第四部 Generalist in 古都編

Generalist大学教員.湘南、城東、マヒドン、Harvard、Michiganを経て現在古都で奮闘中

Mahidol Tropical Medicine Short course for Japanese を終えて

2017-12-27 22:18:04 | Mahidol University編

みなさま、こんにちわ。

師走です。年末です。もはや恒例になりつつある、年末のイベントで母校Mahidol(多分人との繋がり、そして思い入れは格別)日本人医療者の為のショートコースにスタッフとして参加してきました。

40名の参加者(海外からの医療者多数)、多数のタイ人講師、スタッフ、日本からは4名の実行委員会メンバーで開催しています。

12月18日(1日目)消化管寄生虫症 講義、顕微鏡ワークショップで実際の国境沿いの患者の便スメアを作成して自分たちで診る。

 

12月19日(2日目)マラリアを学ぶ一日。マラリアの生活史を理解し、各マラリア原虫について、Trophozoite, schizont, gametocyte各ステージの特徴について学習し、顕微鏡実習、ワークショップを行いました。Thick smear, Thin smear, 染色の実習、簡易キットの実習をワークショップ形式で学びました。

12月20日(3日目)Leprosy(ハンセン氏病)専門病院の訪問
午前中はハンセン病の専門病院Rat Pracha Samasai Instituteを訪問しました。日本ではもはや診ることができないハンセン病をこの病院はなんと年間152例の新規患者さんを診察しています。勿論タイでもとても珍しい疾患となってきておりますが、ミャンマーやマレーシア国境付近では未だに診ることできます。DTMHでは実際の患者さんのスメアを作成して鏡検したことでとても記憶に残っています。

12月21日(4日目)病棟ラウンド, Travel Medicine

Acute febrile illnessの解説を私は行いました。といっても基本ですが、この病院のデーターで研究をしてましたので疫学もよく知っています。

午後はDr. WasinによるTravel Medicineの講義の後Travel clinicの見学を行いました。何より同期のWasinがアジャン(教員)になっていたのが凄く新鮮でした。

授業終了後は熱帯医学部のMuseumを見学。

 

12月22日(5日目)デング熱、病棟ラウンド、メリオイドーシス

デング熱とメイオイドーシスのレクチャーと、病棟ラウンドと続きました。

あぁとても懐かしい、この質問攻めの雰囲気。

参加者の先生方もとても熱心に質問と意見が出ていたので僕は極力邪魔しない、円滑にすすめることだけに注意しておりました。

 

自分は大学院生のときは日本の時とは本気で桁が違うほど辛くて(DTMHは楽しいだけだったのですが)、楽しめていませんでした。が、、、今となってはやはりその分とても力がついていたなぁと思うのです。

海外の大学院に入学して卒業するということは、きっとそういうことなのかなと思います。

何より、このMahidolの縦の繋がりは結束が堅く、例え別々の場所で働いていてもこの時になっては皆であつまりワイワイとこのコースを運営するのが一年の楽しみでみもあります。

ということで、来年も同時期に開催予定です。

 

(先輩たちと)

 

(Tropical Medicine のDean達のアトラクション USJかよ!)

 


タイの医学教育

2017-05-14 01:15:42 | Mahidol University編

日本でも地方などでの医師不足がたびたび問題となりますが、タイの現状はそれ以上に深刻です。タイは国自体が発展段階であるため、優秀な医師の多くが海外へ流出してしまったり、給料が数倍以上高い都市部の私立病院へ集中する傾向があります。
 ただ日本よりも優れているなぁと感じることは、医学部での教育の違いがあります。タイの医学生はより実践的な卒前教育がほどこされ、卒業後に僻地の医療現場である程度すぐに活躍できるレベルまで鍛えられています。
 1年目研修医達が高額な検査に頼らず、詳細な問診と丁寧な身体所見で診断を適格に下していく姿は、正直経験に勝るはずの日本人医師としてビビリます。
 彼らは日本では敬遠されがちな英文原著の優れた教科書をあたりまえに用いており(タイ語の教科書はあるにはある)、臨床実習は米国的指導スタイル、医学生の時点で日本の研修医程度の業務は実際に行っているように感じます。
 現在勤めている島根大学にタイからマヒドン大学の医学生が臨床実習にかなりの数来日しており、ケースカンファを行うと、彼らの優秀さが素人目にもわかります。きっと日本の医学生もわ...かる人はわかってくれると思いますが、テストの合格や、資格や肩書でない実力をつけるための学びや教育スタイルというのが日本でも必要であると思っています。それでも多くの偉い先生は頭ではわかっていても、変化は面倒なのであまり好まれないかもしれません。
 日本の医学部でも、世界中の何処に出しても恥ずかしくない医師を育てていかなければならないと医学教育に携わる身として切に感じました。


