第四部 Generalist in ミシガン大学編

Generalist大学教員.湘南、城東、マヒドン、Harvard MHQSを経て 現在ミシガンで奮闘中

Dr. Sanjay Saint@東京大学 

2023-03-21 06:44:13 | 総合診療
みなさま こんにちわ
 
関東近郊、東京都内の医師/研修医/医学生の皆様にお知らせです。
 
尊敬するSanjay Saint先生の東京大学での講演会にぜひ、ぜひ、いらしていただければ心から嬉しく思います。(僕も当日います)
前後では東京大学を散策するもよし!
おそらく小坂先生を筆頭に、青木眞先生や徳田安春先生も参戦されてプチ学会みたいになると思いますので交流を深めるもよし!
 
4月平日という指導医にとっては忙しい季節だとは思いますが、ぜひセイント先生の臨床推論での神思考プロセスを堪能し、”Finding Joy in Medicine”を聞きながら、忙しい日常の中の医学の喜びを共有してみませんか?良いネットワークが広がると思います皆様お誘いの上でぜひお越しください。
 
日時:4月13日 13:00-15:30
 
場所:東京大学医学部総合中央館(図書館) 333号
 
応募は必ず下記のURLからお願いします🙇‍♂️
�東京大学医学系研究科医学部国際交流室まで

医療現場に必要なリーダーシップスキル

2023-02-16 13:10:08 | 総合診療

みなさまこんにちわ、隠れ編集長和足です。

まさかのエイプリルフール!の日に嘘ではなく4月1日(土)から第19回ジェネラリスト教育コンソーシアム「医療現場に必要なリーダーシップスキル」を開催します。

特別ゲストになんとグロービス経営大学院の田久保先生をお迎えし、わかりやすく、医療者に必要なリーダーシップの極意を解説していきます。またゲストEditorとしてメンティーの坂口先生MD,MBAをお迎えし、今回の会に参加された先生方はムック版書籍の共著者としても医学中央雑誌に掲載されます。

コロナ禍や戦争、ChatGPT/Perplexit/SciSpaceなどのAIの爆発的な勢い(便利過ぎます)など、臨床医にとっても未来が見えにくい不確実な時代だからこそ、私たち一人ひとりのリーダーシップが試されています。総合診療のチームや組織、そして学問が発展するためには、臨床、研究、教育以上に、リーダーシップを発揮する必要があると思います。

リーダーシップについて悩む医療現場の人にこそ、このコンソーシアムが「武器」になればと企画しました。特別にSanjay Saint先生の参加もあるかもしれません(Video)。一緒に今後の医療現場に必要なリーダーシップについて考えてみませんか?

(Editor和足孝之MD,MHQS,Ph.D、坂口公太MD,MBA拝)

申し込みはコチラ

 

第19回ジェネラリスト教育コンソーシアム参加申し込みシート

第19回ジェネラリスト教育コンソーシアム参加申し込みシート

Google Docs

 

 

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfT344U4LSTQbQYyKdP_fOqC7c1BOKGYKxBNr0FHPNjO8cN9g/viewform?usp=send_form


米国の指導医講習会FD

2023-02-14 13:58:07 | University of Michigan
現在シカゴ発東京行き機内の中、この1年を振り返っております。自分の周囲の数人の平均が自分だとかなんだかとかよく言われますが、それは全くの嘘ですね。
 
現在の自分の周りにはGo BlueのMichigan Mentorsがゾロゾロと揃っているので、とてもではないですが最下層を低空飛行している気分で嫌になることが実は多々ありました。
 
そんな中で、「タカシはこれを学んだ方が良い!僕も話すから参加しなさい」とSanjay Saint先生から指示をうけFD(指導医講習会)に参加してきました。2月14日バレンタインデイ1日中です。
 
この年になると心が震えて眠れなくなるくらいの心の底から感動する学びってあまりないのものです。が、その日は違いました。
 
最後のKey lectureを務めたSanjay Saint先生の「医療者としての毎日には、喜びと幸せを」というお話には泣きそうになるくらいに鳥肌が立ちました。*日本で言うとERの父の寺澤先生のお話スタイルに近いかもしれません。
 
