第四部 Generalist in 古都編

Generalist大学教員.湘南、城東、マヒドン、出雲、Harvard、Michiganを経て現在古都で奮闘中

バンコク滞在時のワクチンについて

2016-01-28 21:53:30 | Mahidol留学情報

皆様こんにちわ。

誰もがどうしたらよいか迷う、留学時のワクチンについてアドバイスを書いておこうと思います。

基本的に日本で標準的接種を行っている日本人医師であれば、こちらに来てから必要なものを打てば良いだけです。

勿論、日本のトラベルクリニックに相談すれば、あれもこれも色々と提案をうけるでしょうが、

バンコク中心部にマラリアどころか、デングすら居ません。(本来であれば日本脳炎・狂犬病、必要に応じてHAV、Typhoidあたりでしょうか)

キャンパス生活だけであれば一般論として【不要】です。

(ただ、僕らはラオスの国境近くやミャンマー国境の難民キャンプなどにいったりもするので早い段階で打ったほうがよいでしょう。)

【一般の方へ:バンコクの日赤病院やその他JCI認定されている国際病院でもどこでもやっていますが、簡便で外国人慣れしている事から、MahidolのTravel clinicはお勧めです。非常に丁寧ですから、できれば母子手帳のワクチン欄やワクチン接種証明などあるとさらに良いです。何より利益をあまり考えていないので安いです。万が一困った事があっても、概ね日本人医師が留学している事が多いです。】

 

バンコクは地下鉄MRTとスカイトレインBTSとエアポートライナーが整備された

大都会で、日本で言えば東京並です(歩道は完全にアジアな雑多な雰囲気が多数残ってます)。

 

よって、日本で何倍以上もする値段のワクチンを受けるのであれば、さっさとバンコクにきて

自分たちの病院(Hospital for Tropical Disease, Mahidol University)で受ければ良いだけです。

格安です、日本値段の1/3-1/5で接種可能です。しかも、あたりまえですが疫学と現地を把握している

この国の若きエース ワチャラポン先生かその弟子たちからアドバイスも貰えます。

 

時間帯は月から土曜日まで(土曜日はDr feeとして250THBがさらにかかります)に、

直接病院3階に出向いて受付してください。いつも空いているので直ぐに打てると思います。

 

 

 

 

 


ヘビ咬傷(Viper or Cobra?)回診 MCTM Day 104

2016-01-13 17:11:24 | Mahidol University編
本日の回診はへビ咬傷でした。
 
離島でハブ咬傷を数例見ていたので、大まかな事は変わらないのですが、ヘビの種類が違います。
細かい事を覚えても仕方無いのですが、ざっくりと捉えると良いと思います。
 
 
 
要はViper or  Cobras? 
ニューロトキシン or ヘマトトキシン?を抑えましょう。
 
elapidae (コブラ科)➠日本には概ねいないと思って結構です(マニアな危惧種はいるようですが毒蛇として活躍?しておりません)
kraits (B. candidus, B. fasciatus, B. flaviceps)
Cobras (N. kaouthia, Naja siamensis, N. sumatrana, O. hannah)
 
viperidae (クサリヘビ科)➠日本だったら有名な下記の毒蛇ですね(ニホンマムシ、ツシママムシ、ヒメハブ、サキシマハブ、ハブの類です)
pit vipers (C. albolabris, Cryptelytrops macrops, C. purpureomaculatus, C. rhodostoma)
Eastern or Siamese Russell's viper (D. siamensis)
Russell's viper 12th leading cause of death in Myanmar highest mortality rates in Thailand from Malayan krait, Malayan pit viper, and cobra bites. 
 
覚えやすくざっくりと切ると、基本的に
 
Elapidae(コブラの類、我々はCoblaと呼びます)は神経毒を持っていて、Pre synapsとPost synapsと色々らしいですが阻害して付随筋などをおこし呼吸停止などで死にいたります。➠ゲシュタルト的には、ICUでレスピレーターにつながれるイメージですね。
 
逆に見た目が無残なViperidae(我々はViperと呼びます)はヘマトトキシン=血液毒素(日本語は出血毒?)を持っていまして、血液凝固系を破綻させ(出血時間や、凝固系の検査を行う事になります)、筋組織を破壊し(横紋筋融解症やコンパートメント症候群になるわけですね➠fasciotomyでしょう)、勿論腎不全を合併するわけになります。ゲシュタルト的には、パンパンに晴れて、青紫で痛そうなイメージですね。
 
詳細な機序はこんな感じです:Bleeding disorders may be due to various or combined venom activities consumption coagulopathy due to venom containing procoagulant enzymes (for example thrombin-like fibrinogenases and activators of prothrombin, factors V, X, XIII, and endogenous plasminogen) anticoagulation due to venom with phospholipases A2 that hydrolyzes or binds to procoagulant phospholipids and inhibits prothrombinase complexes.
 
