思考の7割と収入の3割を旅に注ぐ旅人の日々

一般的には遊び(趣味)と見下されがちな「旅」も、人生のなかでやるべき「仕事」である、という気概で旅する旅人の主張と報告。

川崎市幸区塚越の3人乗り自転車の事故現場を視に行った(追記あり)

2013-02-28 00:00:00 | 交通・地理

もう1か月近く経ってしまったが、今月4日(月)に神奈川県川崎市幸区塚越3丁目で起こった3人乗り自転車死亡事故の現場を先週、観に行ってきた。

この一件、新聞報道は図書館などでバックナンバーを拾うしかないが、ネット上では比較的後々まで残りやすいmsn産経ニュースの記事がたまたま最も適切な記事だったので(ここ数年の自転車関連の報道では毎日新聞がよく良記事を出しているが)、事故の概要はこれでわかると思う。

産経新聞以外の全国紙や後日のテレビのワイドショー的番組では、数年前から「容認」だなんだと言われ続けている3人乗り自転車を運転するときの運転者の(前後に幼児を乗せた3人乗り状態の)重量とバランスの取り方に気を付けろ、みたいな感じで3人乗り自転車の扱い方や性能面が殊更に問題視されていた。
もちろん、それも未だに改善の余地は多々あると思うのだが、(亡くなった女児の遺族へ哀悼の意を表しつつも)この事故でもっと重視すべきは歩道上で自転車同士が対面通行していたことで、自転車は車道の左側、という基本的な交通法規を遵守していれば起こらなかったはずの事故なので、僕は特に「対面通行」が引っかかった。だから実際に現場を観に行ったわけで。

上の写真は、JR南武線・矢向駅から徒歩7分ほどの事故現場に着いてとりあえずの1枚で、たしかに全国的によくある幅員で路線バスも含む大型車の通行も結構ある道路であった。
この道路の特に歩道上の交通を夕方に1時間ほど観察した結果の写真を、後日追加する。


●追加の写真。


現場は、南武線の踏切(塚越踏切)の手前。件の3人乗り自転車が転倒したのは、小豆色舗装のマンホールあたりらしく。


これは正しい走り方。車列は踏切の手前で一時停止するため、車列がある程度続いているときのほうが車速が緩んで案外走りやすいかも。左奥の歩道の電柱脇に献花があった。


写真奥が川崎駅方面で、そこへ行く路線バスも付近のバス停の時刻表を見ると朝夕は1時間に6、7本と多い。


踏切の遮断時は押して歩くこともできるっちゃあできる。


こういう掲示があるということは、今回の一件以前から事故は多発しているのか。


●以下は、実際に見かけたダメな自転車走行例。


歩道上の逆走(と書いてはいるが一応、現状は合法の走り方。以下同)。


車道の逆走の連続。車道外側線と段差のある歩道のあいだの空間でここも車道の一部である「路肩」で。しかも正しく走っている自転車がそれを避けるという対面通行の状態。また、歩道上と(この投稿では触れていないが)路側帯での逆走は現在の道路交通法では違法行為ではないらしいが(※)、正しく走る自転車が対向する場合は違うと思うけどなあ。
ちなみに以前にも書いたが、僕が自転車で車道左側を走っていてこのように逆走自転車が対向する場合は、わざとそれを避けないようにして左側を維持する。そういう輩と衝突したらしたで仕方ない。二度と逆走なんかするなバカモノ、と注意喚起をし、向こうがケンカを売ってきたりしてもっとこじれる場合は損害賠償請求など法的な手段に移行する覚悟は常にある。


歩道上の歩行者とのすれ違い。


歩道上の(歩行者である)僕とのすれ違い。しかも、ブレーキを握っていない(=徐行していない)、速度が時速15km以上は出ている状態。


車道の逆走。


事故のあったほうとは反対の車線の、車道の逆走。


これ、歩行者(年配の男性)は最初は歩道を歩いていたのに、後方からダメ自転車が来たことを察知して車道に降りて避けてしまった。クルマが来ないタイミングだったから良かったものの。本来は避けるべきは自転車のほうで。