臨床、教育、研究だけでもない(本当にどれも超一流です)、本当の指導者というか、人間としてのあるべき美しい姿勢というか、そこにいるだけで周囲の人を笑顔にし、幸せな雰囲気にすることができる我らがボス。多分、神というか、愛に満ちた人なんです。ぜひ日本の多くの方に感じてもらいたいです。
 
実は、そういう姿にこっそり憧れ、自分で自分に絶望しては、また頑張ろうと翌日復活することを繰り返しつつ生存していたのだと実感させてもらえた日でした。睡眠を削る生活で愚痴や不満がでるとしたら、感謝の心が足りてないからなのだと自分に言い聞かせつつ。
もうすぐ羽田に到着です。
 
*そういえば、後で気づいたのですが、現在日本でベストセラーのChatter(チャッター): 「頭の中のひとりごと」をコントロールし、最良の行動を導くための26の方法を書かれたイーサンクロス先生とかも普通に指導医講習会の講師です。ミシガンの層の厚さはすごいです。

自分のデータを用いてChatGPTでSTATAプログラミングコード作成できました、ついに新時代が来た!

2023-01-28 18:41:33 | Research

みなさまこんにちわ。嬉しくて、ワクワクして珍しくブログを書いています。ミシガンは美しい雪の季節です。

 

最近話題のChatGPTで、STATAのプログラミングコード作成させれないかなと、ふと思ってやってみました。

大興奮の結果です(米国時間、深夜3時に吠えています)。

 

ChatGPTについては、普通に有名なので割愛するとして、今日は端的に実際のSTATAコマンドの作成方法を記しておきます。

これは理論上、STATAでもRでもSPSSでも使用できる(はずです)。ぜひ試してください。

 

まず興味があったのが、自分のデータを用いて、プログラムコードをChatGPTが作成できないか?と言うこと。できたらすごい。

そうすると解析が相当早くなるので助かるなぁと思っていました。

まずはChatGPTの画面から入ります。

命令します。大体どんな書き方でも、OKです。

 

論文を最短最速で作成する場合には、

まずは研究対象者の背景をまとめたTable1を綺麗に作りたいなぁと考えることが多いですよね!

 

*Dataは保護の観点からあえてめちゃくちゃにして作成しています。

"write stata code for Table.1, using this data. Divide two group by Sex"こんな感じでエクセルからダイレクトにコピペしてあとは命令します。

すると、勝手に自動でここからはデータで、ここまでは命令だなとChatGPTが判断してくれたのか、上手くいきました。

上記のように、一般的なコマンドから、Table1を作るのに必要な要素(この場合は性別の二群比較をしたいので)を教えてくれます。

 

もちろん慣れている方であれば当たり前のコマンドなのですが、初学者はスペースやコンマや( )などで上手くいかず絶望することが多いので

本当に便利だと思います。以前は、根を上げたメンティー達にコマンドを教えるのにいちいち時間を使って教えていました。

もっと言うと、例えばTable3 などで使用することが多い、多変量解析のコマンドを作りなさいという命令も一発です。

もっと複雑な解析も一発です。

 

 

このようなコマンドが出てきますので、それをSTATAを立ち上げて同じデータセットにコピペします。

 

一髪で、上手く機能します。

この間、数分です。

 

 

コマンドがわからない場合を調べることも当然できますし、DID分析なども作成可能です。

"write stata code for difference in differences regression"

 

何がすごいかと言うと、これまではSTATAのホームページやソフトのHelp機能でコマンドを調べながら試行錯誤しながら(それがまぁ楽しかったのですが)一つ一つ調べてはメモして蓄積していっていました。

ところが、自分のデータと変数を用いて、コマンドを作ってもらうことが可能になったということです。

しかし一点注意点があります。今回は情報量を少なくしているので正確に機能しているようですが、数千のサンプル数を用いたり、変数を多く入れたりすると機能しません。その場合は、極力サンプル数は少なくして、変数を優先して指示すると良いと思います。