今年も開催 Mahidol 臨床熱帯医学短期研修

2016-06-25 21:02:52 | Mahidol University編

皆様こんにちわ。

今月ロンドンから帰ってから、日本とバンコクの往復をすること2回、さらに数日後には私の専門領域とも言える誤診学の発表をする為にアムステルダムに向かいます。自分のAFIとSIRSの研究はまだ終わらず、中々な佳境にはいっております。

さて、昨年非常に好評であった、Mahidolの我々の病院

Hospital for Tropical Disease(300症)を中心に臨床熱帯医学の短期研修が今年も開催されます。私も可能な限り参加を考慮しております。

詳細は下記にお問い合わせ下さい。

http://cicmt.com/mahidol/2016.html

 


熱帯のバンコクにて丸一年が経ちました・・MCTM day 173

2016-03-23 23:51:26 | Mahidol University編

皆様こんにちわ。

ふと、帰り道の雑踏で気付きましたが、丸一年が経ちました。

その感想はまたにする事にして、久々にMCTMの日常を記録していこうと思います。個人的には最終ディフェンス(研究発表の事です)が終わりほっとしているのもつかのま、その70Pに及ぶものを製本をしなければなりません。私の研究テーマのResultは指導医達が誰にも見せたくないとの事で、折角頑張って書いたResult and Discussionのグラフや図を容赦なく約70%Cut offされるという始末➠カロリーじゃねぇんだよぉ!(大学内の競争が厳しすぎる)。

まぁ私の目標は実力をつけることなので別に良いのですが・・文化の違いを未だに感じてしまいます。

 

(飲み会:なぜか、ションベンしたら3000THBの看板を気に入り記念撮影)

未だに結局データ集めすら完遂していないのですが、スーパーハードワーカーのインド系医師と私が合格一番乗りだそうで、仮にそういう煩雑なものが終わっても、真面目にやればやるほど実際にはどうがんばっても3月31日に全てが完遂するのは難しいかと感じました。

書類の縁のマージンが25mmや37.5mmでない、ヘッダーは10で奇数ページはどうの、最初に1行スペースを入れる、などの極めて細かい作業が必要です。しかも印刷製本に15日かかります。

(上の写真;Gram染色の当てあいゲーム。下写真はテスト中の風景(厳密にはテスト終了後)➠撮っていいって言われたので載せます:もうIpadで試験の時代ですね~)

 

さらに、MCTMでとても新鮮で感嘆したのですが、TurnitinというPlagiarism(剽窃)防止の為に、それを目の前でサブミットしてから、その書類と証明書を指導医にもらってから投稿するなどの決まりもしっかりと規定されており、私がかつて所属した基礎医学の大学院に比べて極めて厳しいです。日本では小保方さんの事件があって、今は厳しいのかしら?Turnitin凄いですね、一行でも同じような文章があれば必ず検出してきますから。私は問題ありませんでしたが、今後の論文投稿は念の為に全てコレで調べてから、投稿しようと思います

MCTMのメンバーからはドロップアウトや、延期の人も出てきており、3人以上は持ち越し5月頃になるかもとの事です。

かくいう私も、Londonで行われるISTMの試験が6月1日に終われば、日本とバンコクを6月に2回短期間でいったりきたり、その後オランダに学会にいったりなどしつつ、論文化する為の最大にして最後の山場が夏に残ってます。

いつまでたっても開放されず、本当に面倒ですね、、とっても。

 

さてさて、嫌な話はおいておいて。たまには楽しい雰囲気も記録して残しておこうと思います。

 