事故のあったほうとは反対の車線の、歩道上の逆走。これも歩道上に(歩行者の)僕がいたにもかかわらず、減速なしでブレーキも握っていなかったような気が。


歩道上の逆走。そして2人乗り。さらに徐行もしていない。という、3悪の状態。


僕が最も問題視していた、幅1.3mの歩道上での自転車の対面通行。このほかにも対面通行は1時間で20例近く見かけた。件の事故のときの自転車同士のすれ違いはこんな感じだったはず(ただ厳密には、写真右が川崎駅方面で、事故は右側へ行く自転車が歩道奥で、転倒した自転車が左側へ行くカタチで車道に近い歩道手前だったのだろう)。それで、3人乗り自転車は比較的重くてバランスを取り難いから対向車があると堪えきれずに転倒してしまったのだと……。


そもそも歩道上で本来は優先されるべき歩行者の通行が阻害される様子も多々見られ、正直、ここを通行する自転車乗りの意識は事故以降もまったく改善されていないように見受けられたので、このぶんだと再び同じ事故がいつ起こってもおかしくないよなあ。ここに限らず他地域も同様だろうなあ。
これはもう、警察庁が昨年から力を入れ始めている「自転車ナビライン」のような再整備にもっと力を入れて、法的にも自転車の走り方を変えて自転車乗りの意識改革をもっと促してゆかないと、同じような事故は延々繰り返されるだろうね……。


※13年12月上旬の追記
12月1日(日)からの改正道路交通法の施行により、この投稿では触れていないが歩道のない道路においての車道右側の路側帯を自転車で通行する行為が禁じられた。
これで、車道左側の白線の外側の空間は路側帯か路肩か(車道よりも外側の歩道の有無)にかかわらず自転車の逆走(右側通行)が禁止に。まあ地域を問わず最近の自転車交通の乱れようを考えると、当然の成り行きである。
ただ、この投稿で問題視している自転車の歩道通行については何も変化なし。


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8 コメント

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Unknown (foota)
2013-10-04 02:31:56
はじめまして。
footaと申します。

この現場の数分のところに住んでいて、毎日ここを自転車で走っています。
痛ましい事故について、現場取材をしていただき、ありがとうございます。
一人の自転車乗りとして、同感です。

会社や学校でいくら交通安全の教育を受けても、一歩外に出れば、このような走行をしてしまうのが人間なのでしょう。自らに降り掛からなければ意識を変えられないことが最大の要因だと思います。

事故直後、ここを通りました。
ヘルメットをかぶった子供だ車道で倒れていました。
人だかりの中で、そばで母親がどうすることもできず、ただただ子供を案じていました。

その後、母親はどうしたのかわかりません。
共働き、そして保育園への送り迎え。
母親に責任があるとは言え、忙しい最近の家庭事情を考えると同情の余地もあり、安全への意識の妨げは社会が生み出しているとも考えられます。

対向した自転車も、子供を引いたトラックも、予期せぬまま事故に巻き込まれ、ある面では被害者だと思います。
この母親以外の事故に関わった人達は、これから何に注意して運転したら良いのか?当たり前の交通道徳ではこれから通用しないことも感じたはずです。

道路が変わらぬまま、交通量が増え続け、誰にでも手に出来る安価で便利な移動手段としての自転車が人を選ばずに走る続ける時代。
自転車が、“走ったら車”ならば、年齢制限を設け、講習を受けて免許証に似たようなものを適正判断として発行することも必要なのでは?と思います。

何より、譲る心、あせらない心、思いやる心。
これが欠けたのでは、このような事故は永遠に亡くならないでしょう。

長文、失礼しました。
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道徳よりも教育 (わたる)
2013-10-05 13:11:14
はじめまして、ですね。
地元の方ですか。長くても歓迎ですよ。ありがとうございます。

この事故現場に限らず十数年前から、川崎市内の各所をたまに自転車で巡ったり徒歩移動したりで、他所者ながら市内の道路状況は結構視てきております。
それを踏まえて考えても、人口密度および交通量のわりに道路が狭いよなあという印象は以前からあります。特に市内のJR南武線沿線は大企業の工場が密集している工業地域なので(密集具合は全国屈指だと思います)、大型車が特に多いですね。

