第四部 Generalist in 古都編

Generalist大学教員.湘南、城東、マヒドン、Harvard、Michiganを経て現在古都で奮闘中

Boseと、3音と、アレクサと

2019-04-22 15:49:31 | 総合診療

 みなさま、こんにちわ。

最近はもう人生が変わるくらいの買い物をしました。その名もアレクサ搭載のBOSE home speaker 500そんなに高くないのに、初めてスマホを買った時と同じくらい毎日の生活で手を離せなくなりました。

 
ことの流れは、レクチャーや授業です。どうにか手持ちの心音の音源が綺麗に出せて前の人だけ出なくどこにいても聞こえる?スピーカーが欲しかったのです。
 
僕はミレニアル世代の今時の研修医の気持ちがわかるようなわからないようなギリギリの世代であると認識してます。
 
普段から大学教員として頻回に講義をおこなうことが多いので、
初学者にお話するときにはどうしたら伝わるのか?
どのような話し方や内容が学生や研修医にとってわかりやすく、そのテンポだったり、双方向性の確保をできるかなどなど、時には極力スライドを使わないでやってみたりと色々試行錯誤です。以前お話したように、伝統的な大講義でおとなしく座って学生はただ教員の話を聞くというスタイルは効果が乏しいので極力採用しない方が良いなどの文献も出てきていますよね(工夫の仕方によってはもっとも効率的に有効にさせることも可能ですが・・)
 
最近は、心音の聞き分けをできるまで帰れまテンのようなことをしているのですが、
一番緊張するのは機械やスピーカーによっては音が出ないということに気づきました。
(遅すぎですね・・笑)
 
講演会場の設備によって、自分でも聞きとることができない3音だったりするので、これはもはや研修医には不可能ですね。そこで神戸や広島、大阪をめぐり、探しに探しました。
 
で、調べた結果です。
どうも講義室などの天井についているスピーカーの出力音域によっては100Hz未満で圧のような低音はカット(出せない)されてしまうようなのですね。低音を得意とするかどうかは、スピーカーのスペック表に記載されている「周波数特性域(周波数帯域)」で調べます。
 
だいたい○○Hz~○○kHzのように記載されています。
 
この最低音域が100Hz以下なら、通常の生活では重低音がしっかり響くと考えていいのですが、過剰心音3音・4音に限れば50Hz未満くらいまで出せないと手持ちのスマホの音源が出力できないことに気づきました。これがなかなかありません。
 
条件は
0 低音50Hz程度の過剰心音が全てしっかりと音として出せること。
1 機内持ち込み用のRIMOAのスーツケースで可能なサイズ
2 ぐるぐると教室を歩いて聴き手と会話して進めることが多いのでBluetooth搭載
3 値段は5万円未満
4 海外に持っていっても使えること
 
色々と聴き比べてこの時点で、満たしたものが冒頭のBOSE のスピーカーであったのです。しかもよくわかりませんが、360°なんとかという、どこにいても聞き取りやすい音らしいです(確かに!すごい)
何よりレクチャーのためと思って、知らずに買ったらなんとこの機会にはAmazon Alexaが搭載されていて、それが楽しいのなんのって。
 
たとえば「アレクサ、夜の感じの静かなジャズをかけて〜」って言えば、適当に自分の好みに合うような曲をかけてくれます。しかも、音声でボリュームを上げたり下げたりだけでなく、天気や色々なことも聞けばなんでも音声で教えてくれて・・。もはや神です。
 
ということで、自分の一番のおもちゃになっていて、自宅に帰って早くアレクサ君と会話したいという欲求にかられています。
 

J-COSMO発射! 我々の目指すはFREE!!! Fun Relax Easy Effective

2019-04-11 16:22:34 | 総合診療

みなさまこんにちわ。

ついに、我々の心を込めたJ-COSMOが発動しました!いやー実際に、発射すると本当に感動ものですね。

と言っても、この雑誌は編集主幹を務める我らがSSN(Sakamoto Sou ni Naritai)がリーダーとして仲間を集めて、新進気鋭の臨床家たち(女子アナのリンコさんもいますが)に執筆をしてあっちから、こっちから、いろんな角度から明日から役に立つ情報だけに絞って医師主導で作り上げてきた内容なのです。

はきっり言うと、黄金期の週間少年ジャ●プや、サンデ●、はたまたコロコロ●ミック的な、色々な視点からの内容になってるんですね。やる気があるひとも、ない人も、自分の診療科だけ勉強したい人も、当直などで色々な疾患の対応が必要になるひとも、財テクしたい人も、なんでもOKです。

編集のSさん、Mさん、みなさんがとても我々のエナジーに同調してくださって、これまでの発刊されている既にたくさんある雑誌とは【全く一線を画している】ことがわかってくださると思います。

わかりやすさと、親しみやすさ、医学書を読むときの辛くなさを可能な限り考慮していますので、まるでネットの記事を読むような感覚で目を通すことができるはずです。そんな感じでもバリバリの臨床医からチップスを惜しみなくいつの間にか与えてもらえる。その辺りは、ベテラン指導医の難しい文章ではわかりにくいとことが多かったので、とっても考慮してます。

合言葉はFree(勝手に考えました、編集者のかたゴメンなさい) 

Fun

Relax 

Easy 

Effective

そう、そう、SOU, SSN!! これが僕らが編集者が目指している視点です。

さて最近は、ストレス?からか恥ずかしい病気になってしまって(決して悪いシモの病気ではない)、疲弊なのか、やはりアラフォー体に変調をきたしてきているので運動を適度に行い、過度の飲酒をしないように注意です。これから、2週間は神戸、益田、呉、名古屋ですね。太るなぁ〜。

 

 


しまねからこんにちわ Vol.4

2019-04-02 17:05:55 | 診断エラー学

皆様 こんにちわ

春になり、年号も決まり、これから自分はどうやって行きていくのか、次の年号が変わる時まで自分は何歳になっているのか(生きていられるのか?)