今日はプレジデントとして、クラスの女性医師たちのストレス溜まりまくっている状態を開放すべくバックパッカーの聖地カオサンに飲みに行ってきました。美味しいし安いです。また多国籍な雰囲気にきっと好きな人も多いでしょう。10人全員で飲んで3800THB(15000円位)、勿論日本人代表として1000THB払いました(でも飲み会代 3300円 悪く無いですね)。

米国の国籍をもつミャンマー人の男性医師と腹を割って話せて(遅すぎですが)良かったです。母国では医師免許がありますが、収入の為に米国では工場や、軍隊でも働いたことがあるらしく、彼の努力にも驚きました。

そんなこんなで、私の定義上の一年間はそろそろ過ぎ去ろうとしています。引き続きバンコクや日本での奮闘はつづけることになります。

 

 


日本からの見学者 メリオイドーシスに驚く

2016-03-05 15:31:11 | Mahidol University編

 

皆様こんにちわ。
今回はMCTM Final defenseで手一杯の私にかわり一昨年共に東京城東病院で診療をしていたM内医師にブログを書いてもらいました。
彼は「明日行きます!」的な軽いノリで病院に乗り込んできたために、病棟や患者さん、普段の仕事などを紹介しました。
実はその2日前にも、湘南鎌倉の後輩が、病院を見せろとせがむので、案内してます。
(今年は頑張りました。1年間でTotal 20名弱の方は時間ある限りご紹介させて頂いたと思ってます。医学生だけで7名いました)

僕の指導医は本気で教育好きなので、知らない米国型日本人が来ていると知ると、「よし患者診に行くわよ~」と軽いノリで結局一緒に回診することに。さてさて。。以下、M内医師です。
 
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32日にMahidol Universityを見学しました!

3月の始めにも関わらず気温は30度超。

30分かけて歩いて行きましたが着いたときには汗だく。。

ただ病院は綺麗で冷房も効いていてとても快適でした。

日本にいる間にとてもお世話になったTari先生がこの大学で勉強しておられ、案内してもらうことに。

17階層の病院内をいろいろ散策しながら紹介していただきましたが、途中からTari先生の上司であるアジャンDr. Vipaが登場し、ケースカンファ勃発。(アジャンのスペルはなんと先生でも知らないという・・・笑)

Undiagnosed DM40代男性。

不明熱とnon-productive coughの肺炎疑いで紹介され来院。X線でright lower lobe reticulonodular and cavitary lesion. いろいろ質問し鑑別診断を挙げるも全て違うと却下。

答えはなんと

 

Melioidosis!!!!※

 

USMLEの勉強のときに名前しか聞いたことない病気がでるとは・・・。

実際に患者さんを診て診察もしました!

他にもNaegleria fowleriの患者さんもいる!と聞いたので、その患者さん見たい!っと思ったのですが、現在ではなく、過去に入院していたとのこと。

ただDr.Vipaだけではなく、東京城東病院以来のTari先生とのcase discussion

さらに一度も見たこともない病気ばかりで、気温だけではなく完全に激アツでした!

Tari先生、お忙しい中、本当にありがとうございました!

また次の機会があれば是非よろしくお願い致します!

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PS M内先生、次の機会はもう無いです。まずは湘南鎌倉で徹底的に鍛えてもらってください。

 

※メリオイドーシスについて(管理人 注釈)

土壌や汚水で感染するGram陰性桿菌(Burkholderia pseudomallei)で、結核に似たような肺炎像だったり、潜伏期間が時に10年以上だったりと言われる非典型的細菌感染症です。Tropical medicineを学ぶ医師では知らないものはいないくらい有名ですが患者数は多くなく、タイやオーストラリア北部がEndemic areaです。ざっくり言うと、診断は通常の培養(感度低い)以外に血清学検査を行います。治療は通常はセフタジシム(Asiaでは)かカルバペネム(先進国)を用います。治療期間は場合によります。ゲシュタルト的には【タイ・北部オーストラリアの地域でDM(未診断が多い)患者が、発熱と呼吸器症状(細菌性肺炎から結核的な画像所見と幅広い)や肝膿瘍に類似した症状や所見でやってくる】というイメージです。この疾患に対する日本で一番の専門家はおそらく当臨床熱帯医学大学院出身の羽田野義郎先生です。

