第四部 Generalist in 古都編

Generalist大学教員.湘南、城東、マヒドン、Harvard、Michiganを経て現在古都で奮闘中

闘魂外来 in 湘南厚木

2016-07-30 16:11:39 | 総合診療

 

皆様こんにちわ。
プライベートでバタバタしており、(帰国して住民表が、国民健康保険が、税金が、、)
中々更新できないくらいに移動し回っております。
 
さて先週は闘魂の神様 我が師 徳田安春先生が御降臨され一緒に闘魂外来を湘南厚木病院で開催しました。
 平日昼間というのに多くの医学生にお集まり頂きました。
 
 
闘魂外来とは、医学生の為の実践型実習であり、僕の場合は大学生時代にこういうポリクリをしたかった、こういう学びをしたかったという思いの反動でボランティア精神満載で医学生を第一線に立たせて実践を行っています。
 
私が医学医の頃、期待を抱いて行ったポリクリで、後ろで立たされて1日中見学のみで留まったり、臨床業務が忙しくてそっちのけになったり(本当は上手くやればいくら忙しくても医学生とのやりとりは可能です:宿題を出して患者を見させてプレゼンさせるなど・・ )自分がこうすればもっと、医学生は喜ぶのではないか、こういう事を本当はしたいのではないか?そんな思いでいつもアドリブでやってます。
 
 
 
 
 
 
 
そこでは医学生が学んでいる机の上での教科書的内容や、テストの問題とは全く異なり、自分たちが医療の現場で何も知らないことを知り、何もできない事を早くから知るというとても良い利点があります。
 
今までの頂いた感想文などを見ていると、 卒前医学教育での自分の立ち位置と医療の現場での立ち位置のギャップを知ることで、心のそこから学びたいという思いや、何を学べば良いか等が自然と自覚されてきたように感じております。それはまるで、研修医になって数ヶ月の間に焦りながら、学ぶあの感じ、そうあの感触です。
 
 
 
 
 
早く現場にでることは必ずしもいつも良いわけではありませんが、これまでの医学生を見ているとやはり全く眼が違ってくるなという印象です。希望があれば、受け付けておりますし、今や全国で様々な熱心な若手中堅医師がボランティアで教えてくれる時代です。よろしければネットで検索してみてください。

徳田安春先生 臨床研究ワークショップ in 湘南鎌倉 

2016-07-26 13:04:13 | 総合診療

徳田安春先生による臨床研究の進め方のワークショップに参加するために古巣にいってまいりました。

実に卒業して以来数年ぶりでしょうか。
5年間を精一杯生きた(Survive)、充実していて楽しかった時間でしたので、逆に簡単に訪問する事がためらわれていました。
 
院内はかわらずホテルの様にキレイで、逆に日曜日にも関わらず常に職員と患者さんに溢れている雰囲気に胸が苦しくなります。
なにより土日にも関わらず楽しく院内で何かを学んでやろうと働いている若手研修医を見ると自分が恥ずかしくなるくらいに眩しかったです。
 
さて、私の目的はどのように徳田先生がTeachingをしているかを観察して学ぶことでした。
 
勉強会の内容は、最初のこの言葉から始まりました。
「今日はレクチャーはしません、いきなり実践してもらいます」
参加者全員にノートPCを持参してもらい、難しい話はせずにアドリブのPracticeから入りました。
 
 グループの中で自分達が最近読んだ論文から
PICO(ないしPECO)を上げさせて、まずは慣れさせる。
 
 
 
その後に、自分の最近のクリニカルクエスチョンを上げさせて、
PICOないしPECOを設定して、Confunding factorを列挙させるというものでした。
 
今後はCase record form的なものを作成した後でExcelに移していく
次回1ヶ月後に、先行研究を調べてから、それに沿ってDataの記入を行うシートを作るところまでが宿題となりました。
 
後輩たちの等の合言葉は「忙しいだけでもない、アカデミックだけでもない」土日も無く奮闘している後輩達が羨ましく感じました。
 
さて、その後個人的に学生時代からの友人で初期後期チーフ時代同期に子供がめでたく産まれたとの事でお祝いにおじゃまさせて頂きました。
 
 
若かりし頃通いまくった新羅亭の焼き肉はとっても今の僕には高いけど・・・懐かしく、思い出が美味しかったです。
 
 
 

