて縮小されてしまって4日とほぼ同じくらいになっていた。
上の写真は会場を撮れなかったので、行ったという証拠のレシート。蔦屋系の催しは初めて行ったのだが、催しの参加費500円にも消費税をきっちり上乗せするのね……。
終了後、「なんだ、また来たのか」みたいな顔をされた服部氏に(5月にもこの仕事の件で一度会っていることもあり)、『ツンドラ・サバイバル』とは別の本にサインをもらい(これで服部サイン本は8冊になったか。もらいすぎ?)、併せて今回の仕事ではゲラのやりとりでお名前を存じ上げてはいたが直接お目にかかる機会はなかった担当編集の浜田優氏とも初めて挨拶できた。実はこれが主目的だった。

そういえば湘南蔦屋書店、昨年に行った代官山蔦屋書店と内外ともにほぼ同じつくりの建物だが、まだ周辺の空き地は再開発し終わっていないくらいに土地が広いので、なんとなく代官山よりも店内はゆるい雰囲気だった感がある。でも最近は藤沢・辻堂あたりはめったに行かないので(この日も約2年ぶりだった)、今後しばらくは再訪する機会はなさそうだなあ。今後も、埼玉県民の僕でもつい行きたくなるくらいの大きな催しがあればいいけどなあ。


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