 


ベッドサイド臨床実技試験終了 MCTM day 140

2016-02-17 14:06:17 | Mahidol University編

 

 

皆様こんにちわ。

Long case examinationが只今終わりました!!!
これは全範囲の疾患の診察から診断治療にまでを評価する1年間にわたるトレーニングの実技最終試験です。
 
試験前日に突然、明朝試験だとYou got a mail 的なメールが来ます。実際に所見がある患者さんをICUだったり、病棟だったり、外来だったりに出向きます。この2週間は、大学院生は病棟に入ることを禁止されていてかなりよく考えられています。
 
Full History taking 15min
Full Physical exam 10min 
Summarize 5min Problem List とDifferential diagnosisを上げる
Discussion 25min 
 
で行うというものです。
試験前は今日は誰が呼び出されたとか、カンボジアの友達がボコボコにされたとか、イケメンドイツ人はICUで出血している患者さんで困ったとか、、恐怖でしたが、
朝待っていると「ワタリはOPD(外来)だから」と行くことに。
※ 試験官が特に症例を公評しても問題ないということで記載します(毎回変わるから)。
 
いつもの3Fの外来ブースですので、ニコニコ+ サワディカしまくりながら入ると
 
既に若い男性が診察台に寝てます。見た感じ、多分黄疸があります・・・
 
病歴聴取は大好きなので徹底的に聞きまくります。
1) Full History taking 15min
タイ南部に一ヶ月前に帰省した以外は特にExposureされてなさそうな20才の男性が2週間前からの尿の色の変化、3日前から尿が黒くなったと来院。発熱、腹痛、呼吸系、泌尿器系全くなし。Mosquito/Thick/Mite/ insect bite biteなし。発熱も全くなし。皮疹も気づかず、体重の変化なし、寝汗なし。他、Past medical hisotry and Underlying disease、Travel history、Animal contact、Family history、Allergy、Drug、Sexual history, 全てなし。勿論Fava beanたべたんちゃうん、とか生魚食べてOpistorchisなんちゃうとか、G6PDやThalassemiaとか色々しつこく聞いたのですが、全部否定される。
 
2) Full Physical exam 10min  所見を大きな声で一つ一つ言っていく作戦にしました。
 Positive findingはJaundice、Hepatomegaly (2FB RCM)ありました。他はKnock pain、Splenomegaly、Shiffting dullnessなど含めてnegative. 爪の異常やとVascular spider、Palmar erythema なども探したけどなし。
 
※実はShiffting dullnessの所見のとり方が、Bate VS Macleoid'sで少し異なります。よってクラスメートで米国系Physical VS イギリス系Physicalの教科書で学んだ医師とでちがう違うと争いが始まったりしたのが面白かったです。僕はこれからMacleoidを使う事にします。
 
3)Summarize 5min Problem List /Differential diagnosis
通常のJaundiceの鑑別方法とLiver か Non-Liverか溶血か非溶血か。
 
4)Discussion 25min 
ここから自分が行う検査を一つ一つ開示され、どう解釈するか試されます。
 
CBCはNormal➠Liver function test➠T Bil 4.2, D-Bil 3.6, AST 80, ALT 300, ALP 150
(こんな感じで、日本の様に一つ一つの検査の考察なく、ドカンと検査すると大減点ですので注意です。)
 
腹部エコーはHemangiomaがある程度でReportは正常。
HBV, HCV➠急性感染 陰性。
まさかとは思いながら、HAV IgMとHEV IgMを提出した所で、検査はこれ以上出してはいけないと言われる。
 
検査結果 IgM HEV +
答えはHEV急性感染でした。
 
下水道や飲水が整のっており、生肉を食べないタイではE型肝炎は珍しく、どこでどう感染したか原因が解りません。
症状は乏しく、日本でも隠れている事が多く、 Drug induced hepatitisと診断され検査していなものは誤診されている可能性があると報告されています。(ほぼ特に問題ないですが)
 
Discussionは続き、通常の治療と、もし重症化したらどうするか。重症化する場合は度のような患者か、
確率されていないが、リバビリンやIFNの治療もあるなどの議論を行い終了です。
 
 
自分のTopic reviewがHEV vaccineであった為か、偶々当日にその急性HEVの患者さんが来ていた為か、はたまたHEVが珍しい為か、先生達の優しさでしょうか?結果的には自分が得意とする実技試験となりました。
 
偶々だったのか、日本から来た不慣れな医師に故意に配慮してくれたのか?
 