タイではViperが問題になることが多く、今回の回診の患者さんもおそらくPit viperに噛まれて(2点咬傷痕がまだ残ってます)、他院で抗ヘビ毒血清を打って転院してきました。
 
 
治療のAntivenomに関してはWHO Gulidelineありますからそれを参照されると良いと思います。
 
 
追加の補助療法としては下記程度でしょうか。 
・give tetanus toxoid booster
・antibiotics usually not needed unless necrosis present
・viper bite may require volume expansion, fresh blood transfusion or fresh frozen plasma, and early treatment of acute renal failure
・elapid bite may require anticholinesterase for neuroparalytic features and respiratory support if needed
 
やっぱりViper or  Cobras?そしてニューロトキシン orヘマトトキシン?
これを考えてマネージメントしていきます。最も大事な事はそれだけです。
 
米国などではsnake venom detection kitなるものが有るようですが、普及はしておりません。
DTMHで試験のヤマとして上記がポイントです。

余談ですが、この皮膚科の先生は何故かは分からないのですが、内科全般に精通されていて色々な事に詳しくて個人的に大好きです。クリニックに個人レッスンに行かせてくださります。
 
 
写真は典型的リーシュマニア症のDiscussionです。
 
 

バンコクでの携帯環境の入手方法

2016-01-07 15:44:09 | Mahidol留学情報
バンコクに着きましたら一番重要な事は携帯電話の確保ですね。

一人の方から携帯の問い合わせがありました為に今後の為に記載しておきます。

タイには日本と同様に3つの会社がメインです、True、AIS、Detacです。
イメージとしてTrueがDocomo、AISがソフトバンク的な感じでしょうか?
 
さて、当初わけも分からずどうしたら良いか不安になりますが、
日本よりも携帯電話やSmart phoneに関しては圧倒的に元々発達しております。
 
私の足掛け2年半に渡る努力のまとめをここに記載しておきます。
 
皆様信じないかもしれませんが、ここでは当初からSIM freeで価格競争は当たり前、コンビニエンスストアでSIMが購入できる位に
日本より数段先に携帯産業は発展していました。
 
SIMフリーの機種もようやく日本で出現してきますが、もともとバンコクは多国籍国際都市で色々な機種が出まわっております。
日本企業は完敗なのではないかというくらの勢力が韓国のサムスンやLGです。もはや高価格高品質の日本製品はあまり市場で見られません。というか人気が全く無いです。悔しいです。
 
私のお勧めは、下記の4つの携帯の持ち方です。
 
①英語力や交渉力に自信がある場合
携帯は現地でSIMフリーを購入、設定も現地でSIM購入
現地で399THBで3GB/月 で済みます。また友人たちとの通話ややりとりはFace bookとLineですので、通話料は殆ど要りません。
毎月30日毎に携帯電話の支払いとトップアップをコンビニでする必要があります。
ちなみに街の至るところにWifiがあり、この契約でパスワードをいれればPCでも携帯でもどこでも使い放題です。(日本より便利では!?)
MBKで商売をしているヒト達はおそらくインド系が多いですが、当然のようにぼったくってきますから、交渉で値切ってください。
 
私はTureが好きで(街に一杯あるから)選択しましたが、大体月は399(インターネット+Wifi)+100THB(電話はかける分だけ)です。
日本円にして、1700円/月位ですね。物価は日本とあまり変わらないこともありますが、携帯電話は頭を使えば安く済みます。
 
②機種はやっぱり日本製が良い
最近は日本で漸くSIM free機種が見られるようになりました。
日本でSIM free を購入し、現地でSIM購入
金額は日本のSIM free機種は高いですが、安心かもしれませんね。
上記と同様です。やはり機種は新品を購入するようにしましょう。日本で購入の場合は必ずBKKで使用可能かどうかを必ず確認してください。(普通は大丈夫です)
まれに店員さんは全く詳しくないことがあります。
 
③現地で日本の企業から電話の設定から何からなにまでしてもらう。下記が有名です。
 http://www.berrymobile.jp/thailand/index.php
 
