Waraの『True Rise』

備忘録 ”鮎の友釣り”と”Flyfishing”と、時々、”映画”

酔いどれ小籐次留書

2009年03月21日 02時03分45秒 | My Favorite Books

歴史小説は歴史上実在した登場人物の生き様を描いたものであるが、時代小説は実在した人物、架空の人物、歴史的事実を織り交ぜた、よりエンターテイメント性豊かな物語と言えようか。
書店の文庫本コーナーでは時代小説、歴史小説が山と積まれ、昨今のブームを象徴しているが、
その中でも突出したペースで時代小説作品を発表しているのが”平成のベストセラー作家”と呼ばれている佐伯泰英だ。文庫書き下ろしという形態で、1ヶ月に1冊強の創作と言うから驚きのペースである。

かつては、池波正太郎や藤沢周平の時代小説を夢中になって読んだものだが、年々増える仕事上の責任やストレスで活字とは徐々に疎遠となった。ネットがその代替になっていたようだが、久しく忘れていた時代小説の面白さを再認識させてくれた作家が佐伯泰英である。
※池波正太郎の「鬼平犯科帳」が好きで、長男の名前を長谷川平蔵から頂戴し「平蔵」と命名しようと思ったが、じゃーまに叱られてあえなく断念したこともあったっけ。

佐伯作品はシリーズ化されているものが多く、ほとんどが現在も継続中である。
「居眠り磐音 江戸双紙」、「密命」、「秘剣」、「夏目影二郎始末旅」、「吉原裏同心」、「交代寄合伊那衆異聞」、「古着屋総兵衛影始末」、「鎌倉河岸捕物控」、「長崎絵師通吏辰次郎」、「酔いどれ小籐次留書」 何と10シリーズだ。

そして、今一番ハマッテいるのが「酔いどれ小籐次留書」だ。
主人公が自分と同じ年齢の初老の下級武士(サラリーマン)という設定もさることながら、他家から受けた主君の恥辱をたった一人で”意趣返し”(仕返し)する・・・現代では忘れ去られている”忠誠心”が心を打つのだ。会社に入社したての頃の”青雲の志”というか”純粋(ピュア)な心”が甦るようだ。「リストラ」に「派遣切り」 ”忠誠心”どころか、仕事へのモチベーションさえも亡くしてしまいそうな現代の宮仕えであるが、小藤次と一緒に酔いどれて、仕事の憂さを晴らしたいものだ。