正直、これまで苦労して勉強してきたことがわずか数分で乗り越えられてしまうと言う衝撃には笑うしかないのですが、

こういうVUCAの時代にこそ強いとされる総合診療医としてはワクワクしていると言うのがホンネです。人類の学習方法は無限に広がっていることに興奮しています。

 

ちなみにある一定の英語能力さえあれば、英文校正にこそめちゃくちゃ重宝するツールになってきていると思います(残念ながら業者さんよりも上であるのは間違いないと思います)。しかし、英文校正やフォーマット調整、リファレンス調整も、理論的にはやってもらえるのではないかと思ったのですが、無料版では文字量が多すぎて機能しませんでした。有料版であればできるのでしょうか?色々試してみたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 


医療者のためのリーダーシップ30の極意

2022-12-06 08:22:21 | 執筆書籍一覧

みなさまこんにちわ。

メンターと一緒に翻訳書を出します。(多くの人に読んで欲しいので自分の収益はほぼ0%に価格設定しています)

日本の医学部で、大学病院で、全ての病院幹部に、いやどんなに小さなチームでも、役職ある人にでも、足りていないと感じてきたことが一つだけありました。

それは医療現場におけるリーダーシップ教育。

色々な論文でも書きましたが、実験基礎医学系の研究で過去に優れた業績をあげたからといって病院長などの経営者として優れたマネージメントができるとは限りません。もちろんそれらのことが自然と身に付くこともあるかもしれませんが、所属する講座や部門、診療科を超えて病院全体や地域全体を考慮したリーダーシップを発揮できるともまた限らないと思います。

でもリーダーシップって、かなり難しくて、見えるものでもなく、良い意味で先人から盗み、自ら感得したりする必要があるものでもあり、実際のところ学ぶ機会が乏しいのも事実です。そこで、メンターのSanjay Saint先生、Veenet Chopra先生の"医療者のためのリーダーシップ30の極意"を僕なりの言葉で僕なりの感覚で翻訳させていただきました。特にSaint先生の隙のないリーダーシップと緻密なマネージメントはこの本を読んで始めて意図的に行動されていたのだということに感動しました。これが本当の世界のリーダーかと。

下記は今回の訳書の自分の思いを込めたメッセージです。許可をいただき掲載させていただきます。どうか研修医でもチーフレジデントでも、看護師としてのプリセプターでも、薬剤部長でも、師長でも、医局長でも、教授でも、院長でも、健康保健福祉部長でも、医療政策に携わる偉い人でも、一人でも多くの人に手に取ってこれらのどれかを感得し、実践していただければ訳者としては幸いです。

------訳者まえがきより抜粋------

皆さんはリーダーシップとは部長や院長など役職のある年配の人が発揮すべきものだと思っていませんか?答えは、否、全ての医療職があらゆる局面でリーダーシップをとり続けているはずです。そして数名以上の人間が揃えば大小を問わず誰でも常に発揮していく必要があります。リーダーシップとはそれくらい日常的なものであると思っています。さて、僕には人生の方向性を決定づける程のリーダーシップに遭遇することが何回かありました。その一つが本書の著者であるSanjay Saint先生、Veenet Chopra先生との出会いです。

 