2倍近く、かなり割高ですが、毎月自動に引き落とされて便利らしいです。ただ、個人的に好きに慣れない日本人街(無駄に家賃が高いだけで不便。ただ日本食多い)にあり、行くのが面倒くさいのと日本人から営利を貪ろうとする姿勢が気に食いません。
ありえない応対の日本人向けの不動産ビジネス達もそうですが、勿論ビジネスとえいばビジネスなのでしょうが、よくわかっていない英語の出来ない日本人を営利対象とするのは個人的な感情で好きではないだけです。(企業の方、本当にごめんなさい)
 
④無謀にも勇気がある方:現地で日本のスマホをUn-lockを行い、SIMを購入する。
私はこれを行いました。少々携帯には詳しく自信があったのですが、BKKでは3G−4G、時にLTEが使用できるのですがナント2Gの速度しか出なかったりします。それがUnlockの普通の通信速度になります。結局不便過ぎて①の方法で新規のSIMフリーIphoneを購入し、設定しました。Un-lockの金額は1500THB程度です。何度も修理を行ったりと結局不便ですので、他の手段をお勧めします。
 
日本とは比べ物にもならないくらい発達したバンコクの電脳街、MBKセンター(モノレールBTSでSIAMかNATIONAL Studiumで降りてください、東急百貨店と連結しております)I phonen修理からなにから、楽しいですから一度は行かれることをお勧めします。
 

DTMH前の勉学に関する準備について

2016-01-06 15:48:54 | Mahidol留学情報
皆様こんにちわ。
 
既に、私のところに4人の日本人医師のDTMH入学希望者様から御連絡がありました。
質問事項が重なると思いますので、下記に記載しておきます。
 
Q) 4月に始まるに当たって、揃えておいた方が良い教科書、しておいた方が良い勉強を教えて下さい。
 
A)私は時間がなく、ほとんどNo preparationでしたが、終わってから感じた自分が最もやっておけば良かっただろなぁという事を記載しておきます。
 
1)何よりもリスニング力の底上げ。
授業はどれだけ英語が得意な人でも確実にチンプンカンプンだと思います。ただ下記の対策があれば実りある最初の一ヶ月間を過ごせるかと思います。
というのは、日本の医師が精通していない領域でかつ、寄生虫疾患(ほにゃららら裂頭条虫、マルマル住血吸虫、回虫、顎口虫うんぬん日本語で卵の違いや病態の違い、疫学、治療など仮に精通していたとしても)で全く耳慣れない英語名のオンパレードから始まります。ですので、まず基本的なリスニング力の底上げが重要だと思います。そしてさらに不安にさせられるのが、途上国、先進国の中で日本人医師だけがそれらの言葉を知りません。他国は英語で習うために当たり前ですが知っています。私は当初全く議論に加われず、悔しい思いだけをしましたが、持ち前のユーモアと存在感だけで闘っていました・・。
 
2)臨床熱帯学用語を少しだけ暗記してくる
といことで対策として下記に上げます。
米国WikipediaのHelminthのMajorどころの一覧表があります。少なくともこれだけは覚えてこられると最初の数週間の授業の飲み込みが全く違うかと思います。
私は顎口虫の卵が・・・など授業で前の方で聞きながら、如何にも深い洞察をしているかのような難しい顔しながら辞書を引いていました。つまり全然わかっていませんでした。苦笑
 
 
 
さらに、私が勉強で役にたったのは、なんといってもCDC、WHOのサイトです。ここにおおまかの情報は載っています。よってこれを一通り見ていれば凄い速度で吸収することがデキるかと思います。
 

読んでおくべき教科書は無いです。先日帰国した際に驚きましたが、最近では日本語訳トラベルメディシン、熱帯医学関連なるものがなんと多数この1年間で出ていました。ブームなのでしょうか?まぁただ、国際医療の現場においては圧倒的に手薄な情報(ドラクエの銅の剣程度でしょうか)でしかないので、それでは全く闘えません。さらっと読めるものを読んでイメージを持ってくるだけでよいかと思います。

分厚い原著は購入して持参しては絶対にいけません。その理由は入学してから分かるでしょう。何より、授業のスライドを最初のオリエンテーションで全てもらいますが、大量すぎて鼻血がでます。とは言え、授業をサボる医師は殆どいません。特に経験年数が豊富な医師ほど熱心だったなような気がします。
毎日4コマで200ー400スライド位が溜まっていくわけです。また、大学の版権で色々と素晴らしいものが手に入ります。試験の対策はスライド・スライド・スライドの復習という王道しかありません。過去問は今年頑張って全ての講義のテストを責任をもって作成しました。是非来年からお役立て下さい。
顕微鏡スライド集はやはり、もりひろ先生のが秀逸です。
 