そのため、写真のように既存の歩道や路側帯(厳密には「車道外側線」)も狭くて歩行者と自転車の通行に常に難がある状態は「自分たちの命が最も大事」という点で考えるとある程度は仕方ないことですが、お互いに「赤信号では止まれ」と同レベルのルールを遵守していれば未然に防ぐことができますからねえ……。

自転車の逆走が「わかっちゃいるけどやめられない」という人もいるのかもしれませんが、ここでも走り方を実際に1時間ほどと短時間ではあっても観察すると、そうではない単なる無知の人のほうが多い気がしました。全国的によくあることです。

僕の以前からの持論で「交通」を義務教育の科目にすべき、というのがありますが(国語・算数・理科・社会・交通、みたいな)、たまに実施する交通安全教室や道徳の授業だけでは浸透し難いので、年間を通じてしつこいくらいに刷り込む、言い換えるとスポーツの反復練習のようなカタチの教え方で徹底しないと根本的な解決にはならないだろう、と改めて現場の交通の状況を視てその思いがより強くなりました。

今回主に触れた自転車の逆走は違法行為であるとともに直ちに人命にかかわる愚行のひとつで「知らない」では済まされないことなのですが、footaさんのように危機感を抱く方がもっと増えて、川崎市からでも改善していけるように、市内の今後の教育現場の意識改革に期待します。
政令指定都市であれば、そういう改善も独自に着手できるのではないでしょうか。

この地域はまた近いうちに観察しに行こうと思います。
返信する
参照させていただきました (秋山)
2013-10-11 22:00:20
はじめまして。
自転車関係のブログを書いている秋山と申します。

川崎の事故現場の記事を書くに当たり、貴ブログを参考にさせていただき、語句でリンクを張らせていただきました。
http://cyclingworld.blog.fc2.com/blog-entry-230.html

大変お世話になり、御礼申し上げますとともに、ご報告させていただく次第です。

秋山拝
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記事 (わたる)
2013-10-15 15:55:46
秋山 さん

はじめまして、でしょうか。

リンク先の記事、拝読しました。

事故のあったこの地域も、他地域も、自転車の交通が改善されることを期待します。
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命にかかわることは丁寧に正しく (通りすがり)
2013-12-04 23:10:59
これは、命にかかわることです。
このように、大勢の目にとまる場所での、影響は計り知れません。正しく修正していただけますでしょうか。

下記の場合は、歩道があるので、路側帯ではなく路肩となります。2013/12の道交法改正以前でも、路肩の逆送は認められていません。違反なのです。
よろしくお願いいたします。

>歩道上と車道外側線・路側帯での逆走は現在の道路交通法では違法行為ではないらしいが、正しく走る自転車が対向する場合は、違うと思うけどなあ。
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そうですね (わたる)
2013-12-05 12:24:59
この弱小ブログではあまり影響はないと思いますが、たしかに説明が写真と合っていなかったので、修正しました。
ご指摘ありがとうございます。

歩道のある道路の車道外側線と歩道のあいだの空間が、車道の一部の「路肩」であることはもちろん知っていますよ。

今週の改正道路交通法の報道では「路側帯」については当然よく触れていますが、都市部では比較的よくある歩道のある道路の「車道外側線」と「路肩」との差異については触れていないですね。

件の道交法でも、歩道のある道路の場合の通行方法(路側帯と車道外側線・路肩の違いについて)もこのさい簡潔に明示してほしかったです。
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自転車保険 (iina)
2016-07-25 08:37:03
さいきんは、自転車事故のニュースをよく聞きます。
乗る方も歩く方も気をつけたいです。

自転車に乗る方も、車とおなじルールに則って走る必要があることを自覚して乗らないと、過失割合を問われます。
ひと昔前のように、自動車側に全面非があるとはならぬようです。

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そうですね (わたる)
2017-01-03 16:45:17
最近の保険会社の対応がどのような感じかは(幸いにも? 大きな事故にはならないように回避できているので)わかりませんが、昔も今も自動車対自転車の事故の場合も自転車側の過失が(交差点の形状やそのときの信号の色にもよりますが)10~20%はあると思います。自転車対歩行者の場合は、歩行者が5~10%でしょうか。

いちいちそんな事故に遭ったときのことを考えることなく済むように、自分がどの交通手段であっても、周りの交通にも常に目を光らせるように努めています。
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