この一年間の回診や毎日のDiscussionでトレーニングしてきた事が詳細に問われて、一つ一つの症例を思い出しながら、当初怒られたり、あまりにも自分が出来なさすぎた事が自然と思い出されました。
 
それが、いつの間にか出来るようになっている事が素直に嬉しく、また教官達の親心的な優しさにただただ感謝した、そんな最後の臨床実技試験でした。
 
 
 
 
 
 
 
 

 

 

 

 

 


メインのプレゼンテーションについて MCTM day 135

2016-02-14 15:17:11 | Mahidol University編

皆様こんにちわ。

随分と色々な事が重なり、自分との闘いの日々が続きます。

とはいいつつも週末は必ず家族サービスで外出するようにしてますので、時間を有効に使う努力は惜しみません。家族があってこその自分です。

さて、この1ヶ月位の進行がどのようなものかといいますと、自分達の研究テーマ以外に、Topic reviewという一時間のSystematic reviewの課題を終えなければなりませんでした。

また授業が毎日かなりあります。

 

漸くですが、ここに来て全貌がつかめてきましたので記しておきます。

基本的なMCTMコースとしての発表義務は

1)Research disposal(total 60分)10月初旬から11月:自分の研究テーマのなが~いReviewとサンプルサイズや、Inclusion criteriaやExcusion criteriaの妥当性や、研究のRationaleをプレゼンします。そに対して外部からの教授達からの質疑応答を経てBrush upするというものです。

2)Critical appraisal(Total 45分)10月半ばから12月まで:好きな論文を5つ程選び、その内一つを批判的吟味を行い全て批判できるところを批判するというプレゼンを行います。

3)Topic review(Total 60分)1月半ばから2月末まで:一つのTopicを選びその最先端のGapを探し、全ての関連文献を読みSystematic reviewを行います。これが上手くできていれば、先生達よりReviewとしてJournalの投稿を目指さないかと言われます➠宿題が二度美味しい状態へ変わりますが、努力が二倍要ります。指導医の熱意と受験者の熱意次第ですが、中にはひどいものもありました。

※追加選択単位で:Review of Journalというのがあって、自分の研究テーマを全てReviewするというものでしたが、最初僕は全ての選択授業をお金を払い選んでいたのですが、あまりにもメインの発表だけで大変なのでキャンセルしました。結果的に今年は一人だけしか発表予定者がいません。大体2月から3月が予定されています。

4)Final Deffense (Total 60分) 3月末までに行う模様です。外部からの教授達からの質疑応答を経てBrush upし、4月半ばまでに製本を行うという流れです。この後、研究によって論文化するための作業が4ー6月の間入ります。

この間、出席と発言回数や妥当性が非常に厳しくCheckされる回診も多数ありますが、経験的に、点数なんか気にしないで楽しく一つ一つ謙虚に学ぶ方が絶対良いです。これは今後の方へのアドバイスです。熟考の上で思ったのですが、好きな勉強をしているにも関わらずにやってくるストレスの原因は、環境に適応できない自分や(つまりは他国の人間と対等に議論する能力が無い事や)、短期的な結果を求めたり、自己解釈の歪みから来るものなのではないかという気がしました。(当初、今思えば楽しいだけのDTMHですらストレスでしたから。人間喉元すぎれば忘れますから~)

今は、病棟回診や、Discussionが一番楽しく感じております。むしろデーター集めたりする方が単調で辛い。正規の単なる課題は適当に、自分の勉強と研究は気合をいれて後数ヶ月頑張ります。

 

 

 

 