2017年に僕は現場の若手のリーダーとして思い悩んでいました。どうして周囲の人は自分の所属部門だけの事しか考えないのか?どうすれば医学部を変革できるか?どうすれば優れた若手を育成できるのか?誰も答えてはくれませんでした。しかし、その時に遭遇した論文が著者の2人がハーバードビジネスレビューという雑誌で発表したものでした。そこにはリーダーシップ論やメンター論の観点から明確に答えを示してくださっていました。その美しい文章を読んだ時に心の底から救われた瞬間を鮮明に覚えています。文字通り臨床・研究・教育・リーダーシップ/マネージメンなど全ての方向から死角がない二人の姿に僕は心底憧れ、二人が在籍されているミシガン大学へ移動し弟子入りすることになりました。米国の医療者であれば誰もがその名を知る有名なホスピタリストのお二人がカンファレンスや会議で見せる時間管理術や、心理的安全性の高い雰囲気の作り方、メンバーの良いアイデアを最短最速でチームとして実現させていく姿に驚愕しました。この「リーダーシップの極意」の翻訳は、自分が地球上で最も尊敬するリーダー達の知識・技術・姿勢・経験のエッセンスを日本の読者が理解しやすいように魂をいれる作業でもありました。

 

さて、本書の翻訳にあたりお伝えしたい特徴があります。まず、この本は巷によくある企業向けの書籍やM B A関連の書籍で述べられるリーダーシップとは決定的に異なります。医療現場を経験したことがある人でこその悩み、またそのリーダーが決まって遭遇する問題の解決法などを提示しています。我々にとって日常である医療現場は、患者さんの病の苦しみや悩みに加えて様々な専門家達のリーダーシップが複雑に絡み合って構成される非日常の世界です。僕は、これまで様々なマネージメントやリーダーシップに関する書籍を読んできましたが、医療者の視点からは腑に落ちないものが散見されました。医療は限られた医療資源を最も効率的・効果的に用いることで人々の健康状態を高める事を根本的な目的としており、この点がビジネスの目的とは全く異なるからです。さらに、企業とは異なりほぼ全ての医療職が何らかの独立した専門家として患者のためにそれぞれ独自の考え方で協働しているからです。

 

次に、日本版の本書の最大の強みは、著者と翻訳者が同じ病院の現場で志を共有していること、またメンターとメンティーの関係であることです。文化的背景が異なる米国のリーダーシップやメンタリング等の内容をそのまま日本語に言い換えてしまうと逆にわかりにくくなってしまう事が多いです。編集部と相談し、少しでも日本の読者にとってわかりにくいと感じた文章や内容は、何度もSaint先生のところに足を運び、訂正し、場合によっては注釈や表を挿入しました。翻訳の作業過程にも注意を払いました。医師だけではなく、全ての医療職にとって読みやすくなるように医療の素人である僕の両親や、医学生、若手医師のメンティー達に通読と校正を依頼し、どのような初学者やベテランスタッフが読んでもわかりやすいように配慮しました。ご協力いただいたみなさま、特に丁寧に読み込んでくれた両親には心から感謝します。

 

最後になりますが、本書「リーダーシップの極意」が医療の現場で自然と広まり、実践されていくことで日本の医療がさらにより良いものになっていくことを心から願っています。

↓↓リンク

 


大学総合診療ダーツの旅始めました

2022-12-06 08:08:04 | 総合診療
みなさま
忙しくてあまり更新できていなかったのですが、実は日本にこっそり帰ってきて北は秋田大学から南は群星沖縄まで弾丸ツアーを開始しております。無症状でもCOVID-19の検査を受けつつ、コロナに注意しつつ(Ann Arborの家に帰国できなくなるので)
 
さて、今日はJapan Tour Day 5でした。
七大学総合診療をめぐるダーツの旅。
小松発の特急列車降りた時から〜、福井駅は恐竜だらけ〜(津軽海峡冬景色的音階)
 
真面目に語ると、今日は学生時代から憧れていた林寛之先生の総合診療チームに白石先生と僕で訪問し勉強させて頂きました。 
 
おそらく北米型ERと総合診療と家庭医プログラムが見事に融合している大学プログラムはココだけではないか?というくらいにたまげました・・・。
 
明快な境界がないので、学びたい人にとっては様々なトレーニングを用意している福井大学は本当に興味深く、元気のある人材が豊富でスタッフの層が厚く素晴らしかったです。
 
システムの構築、学習者のための愛と配慮も素晴らしく、これも一つの大学のGeneralistの形態としては理想系に近いなと感じます。盗めるところはどんどんと吸収したいと思います。
 
チームというか、総合診療部というか、福井の雰囲気をみているとやっぱり福井にはダイナソー(恐竜)がいたんだな、脈々と続く歴史あるダイナソージェネラルはたぶんココだけです。
 
そして、いつも島根では歩いているだけで組長と若頭的なちょいワルな雰囲気を醸し出す白石・和足コンビですが、林先生の前では二人とも借りてきた猫のように萎縮しているのが超絶面白かったです。
林先生、福井大学のみなさま本当にありがとうございました!
 
