VIVIEN住生活総研

住生活ジャーナリストVivienこと藤井繁子が、公私を交えて住まいや暮らしの情報をお届けします!

団塊世代の住替え意向調査

2007年02月23日 | 住宅業界
リクルート住宅総合研究所が調査した「団塊世代の今後のライフスタイルと住まいに関する調査」の記者報告会を実施した。

今回、調査を担当した島原主任研究員から1時間半ほど調査結果をプレゼンテーション。
  
インターネットによる調査の為、バイアスがかかる項目もあるが(最終学歴大学が46.4%など)
1都3県在住の1947~51年生まれ(団塊は47~49年であるが、他調査との便宜上5年区切りに)の男性と、その年齢の夫を持つ女性各750名、
首都圏の団塊世代1500世帯を調べた結果であり、今後、クロス集計なども可能な規模の調査である。

内容はHPにもUpするのでご覧頂きたいが少し私が気づいたエッセンスを紹介    (3/1現在まだUpされていません・・・お待ち下さい

●現住居; 戸建持家[50.7%]  マンション持家[25.3%]  賃貸・社宅[14.9%] 
                           ※持家計76%  (同、国勢調査2005年70.3%)
       
         
              → 金融資産マイナス層(全体の16.7%)の内、マンション持家29.6%
                金融資産5000万円以上層(全体の11.7%)の内、戸建持家62.3%    と全体より高いのが特徴         
                                                 ※金融資産=60才時点の[貯蓄額ーローン残高]  

              → 現住居の不満:[賃貸・社宅層×手狭なこと] 42% と不満項目全体で最も高い値
                             →しかし賃貸層の住替え意向は[賃貸]64.2%と引き続き賃貸志向

ちなみに、金融資産マイナス層の住宅購入時期が突出しているのは1995-99年。バブル崩壊後にも関わらずキツイ状況だ。
  

などプロフィールを見ても、人生60年生きてきたら一概に語れない個々の環境差。
団塊世代としての志向性より、金融資産状況が消費行動と連動するのである。

●お金に対する意識; 男女で明らかな志向の違いが見れた。(10p以上開く項目)
     ・[全体3位]多少お金がかかっても豊かな老後: 女性78.4% vs  男性67.5%
     ・[全体4位]老後は質素な生活・お金を節約: 女性56.5% vs 男性67.6%

●具体的な暮らしイメージ
     ・[全体1位]夫婦の絆/時間を大切にしたい: 女性54.3% vs 男性42.7%    
               意外に、男性の方が消極的・・・諦めてる? ※結婚していない人(離婚死別含む)7.5%
しかし!1位の回答ではあるが、複数回答なのにYesと言えない人が男女共半数近くいる事に驚いた。 

現在[夫と別居]女性は8%→今後[別に暮らす希望]女性は11%と、思いの外数字には表れない熟年離婚。
しかし、先のお金・生活に対する志向性の男女差で、一緒に暮らすのだろうか?

私は団塊ジュニアや団塊の世代の住生活を豊かにする【同棲(同居)と別居とマルチハビテーション】を提案しているのだが 
今回調査では、離婚せず【別居】によって“自分の生きがい”を大切にする暮らしが大人の団塊世代なら達成できると感じた。 

結果一世帯としては、マルチハビテーションとなる訳だが、この調査でも意向を聞いている
●マルチハビテーション(複数居住)希望
      ・是非:6.7%+できれば:29.9%=36.5%意向あり        ・既に所有している:15.1%

これはネットのせいか、多い結果(現日本全国平均のセカンドハウス保有率は2.9%)
ただ別の調査でも首都圏や50歳代ではより高くなっているので、非現実的な数字ではない。             
フランスのセカンドハウス保有率10%に近づけるよう、団塊の世代から頑張ってみたい!


またリタイア後の具体的な住まいについては、[現住居のまま]46.2%[リフォーム]21.9%を除き、[住替え意向あり]23.6%の内
●住宅購入:9.7%、 住宅建築(建替含む):8.5%

面白かったのは、住替え先が[マンション購入]層の「多少お金がかかっても豊かな暮らしを」選択が90.9%
                  [注文建築]層で同86.8%と強く出ていて“豊かな暮らし=豊かな住宅”感がここにも残っている。 
Vivien研究員(左)と野口所長(右)も加わってディスカッション。

金融情勢により住替えの動機付けも複雑ではあるが、団塊世代、母数が多いだけに10%のニーズを実現すれば大きいのである。
まだまだ住宅マーケットも打ち手があるような調査結果であった。