STDとHIVの実臨床に特化したインターナショナルコース

2016-02-06 05:20:26 | Mahidol University編

みなさんこんにちは。 超多忙なわたり氏に変わり

2015年度DTMH卒業生今はフリーターの独身女UNM(゜o゜;;がブログの記事を書くことになりました。

今回はBangkokにあるBangrak病院にて、COTTISA (Consortium of Thai Training Institutes for STDs and AIDS) が毎年主催しているInternational Diploma Course in STI HIV/AIDS をご紹介します。

(Microbiology practiceの写真)

私は2015年度のマヒドン大学での半年間のDTMHを終えたのち、11月にこのコースに参加してきました。

実はDTMHの授業の一環で、この病院を見学に一度訪れたのですが、STDを専門にしている長い歴史や、タイのCSWをたくさん診察している背景などがとても興味深かったことと、日本では婦人科や泌尿器科に回しがちな疾患ですが、一般内科医もきちんと診察できなくてはならないなと常々思っていたところだったので、この病院で研修させて欲しい!とお願いしたところ、このコースを紹介してもらったのです。

すでに2015年度のコースで21回目の開催だそうで、毎年秋に4週間開催されているそうです。

1回のコースの定員は30人程度、参加費用は2015年度で2250USDかかりました(日本円で当時27-28万円くらい)。

(レクチャーの風景)

2015年度の参加メンバーは日本人は私一人(初めての日本人参加者だったそうです)、インドネシアから3人、マレーシアから1人、タイ人3人でした。

私以外は皆所属機関から費用の補助を受けていたそうで、全額自己負担したのは私だけでした・・・とほほ。

(参加費用を賄うために日本に一時帰国してアルバイトしましたよ。。。)

参加前は、周りから「高すぎる!」「そのコースって、それだけの価値あるの?」などと散々言われましたが、、、感想を一言で言えば、参加して大正解!!でした。 授業は毎週月~金で、座学あり、DVD講義あり(病院で作成した教育用DVDがあるのです!)、診察見学あり、実際の患者さんでの診察あり(女性ではクスコを挿入し、双手診、検体採取など)、人形を使った模擬診察あり、case discussionあり、バンコク市内の別のSTDクリニックの見学あり、細菌検査や遺伝子検査などの実習・説明あり、最終日はMCQと口頭試問で締めくくられました。

最終週は提携している英国の病院から医師を招いての講義(セントメリー病院、ノッティンガム市立病院)もあり、少なくとも英国のレベルとタイの診療レベルに大きな差はないことも実感しました。 また、タイのお国柄というか、トランスジェンダーの女性達の裏話も色々教えてもらって面白かった。。っていうか一番記憶に残っているのはその授業かな・・・(ー ー;)。 手術前後の写真とか・・・インパクトありすぎでした・・。

(ペニシリンの筋注!)

4Wはあっという間で、勉強が間に合わなった部分もたくさんあるのですが、STD診療における自分のスタイルがある程度確立されたのは間違いありません。DTMHよりもより実践的で臨床的なコースだったからでしょう。 日本の医学教育で、系統だったSTD診療を教えているところはどれくらいあるんだろうか・・・。 STDの診療には一般内科医としての技量以外に、感染症の知識、産婦人科や泌尿器科といった解剖学的な知識、皮膚科的な知識、いろんな知識要素が試されるchallengingな分野だと思います。どれか一つの分野だけできても不十分。 ちなみに、タイやマレーシア、インドネシアではSTD診療は皮膚科の診察の一部なんだそうです。

Bangrak病院の敷地内には皮膚疾患だけを見るスキンクリニックも常設されていました。 STDの系統だった診療ができるようになりたい!という一般内科医や感染症医などに是非受けて欲しいなあと思うコースです。少々参加費用が高いと思うかもしれませんが、短期間で、これだけ充実したコースで、日本から参加しやすくて、などなどメリットの方が大きいと思います。おそらく、世界でもなかなかないコースだと思います。 Bangrak病院はかなり長い歴史を持つので、建て物が老朽化しているため、数年後には現在の敷地にビルを新築して、最新の検査体制などを整えつつ、マヒドン大学との連携も強化していくとのこと。今後の発展にますます注目な病院です。 ご興味がある方は是非お問い合わせください。

 