3)バンコクに渡る時期
特にイベントはありません、最低二日前、はやければ一週間前に来られて生活の品を揃えて、可能なかぎり観光をしておくことをお勧めしております。始まると何故か忙しく(今考えれば大したことは全くないのですが、その時は精一杯ですが何をするにも大変に感じます)全く遊ぶ余裕が無かったのを思い出します。
 
ということで、一昨日日本から帰ってきましたが、今週末はパタヤのビーチ沿いのホテルで執筆業、Topic reviewの構成、データーエントリーの最後を行う予定にしてしまっています。残された時間は4ヶ月しかありませんので、しんどいながら楽しんで参ります。
 
4)タイ語について
勉強は私はしませんでしたが、Iphoneのアプリで多数良いのがありますので、それだけで良いかと思います。Mahidol内は原則全て英語で通じます。 
また基礎タイ語講座は最初の一ヶ月で計4回無料で放課後にあります。個人的に楽しかったです。
 
今回は以上になります。
 
 
 
 

一時帰国の闘い終了 MCTM day 96

2016-01-04 10:54:01 | 総合診療

皆様こんにちわ

年末年始は連続152時間勤務という働き詰めの1週間でした。途中意識消失発作を繰り返しましたが、いかんせん幸せの閾値が極めて低い状態ですので、何をするにも楽しくこなせました。幸せの閾値が低いと病院食でも、病院の当直室でも、救急搬送の患者を全て診させてもらうことでも、何もかも嬉しく感じるもので、これも全てMahidolの教育のおかげです(苦笑)。帰国当日には直系のER医の後輩と会い銀座で飲んだりとても幸せでした。

 

初日:丸の内の皇居の目前のブルジョワジーなホテルで外国人向けの外来勤務1日

その次に、岩手の中核病院152時間連続日当直を行いに岩手に潜んでおりました。なんせ、自分のポリシーで患者さんが困っていたらとりあえず全て診るというスタイルは崩さずやっているために、体は疲弊しました。ただスキマ時間が数時間はあったりするので、その時間を上手く用いてデーターエントリー200症例がほぼ完遂できました。

 

来年以降の先生の為に記載しておくと通常タイは年末年始の休暇がありません。

大晦日と元日の2日だけです。本当は、絶対参加必須の回診がある為に(点数が減点されていく)バンコクにいなければならないのですが、自分のメンターから年末に会ってメンターメンティー会をしようとの事がありました為に(ソッチのほうが100倍大事ですから)帰国して、ついでに生活費を稼いでいました。

バンコクは直行便で6時間ですから私見たいに月1−2回帰って激しい当直をすればそこそこ金銭的に困らずに生活できます➠そういう修行が好きな方、一つの手段としてお勧めです。その際の問題は、行事やカリキュラムの日程が全く予測が立たない事。つまり出席ができなかったり、カンファが突然入ったりしますからその点に【寛容な平静の心】がとてもとても大事です。

自分の目標は単に卒業をして学位を取ることでは無く、良い成績を取ることでも無く、自分の力をつけ実力と技を磨くことなので、本質さえぶれなければ結果はあとから着いてくると思っています。

 

最近思ったのですが、今までTropical Medicine Bangkok Schoolに来られる方は、国際医療に興味が有る方が多かったと思います。

最近の傾向か感染症医やGeneralistが勉強の為に来られる方が増えているような気がします。勿論、感染症専門医レベルの方がこられるとさらに成熟した知識と経験が身につき相当楽しいと思いますが、感染症が好きなGeneralistでも十分良い学びになると思っています。

仲良しの同期う◯ま先生は感染症医で既にICTM(国際旅行医学学会認定医師)をテストで受けて持っており、トラベルメディシンクリニックで働いていた経緯もあり、英語力は勿論、そうとうワクチンなどに詳しく、彼女は凄いなぁと思ってましたが、そのレベルの方だとさらに深い吸収ができるかと思います。つまり来られた時のレベルが高ければ高いほど、深い勉強ができるし、それなりであればそれなりに幅広く浅く勉強ができるかと思いました。どちらにしてもメリットは大きいと思います。

 

飛行機の時間ですので、今日はこの辺で。皆様良い一年をお過ごし下さい。