第四部 Generalist in 古都編

Generalist大学教員.湘南、城東、マヒドン、出雲、Harvard、Michiganを経て現在古都で奮闘中

Hansen病による肥大した神経 Day86

2015-06-24 19:18:23 | Mahidol University編
本日はバス旅行でLeprosarium(ハンセン氏病の病院)に研修に行きました。

つまりハンセン病(Leprosy)Mycobacterium lepraeによる感染症です。
タイでは数百名程度の感染に抑えこんでますが、隣国ミャンマーでは年間3300名以上報告されているそうです。

日本で新規罹患患者に遭遇することはまず無いですが、今回は実際の患者さんの所見からどのように【Cardinal Sign】を見つけるか訓練しました。

Cardial signsとはLeprosyを診断するための重要四大所見の事です。
①Specific skin lesion
②Sensation Loss 温痛覚障害です。
③Thickenning nerves 神経が触知できるまで肥大すること。
④Positive sikin smear(抗酸菌染色ですね!)

Leprosyは細胞性免疫の強さから病状が変わります。

LL型(らい腫型、lepromatous type)
BL型(borderline lepromatous type)
BB型(mid-borderline type)
BT型(borderline tuberculoid type)
TT型(類結核型、tuberculoid type)
I群(未定型群、indeterminate group)に分類されるのですが、ざっくり言うと要はLLに近い奴だけどTT型の所見が混ざっていたりすれば、境界領域に分類されると覚えると良いと思います。
もっと詳しくはあるのですが。。割愛して。。。

何がすごかったと言うと、③Thickenning nerves 神経が触知できるまで肥大するなんて・・あるわけ無いだろう!と講義を受けた時はそう思っていたのですが。。
下記の写真みて分かりますでしょうか?実際の患者さんに許可を撮って載せさせてもらいましたが、Great auricular nerve(大耳介神経)が触知どころか、、一目瞭然に肥厚しております。


他に触知できる神経は、Ulnar nerve, radial cutaneous nerve, median nerveなどは触知しやすかったです。
僕はこのような所見がある病気が他にあるかどうか知りません。

皮膚所見と神経の視診触診で自分の中ではSystem 1 診断が可能な疾患である事を学びました。
このように、日本にいたらほとんどがケースレポート可能なRare diseaseばかりにこの数ヶ月触れております。

またスメア検査に持ち込むか皮膚所見を観察し、Leprosyの病期分類を行う事で感覚的に理解しました。
この実際の患者さん達はボランティアで検査に付き合ってくださり、皮膚用のメスで皮膚切片を切り取りとらせてくださり、検鏡するなどの事を経験できたのは本当に協力くださる患者さん達のおかげです。



そういえば昔メンターがいってました。
「医師が患者に教えることは何も無い、患者が医師に教えてくれるのだ」と



Full time student である自分は残念ながら今は教えて貰っている事ばかりで、全く貢献できておりません。
必ず勉強をして、将来還元したいと思っています。
実際の患者さんがいる事は教科書などで勉強できない医師の学びにとって非常にありがたい事だと思います。

こうやって多々何処かにいって実体験型の研修をしていると、Mahidol DTMHが世界に誇れる長所はFieldに実際の患者さんがいる事だと感じました。

来週はHIV、結核、小児熱帯学感染症全般の筆記試験なのでまた今日から試験勉強に集中です、

折り返し地点での感想

2015-06-21 13:25:41 | Mahidol University編
皆様こんにちわ。

噂に聞いた試験ラッシュの6月です。
一昨日山場を越えました為に折り返し地点の感想を書いておこうと思います。

予想以上に(当初学生だから暇っしょ・・日本の大学的な気楽な気分でいたのですが)忙しく更新が滞ってしまいました。
1週間毎に筆記試験がありますので、終わるとその当日だけは同期と飲みに行ってまた勉強の生活に戻るといった、厳しい生活が嫌いではありません。

当初ストレスだった一回目の筆記試験が終わると、嘘の様に気が楽になり楽しんで勉強できるようになってきた自分を自覚します。
少し日本人的なスタンスを替えて、ココのやり方に適応しだしたのだと思います。

試験が終わると、やはりこの勉強をして良かったと思います。
知らない事だらけの事を新しく知る事で世界が広がっていく事が体感できました。
なんだかんだスメアや顕微鏡で焦って勉強している内に、確実に自信をもってMalaria の鑑別(PF, PV, PO, PM)やHelmintの卵などの鑑別もできるようになっていました。

極めてシンプルに言うと、今までは
病気➠患者の為に頑張る
でした。

学生である今は
病気➠地球上で何が起きているか見たい知りたい聞きたい(壮大です・・苦笑)
へと移行してきております。
これはまさに短期的責任の全く無いFull time studentの特権です。(長期的には医師としての責務は重大です。)

例えば、トキソプラズマは欧州で何故罹患率が高いか、
Sleeping sicknessは何故アフリカ東部領域が重症化するのか、
マレーシアには5種目のKnowlesiが2年前に確認され物議を醸し出している
事などなど・・
この数ヶ月で学んだ事は日本語の教科書には載っていない事ばかりでした。

