第四部 Generalist in 古都編

Generalist大学教員.湘南、城東、マヒドン、Harvard、Michiganを経て現在古都で奮闘中

ココでもクリスマス やんごとなき回診 MCTM day 86  

2015-12-25 22:34:58 | Mahidol University編

メリークリスマス

信仰心の厚い仏教大国タイにおいても、クリスマスは一大イベントです。

街中至るところにツリーやイルミネーションが綺麗に飾られていて、灼熱の日中に見ると何とも言えないアンマッチングさに不思議な感覚になります。

現在はエクセルファイルに膨大な打ち込み作業を朝から朝まで行っていますが、自宅の大画面で行える為にまだ気楽です。

 

さて、今日は一人の方からご質問があった為に、MCTMに進むべきかどうか、臨床的に面白いか?という事に関して記載しておきます。

MCTMのベッドサイドティーチングは、なんだかんだぞろぞろと行うDTMHのベッドサイドとは異なり少人数制でInterativeに行われます。そして、それが試験で、毎回採点されます。

友達(カンボジア人医師とバングラティッシュ人医師)

 

アジャン(先生という意味です)達も、デング熱は流石に飽き飽き(この病院では誤嚥性肺炎と尿路感染症位の頻度です)しただろうとの事で、

この2ヶ月間は非常に工夫されていました

1)デング熱のマネージメント:あんたならどう補液管理する?

2)目眩で来院した患者:身体所見だけで診断しろ➠急性のMR僧帽弁逆流症(当然ながら、圧倒的に総合内科医の自分が有利です)

写真は私の共同研究者の腎臓内科医 Ajyarn Vipaと同期(バングラディッシュからきた彼女はエコーを触ったことがないとの事でした:驚きですが、それが現実です)

 

3)3週間以上続くSpike fever、LDH1,000と高値➠先生たちの診断はStill病、典型的皮疹、脾腫あり、リンパ節腫脹なしだからと・・

ただどうしてもその安易な飛びつき診断が患者さんの為に不安で、自分の反論としては(Stillは除外診断【日本人医師が得意な診断ですね】だし、似たような症状を呈するLymphomaやIgG4関連疾患なども鑑別にしれなければと提案)。少なくとも、SIL2Rと腹部造影CT、骨髄穿刺や、Intravascularも考慮すれば皮膚生検もを提案(日本と違って画像検索の敷居が異常に高いので、提案するも無理なこともあります)。ティアニィー先生のカンファでも言ってましたが、LDH nevery lie. 

➠ナント診断は非常に珍しいのですが、成人のBurkitt lymphomaでした。

 

写真は骨髄生検:僕の指導医の血液内科医 Ajyarn Supat.

この二人は私の指導医ですが、教育が好きで現地の研修医と医学生よく引き連れて回診しています。

 

4)原因不明の血管内溶血 80歳➠ 私の診断は人工弁置換後の血球破砕症候群。

その後、マルクも異常なし、Coombs陰性、脾腫なしなどなど。

 

上記のような感じで、ぞろぞろと回るDTMHの回診より楽しく、また話している英語も当初に比べると圧倒的に慣れて理解できるようになっている為に

記憶にも定着しやすくなってきました。(まず、独特な医学英語をしらなければいけないのと、どんな人の発音も理解できる慣れが必要になるかと思います)

 

勿論、DTMHコースは楽しく、仲間とお祭りをやっている感じで万人にお勧めできます。日本人医師の筆記試験対策も、同期の日本人医師に協力してもらい作成しました。後は楽しんでください。長い医師人生、気楽に熱帯の国際都市に勉強に来られるのは良いかと思います。

もし、ちょっと辛かったとしても、もうちょっと居たいなぁ~、臨床研究の勉強したいなぁ~、日本で熱帯医学の専門家としての道に進みたいなぁ~という人には残られることをお勧めします。

ただ急いで決める必要はありません。DTMH終了前の7月に説明会があり、進学するかどうかの聞き取り調査と、成績と面接から合否判定がされて、申し込みは7月に行い、その後学費を払う事で可能です。(本年は13人のうち3人が成績不良で受理されず、大学院本部での調整をうけた上でも最終的に同期の1人が進学できませんでした・・)

勿論、ご自分の合う、合わないがあり、自分の目標とするレベルを何処に定めるかに依存すると思います。自分がひとつ上の先輩に言われた事は、DTMHの講義の間にどの先生が自分に合いそうかを少しだけ考えながら講義を受けると良いとの事でした。(本当にそうでした。) 

 

 

 


マヒドン留学時の住居:寮について

2015-12-21 00:10:54 | Mahidol留学情報
皆様こんにちわ。
既に、何名かの方はAcceptanceが大学から届いたとの事で、個人的に連絡を頂きましたが、寮の質問が多いようなので
こちらに乗せておきます。ただ私は直接知りませんので、あくまで聞いた話です。
詳細はホームページからご確認下さい。
http://www.tm.mahidol.ac.th/inter-house/?q=index
 

Q 寮に住もうかと思っていますが、勉強に集中できますか?うるさくないですか?環境はどうでしょうか?