最後にUNM氏とその仲間の写真も入れときましょう(ブログ管理人よりお礼)

 


 


ヘビ咬傷(Viper or Cobra?)回診 MCTM Day 104

2016-01-13 17:11:24 | Mahidol University編
本日の回診はへビ咬傷でした。
 
離島でハブ咬傷を数例見ていたので、大まかな事は変わらないのですが、ヘビの種類が違います。
細かい事を覚えても仕方無いのですが、ざっくりと捉えると良いと思います。
 
 
 
要はViper or  Cobras? 
ニューロトキシン or ヘマトトキシン?を抑えましょう。
 
elapidae (コブラ科)➠日本には概ねいないと思って結構です(マニアな危惧種はいるようですが毒蛇として活躍?しておりません)
kraits (B. candidus, B. fasciatus, B. flaviceps)
Cobras (N. kaouthia, Naja siamensis, N. sumatrana, O. hannah)
 
viperidae (クサリヘビ科)➠日本だったら有名な下記の毒蛇ですね(ニホンマムシ、ツシママムシ、ヒメハブ、サキシマハブ、ハブの類です)
pit vipers (C. albolabris, Cryptelytrops macrops, C. purpureomaculatus, C. rhodostoma)
Eastern or Siamese Russell's viper (D. siamensis)
Russell's viper 12th leading cause of death in Myanmar highest mortality rates in Thailand from Malayan krait, Malayan pit viper, and cobra bites. 
 
覚えやすくざっくりと切ると、基本的に
 
Elapidae(コブラの類、我々はCoblaと呼びます)は神経毒を持っていて、Pre synapsとPost synapsと色々らしいですが阻害して付随筋などをおこし呼吸停止などで死にいたります。➠ゲシュタルト的には、ICUでレスピレーターにつながれるイメージですね。
 
逆に見た目が無残なViperidae(我々はViperと呼びます)はヘマトトキシン=血液毒素(日本語は出血毒?)を持っていまして、血液凝固系を破綻させ(出血時間や、凝固系の検査を行う事になります)、筋組織を破壊し(横紋筋融解症やコンパートメント症候群になるわけですね➠fasciotomyでしょう)、勿論腎不全を合併するわけになります。ゲシュタルト的には、パンパンに晴れて、青紫で痛そうなイメージですね。
 
詳細な機序はこんな感じです:Bleeding disorders may be due to various or combined venom activities consumption coagulopathy due to venom containing procoagulant enzymes (for example thrombin-like fibrinogenases and activators of prothrombin, factors V, X, XIII, and endogenous plasminogen) anticoagulation due to venom with phospholipases A2 that hydrolyzes or binds to procoagulant phospholipids and inhibits prothrombinase complexes.
 
タイではViperが問題になることが多く、今回の回診の患者さんもおそらくPit viperに噛まれて(2点咬傷痕がまだ残ってます)、他院で抗ヘビ毒血清を打って転院してきました。
 
 
治療のAntivenomに関してはWHO Gulidelineありますからそれを参照されると良いと思います。
 
 
追加の補助療法としては下記程度でしょうか。 
・give tetanus toxoid booster
・antibiotics usually not needed unless necrosis present
・viper bite may require volume expansion, fresh blood transfusion or fresh frozen plasma, and early treatment of acute renal failure
・elapid bite may require anticholinesterase for neuroparalytic features and respiratory support if needed
 
やっぱりViper or  Cobras?そしてニューロトキシン orヘマトトキシン?
これを考えてマネージメントしていきます。最も大事な事はそれだけです。
 
米国などではsnake venom detection kitなるものが有るようですが、普及はしておりません。
DTMHで試験のヤマとして上記がポイントです。

余談ですが、この皮膚科の先生は何故かは分からないのですが、内科全般に精通されていて色々な事に詳しくて個人的に大好きです。クリニックに個人レッスンに行かせてくださります。
 
 
写真は典型的リーシュマニア症のDiscussionです。
 
 