面白かったのは、その病気が発見された歴史などを自分で調べると読めば読むほど面白く
日本の野口英世とVerruga Peruana(Carion's diseaseの慢性期の奴)の関わりや
Tularemia(野兎病の事。Francisella tularensisのZoonosisです)で日本人が発見に関わっていたくだりなどを偶然発見した時は感動です。

疫学が変われば、罹患率が変われば、人種が変われば、風土が変われば、
全く病気の診断、治療、予防のプロセスも変わります。自分の経験が役に立たないレベルまで違うと感動すら生まれます。

最近は実際にその国にいって、診療を垣間見たいなどと感じるようにさえなりました。

臨床にどっぷり浸かり、急性期の病院で土日も無く過ごしてきた為か今まで全く考えなかったのですが、
ふと立ち止まると一度の人生、残り限りある時間をどのように有効に使い、医療に最大限貢献していくか。

そんな事を考えるようになりました。
それはまるで高速道路を運転している時には見えなかった景色が、一旦降りてみると以外と景色をはっきり見ることができて、空気の感じや湿り気や匂いまでも気づくといった。
まぁそんな感じです。

次の目標、そしてまた次の目標、その次の目標を見据えて充実した生活を送りたいと思います。

時間が無くて、実習に来て下さった東北大学医学生さんの事を載せる事ができませんでした。ここで紹介させて頂きます。


特別実習として、一日我々の多国籍DTMH講義(炭疽菌感染症の話)に引き続き、昼休みはマラリアスメアの見方を話して、午後は近くの巨大小児病院でカンファレンス。
授業もカンファも一番前に座り大変優秀で熱心な姿に感服しました。きっと優秀な医師になることだと思います。









東京城東病院の今 その2

2015-06-05 22:28:35 | 総合診療

4月から一気に20人弱の大所帯の総合内科メンバーが集まって出発した懐かしき東京城東。


私がインターネット上で垣間見るカンファの写真や、懇親会の写真がうらやましすぎて・・

発進して2ヶ月が経過し、あつまった仲間それぞれの個性と能力がお互いに磨きあっているようです。本日は、ピーター・バーネット先生が御来院されてカンファレンスを開かれたそうです。
過去の記録からか、ありがたくもココへ「東京城東病院」の検索からた偶然どりついて来られている方も非常に多いと思いますので時々、懐かしさからUPしておきます。

第一回目筆記試験 Day65

2015-06-04 16:32:30 | Mahidol University編
皆様こんにちわ。
こちらは変わらず暑いです。

5月は何となく毎日眠く、自分でも体力が消耗してしまい不完全燃焼に終わりました。
が、月末から立て直しをはかりました。

本日はストレスの最大要因である、筆記試験でした。

私、医学生の頃は勉強していた方だと思うのですが、それを超越する位に座学に対して
短期決戦での集中力と努力が必要で・・、
とはいえ、やっぱり好きな臨床分野の事なので全然苦にはならず。。
終わってみれば何とでも言えますね。

例えば
Naegleria, Acanthamoeba, Balamuthia等のPAMやGAEの鑑別の問題や
小児の臨床熱帯医学での下痢の鑑別の問題や、
Dysentryの記述や、
ロタワクチン、
Gnathostomiasis、Shistostoma Japonica云々を

莫大な試験範囲から、記述10問、MCQ64問(A4 12枚)を180分で解くというものでした。
(来年こられる方の為に余分の時間を全て問題文の暗記に費やし、復元問題を既に作成しました!)

正直な所、記述は残念ながら英語力で差が出てしまうのでどうしようもないです。
MCQであればUSMLE原型の問題を授業にそった内用と形でやっているようなもので問題無いと思います。

結果はともあれ全力を出しきりました。終わってみれば、脳のスポーツのような清々しさ。
とても気分が良いです。

今日は、同期とワイン飲み放題(バンコクでは【安い】ワインは超高級品なのです)Partyの予定でリーダーとして率先して騒いできます。

今後の予定は、来週はマラリアの末血スメアとフィラリア幼虫、蚊の顕微鏡実技試験



再来週マラリア・デングを中心に、その他のRare Tropical disease の筆記試験
月末はHIV含めた膨大な期末試験がありがたくも用意されております。

毎日の勉強を楽しく、かつ仲間たちと楽しく、突っ走るしかありません。

さて、Mahidolは巨大な大学組織ですが、我々がいるキャンパスは昔からある良い立地にあります。


学内には本屋文房具屋もあるのですが、これが凄い本が山ほど安く(何故かは解りません・・新古?)うってあります。
当然洋書の並びは日本を越えます。


Certification of Travel Medicine の受験も来年はネパール、再来年はバルセロナであるので、いつ受験するか迷ってしまいますが、
沢山の目標ができてしまい、得意の各個撃破ができず同時並行に攻撃していくしか無い状態です。
それでもMahidolの思い出と臨床医としての新たな学びの為に、このTropical disease Clinical caseの症例集を全部やって日本に帰るつもりです。

また、私がお気に入りのコーヒーショップも紹介します。

【以外とおいしい、60THBします(250円位)、でもバンコクではすごく高い】