第四部 Generalist in 古都編

Generalist大学教員.湘南、城東、マヒドン、出雲、Harvard、Michiganを経て現在古都で奮闘中

なぜ総合診療医がふえなかったかについての対談:雑誌総合診療9月号

2022-08-30 00:34:48 | 総合診療
みなさまこんにちわ。
 
あまり商業誌の宣伝とかは苦手ですが、今回ばかりはみんなと一生懸命取り組んできた7年間の集大成的なまとめですので、どうか感慨に耽った文章お許しください。
総合診療9月特集を担当させていただきました。
 
「なぜ総合診療医は増えにくいか?」どうしたら改善するか?
 
偉い人達にもGo signをいただき、総合診療において本質的な問題だった事や克服方法など全国のみなさまと共有してよいとのお達しをうけました。
 
全ては2017-18年くらいに悶々と燻りながらと一人でやっていた【人材はいっぱいいるのに田舎の島根でなぜ総合診療医が増えないか】と言う根本原因分析に始まります。
 
そしてどのような戦略であれば一つ一つ乗り越えられるか?どうすれば薩長同盟的ネットワークをつくれるかetc について白石先生との身内暴露対談で書かれています。これは、全ての大学の総合診療、病院間の壁などで共通する問題であると思います。
 
また今回の特集テーマは島根の総合診療の若手・中堅に「実は自信なくて聞きたいけど、聞きにくい」内容を調査しました。
 
パレトチャートで洗い出してみれば、上位3割位のテーマが島根の現場の8割くらいを満たしていることに気づきました。それらを網羅的にジェネルマインドのあるベテラン、あるいは専門家の先生に、ジェネラリストの視点で問題と解説を作成頂きました。学習効率を考えて、全項目で特講ビデオもプロにお願いして作ってもらっています(二重査読並びに版権チェック、画像監修済です)。
 
*一部リーダーシップ関連はグロービスの田久保先生に登場頂いています。
 
さて一度問題を解いてみてください、ココ苦手かも!?と思ったらやってきました確実に成長のチャンスです、QRコードから総論ビデオに飛んでぜひ1.75倍速で試聴ください。多くのビデオは8分に絞っています。
 
最後になりますが、いつも無理難題の意見を出す変な人に対して、快く?ヒーヒー言いながらも総合診療医の養成と地域医療のボトムアップのために尽力くださる皆様、そして医学書院の杉本さんに感謝です。
 
特に典型的「よそ者、若者、ばか者」であった自分を広い大地で保護くださる県行政のトップ、院長、医学部長、15名のコアメンバーの信頼する先生方、秘書さん、そして多くの仲間のみなさまに感謝申し上げたくおもいます。すべてはみなさまの作りあげた思い出が詰まった本だとおもって一生大切にします。感涙 
 

 


double-tongue sign&Black hairy tongue sign の論文

2022-08-25 23:27:57 | 総合診療

 

みなさま、こんにちは!和足です。ミシガンは随分涼しく早めの秋がきました。出雲の美味しい海の幸が懐かしいです。

新しい大学総合診療運営の形として島根のNEURAL GP networkも随分と活性化してきました。

これまでなかった出身大学、年齢、役職など無視して各自にリーダーとして動いてもらうティール組織構造です。

いやぁ、離島でも、島根でも、インターネットで物理空間すら問わない便利な(僕にとっては過酷な)時代になったものだと思います。

 

さて、今日はしまね総合診療センターのチーフレジデント吉村なみ先生が執筆された舌診の身体診察論文がCLEVELAND CLINIC JOURNAL OF MEDICINEから出ましたので紹介させてください。

 

実は彼女が後期研修医として最初の5ヶ月間で、毎週彼女の初診外来を背後霊のようにベッタリと毎週指導させていただいていました。非常に患者さんへの共感的態度が素晴らしく、その時に「先生〜、見たことない所見があります〜!」と毎回色々と相談くださっていたのですね。

 

初診外来はフィジカルという武装を行って興味深々に待ち構えていることで全てが学びになるし、毎回楽しいのだと少しは感じてくれたのではないかと思います。

 

シンプルですが、県立中央病院の先生方の力作です。  

スクリーンショット 2022-08-23 16.59.02.png

https://www.ccjm.org/content/89/8/435.long

 

総合診療医たるもの舌診を大事にしており、Ludwig angina でdouble-tongue signを見つけ、抗生剤を使用しているうちにBlack hairy tongueの所見が現れたというあまり米国ではあまり着目されていない舌の身体所見です。

 

ちなみに、この所見は日本では二重舌として耳鼻科や口腔外科の先生たちには常識ですが、double-tongue signと勝手に名付けて、以前僕と師匠でBMJ Case reportから発表していました。

 

https://casereports.bmj.com/content/2018/bcr-2018-225559

口腔底の占拠性病変に特に特異度の高い所見だと僕は確信していますが、感度・特異度は分かっていません。

 

他には、我が家の坂口先生とも以前Black hairy tongueをJGFMから発表して楽しんでいましたので、どちらも島根では結構知られている身体所見です。

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/jgf2.300 

 

ということで、タテ・ヨコ・ナナメの僕らの島根のNetworkだとこのような臨床に直結した論文であればいつでも楽しく簡単に発表できるので、県内でも、県外でも、国外からでも、遠慮なくご相談ください。