 

グッドデザイン 金賞 受賞しました!

2022-10-12 05:12:03 | 総合診療
みなさまこんにちわ。
色々と忙しく過ごしているうちにあっという間にAnn Arborに移り住んで1年が経ちました。色々ありました。
この一年は専門医機構や学会運営や、雑誌のacademic editorや、査読や、毎日の会議のような日本の仕事を大量にこなしてきました。
 
振り返れば、できるだけプライベートの時間を確保するためにインターネットを駆使して、生産性や作業効率を高めるための工夫をする毎日だったと思います。
さて、そんな中で島根の仲間の皆さんのおかげで、とても嬉しいグッドデザイン賞(しかも金賞)を受賞しました為に省察してみました。
 
臨床ができる医師の集団はいると思いますし、
教育ができる医師の集団もいると思いますし、
研究ができる医師の集団もいると思います、
が、
地方国立大学から受賞できるということは本当にすごいことだなと改めて思います。全ては白石先生の4分間のプレゼンテーションと島根のみなさまの奮闘のおかげです。
 
デザインって、アート的な要素以外に僕はシステムを構築するためにこそあると考えてきました。このブログの記事にも大学院の授業などで記載していた日々が懐かしいです。
 
以下、日々の心の動きを書き留めたものです。
 
グッドデザイン賞 金賞と総合診療医
 
日立、Panasonic、Xbox、ワコール、Dell、SEIKOなどなど、錚々たる企業の中で僕らのNEURAL GP network(島根)が金賞を受賞しました。
これは確認した感じでは大学開闢以来、というか島根県をあげての大金星です。
単なる一地方国立大学が潤沢な資金で展開する企業とCutting edgeな領域で勝負するのはなかなかできることではないので、決定通知に感動しました。(どうか我らが白石先生のプレゼンを試聴下さい)
デザインと聞くと美術とかアートとか、見た目がカッコイイとか想定されるかもしれませんが、僕は違う個人的感覚をもっています。良いデザインとはどれだけ多くの人の「あぁ、それだ!それな!」的な共感のエネルギー的ポイントを見抜くか、それをいい感じにわかりやすく概念化できて、それを実際に現場で動かすことができるか?結局は、デザインを突き詰めると僕はリーダーシップとマネージメントなのかなと考えてきました。
パートナーである大石さんにまだセンターが始まる前に無理難題を押し付けたことが懐かしいです。ホームページとバーチャルオフィスのイメージは、いわゆる大学的なものではなく、絶対青っぽいティール色を採用してほしいと訴えでした。そう、この色はティールカラーです。
日本の構造的問題ですが、年功序列であまりわからない人が古典的リーダーになってしまい組織を機能停止させてしまうようなものにだけはしたくなかったのです。
所属・役職・年齢・出身大学関係なくそれぞれがリーダーとしてネットワークを自分でも自由に動かしていく。結果的に自分達の夢と自己実現をしていくのだという思いを込めています。ホームページには医療統括鑑や偉い人もおられますが、僕でも一番したにちょこっと乗せるくらいで多分いい。総合診療の主役は現場のリーダー達ですから。
性別・医師年数など全てのバイアスは極力排除し、全体のために提案された優れた意見は全て採用し、まず実践してみる。できないではなく、どうすればできるか考えていく、そんな思いの込められたティール色なのであります。
大学の教育現場は想像した以上に委員会や会議が多く疲弊することがあります。