よくわかりませんが、勤務医として激しい働き方をしてきた自分はそろそろ体にポロポロとほころびが出てきていますので、メンタルと体力と両方を運動しながらマネージしていかないといけないと決意しております。

 

さて、ドクターズマガジンの連載4回目が出ていましたので、こちらにも生原稿を転載しておきます。

 

しまねからこんにちは Vol. 4 

「医者こそ、もっと寝せなさい!!」

暖かい春の日差しを浴びて、草も木も研修医もすくすく伸びる4月。ココしまねは、一年で一番の輝きを放っております。そして今月末から恐怖のゴールデンウィーク10連休。当直やオンコールから避けられない読者の皆様ならその恐怖が納得いただけるかと思います。自分の経験でも年末年始などの長期連休は他の病院・医師が休む時期であるからこそ、ジェネラリストの出番であると信じて働き詰めでやってまいりました。そう、「医師が不眠不休で頑張る事≠患者さんにとって良い事」という事実を認識するまでは・・。

 

僕はバンコクに留学前の1年間関東中の様々な救急告示病院で患者さんの不利益にならない限り断らずに救急車を受け続けると言う事をしておりました。今思えば、勤務して欲しいという需要に不眠不休でも精一杯答えることが医師としてカッコいいと信じていました。どこからか声が聞こえてきます「坊やだからさ。若さゆえの過ちと言うやつだよ」と(シャアアズナブル風に).自分は寝ていないと不機嫌になるし、判断に影響が出やすく、本当に苦い思いもしてきました。驕りではなく、1日8時間のみの勤務だったら絶対にしないような判断ミスも数多くしてきたのではと思います。

前回まで、診断エラーの学術的なことをお話してきのですが、今回はそのような働き方と診断エラーの観点からの小話を。色々な職種の人と交流も増え、某航空会社のパイロットの知り合いができました。彼曰く、それはそれは厳しい睡眠と健康管理が義務付けられているそうです。それはなんでも【人の命を預かる極めて責任の重い仕事】であるからだそうで、当たり前の義務であり権利であると。確かに飛行機に乗ることが多い自分としてもいつもあの強風と雪の出雲縁結び空港にいつも安全に着陸させてくださり感謝です!そこで、ふと気づきました、【人の命を預かる極めて責任の重い仕事】って・・・僕らじゃん!! と言うか、診断の付いていないド緊急の業務や処置をすることが多いまさに医師の仕事ではないですか!何故医師は睡眠をとらなくても許されるのでしょうか?では、寝てないことと診断エラーはどうだろうと疑問が湧きます。2018年にLancetから働き方改革もビビる際どい論文が出てました。34時間以上の連続勤務をしている医師は休みをちゃんととっている医師より460%も診断エラーが多く、また前日の睡眠時間が6時間に満たない外科医はよく寝た外科医の170%も手技での合併症を与える可能性が高いそうです。ゲゲっ本当ですか!?ここまで多いのですか!!でも、過去のやらかした思い出は決まって連続勤務中であったので、確かに自分の反省や経験と一致してしまいます。こんな研究もあります、医師が患者に与える有害性の研究など背景的にもできなかった時代にNEJM(2005年)から連続勤務と医師の交通事故に対する前向き研究の結果が出ました。ここでは24時間以上の連続勤務をした後は車の実際に衝突事故が2.3倍も高く、事故直前のヒヤリハットが5.9倍も高くなると。比較的複雑な思考過程を要しない車の運転ですら、明らかに当直明けは超絶リスクな訳でありまして(この車の事故も経験があります)、これが認知バイアスや感情や疲労などをもろに影響を受ける臨床と診断であればなおさら危険と感じます。そう、十分な睡眠と診断エラーは直結しているのですね。経験的にも、感覚的にも、数値的にも。

 

不安になられたた病院経営や医療安全に携わる先生方大丈夫です!! 米国でのパイロット(笑) 調査では、研修医に対して16時間以上の連続勤務を制限した上に、次の勤務の前に必ず8時間以上の休息を取らせるようにした結果、重大なアクシデントは20%以上も減り、また診断エラーに関しては1/4-1/6にまで減少したそうです。昔、体育会系のマッチョな指導医によく言われた言葉で「寝れる時に寝ておけ、食える時に食っておけ!」と言うものがありましたが、これはまさに診断エラーの観点からとても大事です。指導医の皆様、研修医が昼間に寝ていても、「こいつはデキる!医療安全を考慮して居眠りしているのだね」と褒めてあげてください。まさに【寝る子は安全】なのですね。

パイロットさんに対する飲酒や睡眠と安全性の話題も大事ですが、十分な睡眠も取れずに疲弊しまくっている臨床医をたっぷり寝かせる事はもっと重要かもしれないと思います。だって僕らの仕事は【人の命を預かる極めて責任の重い仕事】なのですから。働き方改革が我々医療者にとって、そして国民の皆様にとってどのような展開を見せるか。これからくる新時代が楽しみでなりません。

 

1) A sleep prescription for medicine, Lancet. June 8, 2018 http://dx.doi.org/10.1016/ S0140-6736(18)31316-3

2) Extended work shifts and the risk of motor vehicle crashes among interns. N Engl J Med 2005; 352: 125–34