思考の7割と収入の3割を旅に注ぐ旅人の日々

一般的には遊び(趣味)と見下されがちな「旅」も、人生のなかでやるべき「仕事」である、という気概で旅する旅人の主張と報告。

7月1日放送のテレビ『情熱大陸』の、「イラストルポライター」というお仕事を改めて知る

2007-07-03 11:11:14 | 他人の旅話
7月1日夜放送の『情熱大陸』は、本ブログの今年の投稿でも度々名前を挙げているイラストルポライターの内澤旬子氏だったのだが(ただの「イラストレーター」ではないですね。訂正します)、なんかこれはもう他人事とは思えないくらいに手に汗を握りながらかぶりつきでVHSビデオの予約録画(しかも2台)をしながら観た。
今年初めに出版して好調の『世界屠畜紀行』(解放出版社刊。現在7刷)以前から、最も古いところでは『東方見便録』(小学館刊)を現在の週刊ヤングサンデーで連載していた10年ほど前から注目していたが(あれはまだヤンサンが隔週刊だった頃かなあ? 記憶が曖昧)、僕が近年興味のある書き手のひとりであるし、今年4月に僕も参加した不忍ブックストリートの「第4回一箱古本市」でも間接的にお世話になったし、まだ内澤画伯と喋ったことはないが僕もある種関係者かもしれない、という感じの身近な感情を抱きつつ、楽しく鑑賞した。おおむね笑える内容だった。

今年に入ってから内澤さんと旦那の南陀楼綾繁氏のブログを読み直していて放送分に時折出てくる内輪ネタ的な様子(「魔窟」とか「ホーンブック」とか)もそこそこ付いて行けたのだが、南陀楼さんとは結婚して10年経過していること、内澤さんは食事のときは左利き(というのはよくあるが)でイラスト執筆のときは両手にペンを握りながら描ける、しかも描いているときに左右の区別がつかなくなること、僕も1枚購入した「しのばずくんトート(バッグ)」計400枚の制作費が15万円かかったこと、などの放送で初めて知ることも多かった。さすが綿密な長期取材で鳴らす情熱大陸。

放送後だからできる種明かしをひとつすると、僕は実は、内澤さんが『情熱大陸』の取材を受けている、という情報は本ブログの2007年4月22日の投稿にもある「シェルパ斉藤トークショー」に行ったときに、今回の放送分では「ライター・斉藤政喜さん」と紹介されていた斉藤さんが、トイレ取材の相方? である内澤さんが番組の密着取材を受けていることをばらしていたために得ていて、『東京生活』の連載の「東京見便録」の純心女子学園中学校の取材にもカメラが同行する、つまり「取材の取材」になることもすでに聴いていた。ただ、内澤さんのブログでは3月からテレビカメラが入っていると度々書いているけれども番組名を一切明かしていなかったため、僕もこの件は慎重に取り扱った。

で、その取材の様子も放送分で約2分間使われていたが、それを観ると本来は斉藤さんが主のはずのこの取材が内澤さん主体で見事に切り取られていて、いつもの各種媒体では主役であることしか見かけない斉藤さんが今回は脇役扱いになっているというのが珍しい光景に見えて面白かった。もちろんこの回の記事(No.24の吉祥寺特集の号)もすでに読んでいるのだが、撮り方によってはこんなふうに違った見方にできるんだなあ、と映像の力を再認識した。
それで、そのトークショーのときに、今回の放送によって間違いなく内澤さんの知名度は飛躍的に高まり、今後、斉藤さんと内澤さんの力関係が大きく逆転するのではないか?(文・斉藤政喜よりもイラスト・内澤旬子の名前のほうが先にくる) そしていずれは平成版・辺見庸のような大家になるのではないか? という話が斉藤さんから出ていて、その話も面白かった(2007年4月22日の投稿で言葉を濁していたのはこのこと)。実際、今日のアマゾンの本のランキングで『世界屠畜紀行』は7位になっていたし(ここ1、2か月は3桁以内の順位に確実に収まっている)、その可能性は多分にある。