ただでさえ忙しく、そしておそらく報酬も一番低いのに真面目に頑張っている医学部教員の負担をどうすれば減らせるか?さらに学生の能動的学習を向上させられるか?その答えがNEURAL GP networkを用いたオンデマンド教育の公開でした。ゆくゆくは、教育面での費用対効果の向上を狙い、文部省を中心としてミニマムリクワイアメント的な一部の授業や、臨床教育の講義などは全国統一で行える可能性もあるかもしれません。指数関数的に増え続ける医学情報の爆発に、医学教育現場は足し算だけではなく、引き算を考える時がきているのかもしれません。そして、やはり教育は得意な人、やりたい人に貢献していただく。能力を一番発揮できる場所で輝いてもらう、これに尽きるかと思っています。
総合診療医こそ、このような視野・視座・視点を調整して貢献する様々な活動に向いていると僕は思っています。共感力が高く(論文用のData揃いましたのでいずれ発表します)、規定路線に捉われないニュータイプの人の割合が多く、横断的俯瞰的視点をもっていることが多いためです。まぁ、そんな事を考えながら試行錯誤で色々とチャレンジし続けていると、Design thinkingというのはとても楽しいものだと感じます。やはり、島根の仲間の皆様がすべからく素晴らしいからこそ、毎日楽しめているのだと思います。本当にありがとうございます。
ちなみに、このようなDesign thinkingのマインドセットはHarvard MHQSという大学院で学んで感動した部分でした。だから若者に共有したく授業を開きたいと思います。2023年度から坂口先生と専門家の先生も呼びながら島根で教育活動開始予定です。
最後になりますが、みんなの夢をのせて最高の4分プレゼンをしてくださった我らがカリスマ白石先生、センター開始前の志とビジョンを語る段階からお付き合いつくださった益田工房の大石さん、最強情熱バックアップを下さる院長と医学部長、医療統括鑑、そして島根の総合診療医の皆様と事務の皆様のおかげです。本当にありがとうございました!
*グロービスの田久保先生もありがとうございました(4年前に出雲のお寿司屋さんでトップビジネスマンはみんなデザインを学んでいるって教えてくださり、そうなんか!と純粋に影響されました)!
引き続き、僕らがやりたいこと、やれること、やらなければならないことの中央突破を頑張ります。
 
グッドデザイン金賞受賞 審査員コメントです。
全国的に地域医療の従事者が少ないという背景の中、医学部の中にできた「総合診療医養成プロジェクト」という新しい枠を活用し地域医療従事者を増やそうとする仕組みと、関係性のデザインが素晴らしい。地域医療を担う医師が大学でも教え、また学生も地域に出ていくことで総合診療医のなり手を増やすにとどまらず、教育のネットワークがそのまま地域医療のネットワークとなり、地域での医療的課題やお互いの日常的な気づきも共有できている。地域医療の人材やネットワークが、そこに住む人の安心・安全を心理的にサポートしてくれることに繋がり、結果としてその地域に住みたい人を増やす公共的なインフラ価値を作っている。

ナイジェリアのラジオパーソナリティーに話し方を学ぶ 300円

2022-09-04 23:28:57 | 総合診療

みなさまこんにちわ。

 

突然ですが、4年前から今の師匠でありボスのSanjay Saint先生に憧れていました。大学教員として思い悩んでいた頃に、メンターはメンティーを選ばなければならないという衝撃的な論文がHarvard Business Reviewから出ていました。ふとその記事を読んだ時に電撃が走りました。

もちろん元々セイント&フランシスという教科書をポケットに入れている意識たかい系の医学生でしたので先生の存在は当時から存じておりました。

 

一年以上前に志や思いを精一杯詰め込んでお手紙を出したことを思い出しました。そしてこの時も自分のメンター徳田先生の完全バックアップがありました。

結果的に、僕はVisiting professorとして、こちらに来させていただきました。そんな感じでスタッフや学生に紹介されると毎回恥ずかしく申し訳なく、Studentと言ってほしいくらいです。