城東祭り

2016-07-18 23:49:15 | 総合診療

さて本日は日本プライマリーケア学会認定医試験・指導医講習会で一瞬だけ東京にいました。

高速バスなどで成田に向かうと錦糸町を過ぎたあたりの高速道路から昔の職場が一瞬だけ見えます。

そんな一瞬が実は自分のお気に入りで懐かしいことを思い出しては自分に負けてはいけないと思っていたり、いなかったり・・

ということで、御大徳田先生と野獣クラブ総帥 小野先生、城東の仲間達がイベントを行うとの事で告知です。是非色々な方と接点が出来ますので行かれてみてはいかがでしょうか?

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【8月6日(土)は城東祭り】


地域医療機能推進機構(JCHO)東京城東病院に総合内科が創設され、1年が経ちました。

若手主導型の小規模地域教育病院として、

・既成概念にとらわれない
・少数精鋭
・地域密着型日本版ホスピタリスト育成

を掲げ、切磋琢磨の毎日です。


そこで、勉強したい!成長したい!そんな皆さんのために城東祭りを企画しました。
城東ならではのプログラムを多数ご用意しています!
皆さま是非お越しください!


【対 象】
研修医を想定していますが、どなたでも参加可能です。

【企画内容】
目から鱗企画1
★城東マニュアルカンファレンス特別編!★
城東=マニュアルカンファ。明日から使える問診ワークショップを開催。
チーフ森川が厳選した「城東マニュアル」を謹呈します。

目から鱗企画2
★徳田安春先生 身体診察レクチャー★
徳田先生の身体診察を直伝!
当院で毎週ラウンドに来てくださる徳田先生のレクチャー城東祭り限定ver.
本物からじかに教わる喜びを共有しましょう!

緊急企画!
★野獣クラブオフライン★
野獣クラブ総帥・小野先生渾身の新感覚勉強会を体験!
FBメンバー1000人超を誇る秘密のグループがベールを脱ぎます。
ワイルドな名前と見た目に反し、女子にも人気の勉強会です。


【プログラム】
12:30      開場 : 受付開始
13:00-13:05  Opening Remark
13:05-14:40  城東マニュアルカンファ特別編
 ・レクチャー「病歴聴取」
 ・問診 WS  (25分×3session) 
  ①胸痛
  ②腹痛
  ③院内の発熱  
14:40-14:45 休憩
14:45-15:55 野獣クラブ オフライン
15:55-16:00 休憩
16:00-17:00 徳田安春先生 身体診察レクチャー
17:00 - 1715   Closing
1730~  移動して懇親会(別途実費です)

【参加費】無料

【定 員】先着30名 
空きがあれば当日飛び込み参加も可ですが、事前登録の方には配布資料をデータで差し上げます。

【申込み方法】下記URLよりご登録ください。
http://jotofes2.peatix.com/

【お問合せ】
城東病院総合内科秘書 小山きよ枝
jososec@gmail.com

※東京城東病院では病院見学も受付中です(平日昼間)


誤診学のススメ Diagnostic Error in Medicine 1st Euro に参加してきました。

2016-07-04 20:52:21 | 総合診療
皆様こんにちわ。
現在、学会参加の為にRotterdamにきております。
人生めぐりめぐって、時代は回るとの事で、
まさにシカゴで前回悔し涙を飲み、鼻水を垂らしながら地団駄を踏んだ4年前の雪辱を晴らしに闘いを挑んできました。
 
なんの学会かと言うとDiagnostic Error in Medicineという診断エラーを研究する内容です。
皆様にはあまり馴染みがないでしょう。
 
ですが、実は総合診療医である自分にとっては臨床教育と今後自らの専門として日本の為に頑張ろうと思っている分野の一つでもあります。
 
Mahidolに本コースで在籍している時には筆記や実技テストなどで忙しすぎて全くその余裕が無かったのですが、研修医だったころから参加しております。
 
今回は初のEuro開催(Erasmus MC Hospital)ということでオランダにきております。
いやはや、オランダのこの大学病院の大きさたるや、見たこと無いレベルでした。
 