ココでもクリスマス やんごとなき回診 MCTM day 86  

2015-12-25 22:34:58 | Mahidol University編

メリークリスマス

信仰心の厚い仏教大国タイにおいても、クリスマスは一大イベントです。

街中至るところにツリーやイルミネーションが綺麗に飾られていて、灼熱の日中に見ると何とも言えないアンマッチングさに不思議な感覚になります。

現在はエクセルファイルに膨大な打ち込み作業を朝から朝まで行っていますが、自宅の大画面で行える為にまだ気楽です。

 

さて、今日は一人の方からご質問があった為に、MCTMに進むべきかどうか、臨床的に面白いか?という事に関して記載しておきます。

MCTMのベッドサイドティーチングは、なんだかんだぞろぞろと行うDTMHのベッドサイドとは異なり少人数制でInterativeに行われます。そして、それが試験で、毎回採点されます。

友達(カンボジア人医師とバングラティッシュ人医師)

 

アジャン(先生という意味です)達も、デング熱は流石に飽き飽き(この病院では誤嚥性肺炎と尿路感染症位の頻度です)しただろうとの事で、

この2ヶ月間は非常に工夫されていました

1)デング熱のマネージメント:あんたならどう補液管理する?

2)目眩で来院した患者:身体所見だけで診断しろ➠急性のMR僧帽弁逆流症(当然ながら、圧倒的に総合内科医の自分が有利です)

写真は私の共同研究者の腎臓内科医 Ajyarn Vipaと同期(バングラディッシュからきた彼女はエコーを触ったことがないとの事でした:驚きですが、それが現実です)

 

3)3週間以上続くSpike fever、LDH1,000と高値➠先生たちの診断はStill病、典型的皮疹、脾腫あり、リンパ節腫脹なしだからと・・

ただどうしてもその安易な飛びつき診断が患者さんの為に不安で、自分の反論としては(Stillは除外診断【日本人医師が得意な診断ですね】だし、似たような症状を呈するLymphomaやIgG4関連疾患なども鑑別にしれなければと提案)。少なくとも、SIL2Rと腹部造影CT、骨髄穿刺や、Intravascularも考慮すれば皮膚生検もを提案(日本と違って画像検索の敷居が異常に高いので、提案するも無理なこともあります)。ティアニィー先生のカンファでも言ってましたが、LDH nevery lie. 

➠ナント診断は非常に珍しいのですが、成人のBurkitt lymphomaでした。

 

写真は骨髄生検:僕の指導医の血液内科医 Ajyarn Supat.

この二人は私の指導医ですが、教育が好きで現地の研修医と医学生よく引き連れて回診しています。

 

4)原因不明の血管内溶血 80歳➠ 私の診断は人工弁置換後の血球破砕症候群。

その後、マルクも異常なし、Coombs陰性、脾腫なしなどなど。

 

上記のような感じで、ぞろぞろと回るDTMHの回診より楽しく、また話している英語も当初に比べると圧倒的に慣れて理解できるようになっている為に

記憶にも定着しやすくなってきました。(まず、独特な医学英語をしらなければいけないのと、どんな人の発音も理解できる慣れが必要になるかと思います)

 

勿論、DTMHコースは楽しく、仲間とお祭りをやっている感じで万人にお勧めできます。日本人医師の筆記試験対策も、同期の日本人医師に協力してもらい作成しました。後は楽しんでください。長い医師人生、気楽に熱帯の国際都市に勉強に来られるのは良いかと思います。

もし、ちょっと辛かったとしても、もうちょっと居たいなぁ~、臨床研究の勉強したいなぁ~、日本で熱帯医学の専門家としての道に進みたいなぁ~という人には残られることをお勧めします。

ただ急いで決める必要はありません。DTMH終了前の7月に説明会があり、進学するかどうかの聞き取り調査と、成績と面接から合否判定がされて、申し込みは7月に行い、その後学費を払う事で可能です。(本年は13人のうち3人が成績不良で受理されず、大学院本部での調整をうけた上でも最終的に同期の1人が進学できませんでした・・)

勿論、ご自分の合う、合わないがあり、自分の目標とするレベルを何処に定めるかに依存すると思います。自分がひとつ上の先輩に言われた事は、DTMHの講義の間にどの先生が自分に合いそうかを少しだけ考えながら講義を受けると良いとの事でした。(本当にそうでした。)