完全に厚遇したいただいているので・・なんだか本当に申し訳なく、本当に感謝しかありません。その分いろいろな圧力からかファカルティースタッフと共同研究がやりやすく進むので助かっており、貴重な時間を充実して過ごしております。

 

さて最近思うところあり、破壊的円安以外の事はいい感じに目標を達成しつつあること、大学業務のタスクシフトや多くの業務の権限譲渡もうまくいっており結果が出てきていること、

また総合診療領域で日本全体の改善活動を客観視しつづけるために、Michiganにもうちょっといる方が良いと判断しました。

僕のやるべき仕事は、自分が思う"なんとかしければならない大きな問題"の診断と治療であると思い続けているからです。

研究費や日本から様々な要請次第ですが、未来をどう生きていこうか考えていこうと思います。

 

もちろん専門医機構や学会関連の様々な公的な仕事はプロレス的にストロングスタイルで生活を犠牲にしながら無報酬で受け続けていますが、時間の制約もあり今後それ以外の依頼は考える必要があるかもしれません。

深夜3時や朝5時の会議が毎日あるのは流石に体が対応できないので原則的にメールやスラックで対応しようと思います。

 

さて、前置きが長くなりましたが、今日はナイジェリアのラジオパーソナリティーの先生に話し方の個人レッスンを受けました。

非常に美しい英語で、カッコイイのです。なので、僕の見た目は髪も髭もボーボーですが、せめてお話する姿くらいはカッコよくなりたいなぁと。

料金は大体30分300円くらいです。安い!笑

 

せっかくなので、その要点をメモしておきます。いつか振り返ろうと思います。

個人的な練習法としては神田伯山(昔は松之丞といつ名前でした)さんが好きで講談を聞いてクチマネをしながら自分の領域にどう応用するか模索していました。結構、世界共通するものがあるなと思います。

 

ナイジェリアのラジオパーソナリティー:デニスの教え

1声は一番いい声を腹部から共鳴して出すことを意識する

2自分の一番良い声は録音して自らでキャリブレーションしていく

3ピッチ(話す速読)は緩急をつけながら、一般的な人が話す平均の速度であることを目指す

4(顔の表情は音で伝わるので)、相手が心地よく聞けるように(誰もいなくても)常に笑顔で話す

5 目の前に自分にとって心地が良い人、好きな人がいる様子を想像しながら、語りかけるように話す

6 姿勢:腹から声が出るように大きくリラックスしたポジションを意識する

7 言葉と言葉の間の無音(ポーズ)を意識する。

8常に自信を持って話す。

9話す姿を鏡に映してメタ認知を働かせる

と教えてもらった時点で、タイムオーバー。

300円でめちゃくちゃ良い学びになりました!

また、面白い共有すべきことがあればマイペースに記載してみます。

 


なぜ総合診療医がふえなかったかについての対談:雑誌総合診療9月号

2022-08-30 00:34:48 | 総合診療
みなさまこんにちわ。
 
あまり商業誌の宣伝とかは苦手ですが、今回ばかりはみんなと一生懸命取り組んできた7年間の集大成的なまとめですので、どうか感慨に耽った文章お許しください。
総合診療9月特集を担当させていただきました。
 
「なぜ総合診療医は増えにくいか?」どうしたら改善するか?
 
偉い人達にもGo signをいただき、総合診療において本質的な問題だった事や克服方法など全国のみなさまと共有してよいとのお達しをうけました。
 
全ては2017-18年くらいに悶々と燻りながらと一人でやっていた【人材はいっぱいいるのに田舎の島根でなぜ総合診療医が増えないか】と言う根本原因分析に始まります。
 
そしてどのような戦略であれば一つ一つ乗り越えられるか?どうすれば薩長同盟的ネットワークをつくれるかetc について白石先生との身内暴露対談で書かれています。これは、全ての大学の総合診療、病院間の壁などで共通する問題であると思います。
 