それから、一箱古本市の様子も約2分間使われていた。内澤さんはこの古本市の様子を映してもらうことを条件に今回の取材を引き受けたそうで、たしかにそのくらい力の入っていることは出店した僕も4月29日におおいに実感できた。
で、実は僕がその日にコシヅカハムでの出店中に、15時すぎだったか、南陀楼さんが自転車でしのばずくんトートを売りに来ていたのだが、その様子も撮影していて、そのときすでに『情熱大陸』の取材のことを知っていた僕としては、南陀楼さんにもカメラが向けられていた様子を見て、むむっ、ひょっとしたら僕も放送分で1、2秒くらいは見切れているかもしれない、と密かに期待していたが、当然ながらそんなことはなかった。今回の主役はあくまで内澤さんなので、当然ながらそのへんの場面も内澤さん主体で構成されていた。でも、南陀楼さんがおまけのような扱いで別の場所でトートを懸命に販売していたカットが差し込まれていたりして、このへんが特に笑えた。僕の全国放送デビューはまたの機会かな(実は僕は物心つく前に一度、ある番組に出演というか無理矢理引っ張り出されたことはあるらしいけど)。

まあそんなこんなで、昨日もこの放送分を、先週急遽買ってしまったDVDレコーダー付きのビデオデッキ(安物)を使ってDVD-Rにコピーしたりもして、結局5回観直して、1回ごとに異なる場面で笑った。
もちろんそのほかの後半の、最近の千葉県旭市の講演やキューバ取材のようなマジメな場面もきちんと観て、僕も本ブログで豚関係の話でちょこっと触れた「屠畜」について改めて深く考え込むふしもあった。ひいき目を取っ払って観ても、『情熱大陸』の今年の放送分のなかでは最高の出来であったと思う。有名芸能人ばかりでは面白くないからね。アメリカの絵描きが屠畜を悪事のように描いている、実際に豚が潰されている、というようなことを全国放送できちんと伝えられたのはとても有意義なことだと率直に思う。

今回の放送によって『世界屠畜紀行』が3万部かそれ以上売れて内澤さんが遠くに行ってしまう、ということは放送で見る性格・性質から判断するにはおそらくないと思われるが、今後どうなるかはわからないので、僕のまだ読了していない『世界屠畜紀行』の初版本に早くサインしてもらわなきゃだな。
東京都の神保町周辺ではすでにサイン本が多く出回っているようだが、やはり直接書いてもらいたいなあ。早ければ秋にでもお願いできるかな。でも南陀楼さんとほぼ同じ体型で、しかも優柔不断というかもじもじするところもブログの記述がえらく長いことも似ている僕としては、その前に南陀楼さんと同様に罵詈雑言を浴びて蹴られたうえに噛み付かれるかもしれない。まあそれはそれで貴重な体験ではある。



2007年6月16~17日にシェルパ斉藤(=斉藤政喜)さん家で野宿したときに、「しのばずくんトート」(写真中央)に寝袋とエアマットをまとめて収納して持って行った。本を入れることを想定して作られたのであろうこのトートだが、このような使い方もある。大きさを考えると普段何かを持ち運びするよりは、室内の収納の一助にするほうがふさわしいかもしれない。
ただ、放送分の制作費15万円という金額を聞いて思ったのは、定価750円×400枚=30万円の売り上げで完売したら15万円の儲け、を期待していたのだろうけど、このトートの質をいち購入者の立場から考えると、ちょっと値が張りすぎるように思う。だからあまり売れなかったのでは? 実は僕も古本市の表彰式のあとに南陀楼さんからこれを買うときも3分間ほど悩んだ。
これは取れてもせいぜい500円かと思う。500円単価にしても完売すれば5万円の儲けになるわけだし、それだけのプラス収支になれば御の字かと思いますよ。でも今回のテレビの影響で何気に近々完売するのかもしれないけど。


※2007年7月5日の補足

3~4日にも知人にこの放送分をDVDコピーしたものをあげるために3回観たのだが、そこで気付いたこととして、字幕? スーパーで「屠畜」が「屠蓄」という誤字になっていたのはわかりやすいが、あと、『東京生活』の版元の「出版社」が「出版」という脱字状態になっていたのも気になったのであった。撮影と編集が別工程だとこうなるのかなあ。テレビって、面白いけど難しい。


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