A
私は実際に住んでいないので、これは同期の日本人やバングラディッシュ人からの情報です。
料金:正規料金11000THB➠DTMH or MCTM生は6,000THBです。
立地:大学構内、Victory monument近くです。BTSでほぼどこでも行けます。飲み会は、欧州組はSiam、Asoke等で行う事がありますが、基本的には皆、ランナム近辺に住んでいます。よって、大学在住の特権で、同期と集まりやすいです。
環境:狭いキャンパスのど真ん中にあります・目の前はセブン-イレブン(ただし9時まで)、学食も利用できますし、料理をしない方は良いかと思います。
問題は、部屋によりますが、お湯が温いことがあるそうですが、これは私のコンドミニアムでも起きることなのでどうしようもないかと思います。
安全性:極めて安全です24時間セキリュティーが座っています。
通学:大学の中にありますので、通学は不要です。ギリギリまで寝ていられます。羨ましいです。
騒音:あまり無いようです。
 

苦行の半分が終わった! MCTM Day 80 +MCTMの統計について(質問返答)

2015-12-18 23:57:08 | Mahidol University編

俗世から遠のき、ここバンコクで秘境に篭っておりました。

日本から臨床熱帯医学短期研修に来られていた日本人の先生方に全くご挨拶もできないまま、懇親会すら出れずに、本当に申し訳ありませんでした。

開始してから朝から深夜まで土日も無くミツバチの様に単純作業を繰り返して32日目

ようやく目標の1000症例を達成!! 

1症例の入院患者の全てのバイタルと検査、診療の流れ、輸液In/Out, 診断、治療等を書き取るのに平均15−40分程度かかるために、32日×朝8:30- 24:00まで休憩を考慮すると12−13時間/dayの時間を極力無駄にすることなく、もの凄い速度で相方と作業をこなしました。 

 

既に来年からMCTMまで進学を含めて考慮している先生方数名からコンタクトと質問を頂いているのですが、後続の先生方の為に記録しておきます。

タイの国民性なのか?それとも外国なのでそもそもが上手くいかなくて当たり前なのか?こういうことが起きます。私の場合はやりたい研究やテーマが一杯あったので、提案を色々としたのですが、自分の計画やスタイルを持ち込む事が日本と違って少し難しいです。そいうものといえば、そういうもので、指導医によると言えば指導医によります(血液内科医で九州大学に留学経験があるSupat先生なので、私は最も指導医に恵まれたと言われております)

なんでこんな予測外の状況に追い込まれたかと言いいますと

私のサンプルサイズの計算では757症例なのに、研究計画書のディフェンスの際に、「サンプルサイズが1400位あるとPublishの際にカッコイイね」と発言したどこかの外部の大学教授の無責任?!というかタイ人らしい鶴の一言のせいで、ありがたい「精神修行の鍛錬」に突入した次第です。

日本だったら、紙カルテでなくて、簡単に情報を手に入れれるのにとか、倫理委員会がMahidol大学は非常に厳しく(Case record formにきちんと写しとってからでないとPC入力させてもらえなかったり)、研究のプランニングの厳しさが半端無いです。

もしかしたら、こういったお作法が厳しすぎるために、無駄な時間を過ごしているでは無いか?との不安との闘いです。

勿論悪いことだけでも無くて、私が武士道精神を持ち込み刺し違える覚悟でGo Go!!するので、指導医3人が次第に熱を持ってきていて、助教授達が全員残って平日は毎日夜23時ころまで一緒にやってくれています。つまり、皆が本気です。Publishできるものをちゃんと目標として持って望めているのは、棚からボタ餅的な結果を狙うよりも健全な学びのスタイルかと私は思っています。

さてMCTMコースの質問にあった自体の全貌はまだ見ていないのでコメントはできませんが、これまでに終了したコース内容から、質問にあった統計授業は理論を学ぶよりも「実践でなれさせて覚えさせる」という内容であると認識して頂ければと思います。普通の臨床疫学・医学統計の講義は間違いなく網羅してます(ついていけるかどうかは自分たち次第ですが・・)。

半分は講義で、半分はPCを用いて実習です。ソフトは9割SPSSを用います(時々STATA)。勿論、大学の版権のものを無料でインストールしくれます。END NOTEの使い方の授業も2コマ程度あり、これも無料でインストールしてくれますし、その料金を考えると「Mahidol、ごめんね、ありがとう」です。

よって、公衆衛生大学院的な統計理論は学びませんが、臨床家としてデーターを集めて、解析して有意差や各種グラフをソフトで作成し、発表するという流れに慣れて独り立ちさせる為のトレーニングであると思いました。(一年上のH先輩も言ってましたので、やはりそうなのだと思います)。

欠点は、間違いなく期間が非常に短い事。

タイのレジデントが勤務しながら2年かけて卒業することを考えて、フルタイムとは言え5ヶ月に凝集されているので中々の噛みごたえのあるカリキュラムです。勿論、臨床から離れることは無く、週3回は今これをしながら午前のコマでベッドサイドティーチングがあります。例年、筆記試験、OSCE、顕微鏡的スポット試験なども、日本人医師には相当のストレスフルらしく、英語力があっても大変だとの事です(私はまだ知りません)

という感じで、あとはPCに打ち込む作業を450例やれば、苦行の生活からは開放されるかと思っています。

この32日間の疲弊していく様子。

100症例目

200症例目

300症例目

400症例目

500症例目

600症例目

冒頭の写真が700−800症例、NSステーションにて美人のNsにとってもらう。

 

そして、先ほどの1000症例目到達・・・。

 

今日は、久々に自宅でビールを飲めました。ゆっくり寝ます。