前回シカゴでの辛い思いをした45分に及ぶMain case conference discussionへの採択連絡が1ヶ月前に届き、会場全体から吊るしあげられるのでは無いかという不安とプレッシャーは中々(きっとこういうものを5回くらいすると何とも思わない程度になるのでしょうね)。
 
 
誤診学と紐解けば、(以前医学書院のJIMに寄稿して掲載してもらっています(下記ごらん下さい。)
 
日本では全く言われていない馴染みが薄い言葉です。
そもそもそういうものを学問として確立するアイデアさえ本邦にはあまり存在していません。英文誌がほとんどですね。
しかし実は、様々な報告や文献が2006年頃から着目されてきており、医療経済学的に10%−25%程度の医療費の損失に匹敵し、尚死亡数の5−10%に及ぶ、また解剖時に診断が異なった事は9%に及ぶなどの報告と見解があったりします。
 
皆様はどう思われるでしょうか?
つまり、高齢化が進み、医療費が増え続け、喫緊の社会問題になってきている昨今、私は今後Key academic fieldになるであろう学問として考えております。そして10年後に自分のようなたった一人の個人の医師が日本という国に対して貢献できる方法になるのでは!?そういうことを考えていたりします。
 
診断のために、いろいろな検査や技術を研究するのは医師はとにもかくにも【大】好きですが、実は医療現場でかなり多くの事に関わっているとされるDiagnostic errorの原因を研究し、減らすことで結果的には前者のようにお金がかかる学問よりも有効な可能性を感じている次第です。
 
もし良かったら、以前私が医学書院様のJIMに寄稿させて頂いた【誤診学のススメ】からの編集前の一部抜粋をお読みください。
 
〜抜粋〜
現在米国は訴訟社会の中、検査偏重、画像偏重の流れはより加速しており、医療費の抑制はままならない状態である。またDiagnostic errorは全医療費の約30%を占めている可能性も示唆されており、そのような中でDiagnostic errorの認知と評価,そして期待が2000年以降徐々に進んできている5,6)。Shojaniaらの報告によると米国における入院時に死亡した剖検例の24%にDiagnostic errorが見られ、予後や転機に直接つながったと考えられるErrorは9%に及んでいたとされた7)。またWinterらの報告でも同様に、ICU患者での剖検5863例でのメタアナリシスの結果、29%にDiagnostic errorを認め、死因に直結するDiagnostic errorは8%に及んでいたとされている。これは全米の入院患者でDiagnostic errorにより年間4‐8万人程度の死亡者が出ている事になると推定され、入院時死亡例の20人に1人は防ぎ得た死である可能性が示唆されるとまで言われるようになってきている8)。これだけ臨床現場においても、医療経済的にも重要な位置を占めながら、Diagnostic errorの実際の把握、検討、それらを減少させる為の大きな潮流はまだまだ不十分である
本邦において誤診と紐解けば、有名な逸話に冲中重雄東大名誉教授の誤診率がある。教授在任中の誤診率が14.2%であると発表した際にベテラン医はその低さに感嘆し、一般市民はその高さに驚愕した内容だ。しかしながら以降、自らの誤診率を公言したり、病院や行政を巻き込んだ大規模研究や評価を耳にした記憶がない。概して、これまでの日本の医療、医学教育の中にもErrorを無くす為の教育は皆無に等しかったと感じている。誰もが自分の不名誉な部分には顔を向けたく無い、また臨床家として病を追求することは極自然な事である。しかし、孫子の兵法書にある「敵を知り、己をしれば百戦危うからず。」の言葉通り、そろそろ敵(病)だけでなく、己(Diagnostic error)についても知る努力をすべき時なのでは無いだろうか。
 
5)Iglehart JK. Health insurers and medical-imaging policy-a work in progress. N Engl J Med. 2009 Mar 5; 360(10):1030-7.
6)Kostopoulou, et al. Diagnostic difficulty and error in primary care – A systematic review. Family Practice.2008. 400-413.
7)Shojania KG, et al. Change in rates of autopsy-detected diagnostic errors over time: a systematic review. JAMA. 2003 Jun 4;289(21):2849-56.
8)Winters B, et al. Diagnostic errors in the intensive care unit: a systematic review of autopsy studies. BMJ Qual Saf. 2012 Nov;21(11):894-902.
 
〜抜粋〜