また今回の特集テーマは島根の総合診療の若手・中堅に「実は自信なくて聞きたいけど、聞きにくい」内容を調査しました。
 
パレトチャートで洗い出してみれば、上位3割位のテーマが島根の現場の8割くらいを満たしていることに気づきました。それらを網羅的にジェネルマインドのあるベテラン、あるいは専門家の先生に、ジェネラリストの視点で問題と解説を作成頂きました。学習効率を考えて、全項目で特講ビデオもプロにお願いして作ってもらっています(二重査読並びに版権チェック、画像監修済です)。
 
*一部リーダーシップ関連はグロービスの田久保先生に登場頂いています。
 
さて一度問題を解いてみてください、ココ苦手かも!?と思ったらやってきました確実に成長のチャンスです、QRコードから総論ビデオに飛んでぜひ1.75倍速で試聴ください。多くのビデオは8分に絞っています。
 
最後になりますが、いつも無理難題の意見を出す変な人に対して、快く?ヒーヒー言いながらも総合診療医の養成と地域医療のボトムアップのために尽力くださる皆様、そして医学書院の杉本さんに感謝です。
 
特に典型的「よそ者、若者、ばか者」であった自分を広い大地で保護くださる県行政のトップ、院長、医学部長、15名のコアメンバーの信頼する先生方、秘書さん、そして多くの仲間のみなさまに感謝申し上げたくおもいます。すべてはみなさまの作りあげた思い出が詰まった本だとおもって一生大切にします。感涙 
 

 


double-tongue sign&Black hairy tongue sign の論文

2022-08-25 23:27:57 | 総合診療

 

みなさま、こんにちは!和足です。ミシガンは随分涼しく早めの秋がきました。出雲の美味しい海の幸が懐かしいです。

新しい大学総合診療運営の形として島根のNEURAL GP networkも随分と活性化してきました。

これまでなかった出身大学、年齢、役職など無視して各自にリーダーとして動いてもらうティール組織構造です。

いやぁ、離島でも、島根でも、インターネットで物理空間すら問わない便利な(僕にとっては過酷な)時代になったものだと思います。

 

さて、今日はしまね総合診療センターのチーフレジデント吉村なみ先生が執筆された舌診の身体診察論文がCLEVELAND CLINIC JOURNAL OF MEDICINEから出ましたので紹介させてください。

 

実は彼女が後期研修医として最初の5ヶ月間で、毎週彼女の初診外来を背後霊のようにベッタリと毎週指導させていただいていました。非常に患者さんへの共感的態度が素晴らしく、その時に「先生〜、見たことない所見があります〜!」と毎回色々と相談くださっていたのですね。

 

初診外来はフィジカルという武装を行って興味深々に待ち構えていることで全てが学びになるし、毎回楽しいのだと少しは感じてくれたのではないかと思います。

 

シンプルですが、県立中央病院の先生方の力作です。  

スクリーンショット 2022-08-23 16.59.02.png

https://www.ccjm.org/content/89/8/435.long

 

総合診療医たるもの舌診を大事にしており、Ludwig angina でdouble-tongue signを見つけ、抗生剤を使用しているうちにBlack hairy tongueの所見が現れたというあまり米国ではあまり着目されていない舌の身体所見です。

 

ちなみに、この所見は日本では二重舌として耳鼻科や口腔外科の先生たちには常識ですが、double-tongue signと勝手に名付けて、以前僕と師匠でBMJ Case reportから発表していました。

 

https://casereports.bmj.com/content/2018/bcr-2018-225559

口腔底の占拠性病変に特に特異度の高い所見だと僕は確信していますが、感度・特異度は分かっていません。

 

他には、我が家の坂口先生とも以前Black hairy tongueをJGFMから発表して楽しんでいましたので、どちらも島根では結構知られている身体所見です。

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/jgf2.300 

 

ということで、タテ・ヨコ・ナナメの僕らの島根のNetworkだとこのような臨床に直結した論文であればいつでも楽しく簡単に発表できるので、県内でも、県外でも、国外からでも、遠慮なくご相談ください。