vagabond の 徒然なるままに in ネリヤカナヤ

エメラルドグリーンの海,溢れる太陽の光,緑の森に包まれた奄美大島から,乾いた心を瘉す写真をお届けします。

今年行った展覧会ベスト5

2004-12-31 16:55:37 | 美術
今年も今日で終わりです。世間では,災害や暗いニュースが多かった「災」の一年でしたが,私的には,職場が変わり,また,Blogを通じて色々な人たちと出会って物の見方が広がり,美味しいもの,素敵なものとの出会いも多かった充実した一年でした。来たる年がさらに良き年となるよう祈りを込めて,今年行った展覧会ベスト5をお贈りします。

★第1位★
今年のベストは,文句なく「マティス展」でした。マティスの作品のうちでもこれだけ良質なものが一堂に会することはなかなかない上に,展示方法やコンセプトにも深く感心しました。これだけの展覧会を企画し,大成功を収めたスタッフの方々の熱意と努力には頭が下がります。また,美術館の独立行政法人化も着実に成果を挙げていると感じられました(この点は,賛否両論あると思いますが…)。
「赤い室内,青いテーブルの上の静物」が一番のお気に入りなのですが,「ポリネシア,空」も良かったぁ。今年の年賀状は,この「ポリネシア,空」っぽいイメージのデザインを使ってみました。

★第2位★
次は,「栄光のオランダ・フランドル絵画展」です。他の作品もそこそこ面白い作品が来ていたとは思いますが,フェルメールの「画家のアトリエ」に尽きます。この展覧会を4回見に行ったのですが,4回とも,最後の間の「画家のアトリエ」へ直行しました。というのも,その昔,いわゆる卒業旅行の折りに,この絵のためにウィーン美術史美術館を訪れた際,補修か何かのためお留守にされていたため,お会いすることができず,と~っても残念な思いをしたことがあるので,このチャンスを逃すともう見られないのではないか,と思ったからです(それにしても極端かな?)。
初めて見た「画家のアトリエ」は,果てしなく透き通った光と,様々な装飾品のシックな美しさ,そして何よりも,画家とモデルとの間の見つめ見つめられるエロティックなまでの緊張感が最高に素敵でした。フェルメールの独特の世界がさらに好きになりました。いつの日か,フェルメールの全作品をこの目で見たい,そう思いました。
それにしても,ウィーン美術史美術館は,よくぞこの絵を遙か日本まで貸し出したものだと思います,大英断ですね。恐らく,日本側のスタッフの粘り強い説得もあったのではないかと思います。
ちなみに,森村泰昌さんが,6月の新日曜美術館で,セットを作ってこの絵を再現していました。タイルの大きさ等から,実は描かれている部屋はそれ程大きくないこと,画家とフェルメールの距離はかなり近いこと,計算され尽くした遠近法が用いられていることなどを知りました。最後にはモデル役の扮装までして写真に収まる森村さんの姿には笑ってしまいましたが…

★第3位★
千葉市美術館で開かれている「伝説の浮世絵開祖 岩佐又兵衛 展」も素晴らしい展覧会でした。これまで日本画を集中して見ることはなかったのですが,今年は,琳派展,御舟展等,日本画を見る機会にも恵まれました。特に又兵衛展は,20年ぶりの包括的な展覧会であり,前館長の辻惟雄氏の又兵衛にかける思いと,それを展覧会の実施という「形」に仕上げるスタッフの方々の熱意を強烈に感じました。
また,この展覧会を機に「奇想の系譜」という名著とも出会い,歌川国芳,曽我簫白らへと関心が広がったことも今年の収穫。まだまだ面白いものが沢山ありますねぇ。楽しみ,楽しみ。

★第4位★
川村記念美術館での「ピカソ ジャクリーヌ・コレクション展」も素敵な展覧会。西欧の古城を思わせる外観を持ち,森に囲まれ,そして高い天上と広々とした展示スペースのある美術館でのピカソの名品の数々との出会いは,得難い経験でした。トータルな存在としての美術館の有り様を考えさせられました。立地が良くはないため,経営的には大変だとは思いますが,是非,川村記念美術館には今後も頑張って欲しいと思います。これからも応援します!

★第5位★
最後は,「琳派 RIMPA展」です。今日本画の中で最も注目を浴びている「琳派」の系譜にスポットを当て,俵屋宗達,尾形光琳から酒井抱一,横山大観,前田青邨,そして加山又造,さらにはクリムト(!)まで見せてしまうというダイナミックで意欲的な展覧会でした。この展覧会を切っ掛けに,今年は,日本画を結構見ることになりました。
もっとも,東京国立近代美術館での展示状況はあまり良いものではなく,もう少し工夫すればもっともっと素晴らしい展覧会になるのになあ,と思いました。例えば,常設展の展示スペースをワンフロア削って,特別展のスペースに変える等の大胆な解消策を考えて欲しいものです。

というわけで,今年もあと数時間で終わります。拙Blogにお付き合いいただき本当にありがとうございました。
今年は,「御舟展」や「草間彌生展」等,Blogを通じて存在を知った展覧会も多く,いずれも素敵な展覧会ばかりでした。Blogの威力を強く感じました。
また,来年も,自分なりに「少し気になるBlog」にできればなあと思っておりますので,よろしくお願いいたします。
それでは,良いお年を!!!

最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
来年もよろしく (おけはざま)
2004-12-31 19:13:03
vagabond67さん

今年はお世話になりました.

来年もよろしくお願いします.

ぼくも展覧会ベスト10書いたのでTBさせてもらいました.



よいお年を!
返信する
拝見しました! (はろるど・わーど)
2004-12-31 22:22:59
こんばんは。

TBありがとうございました。



マティスについては、拙ブログにも色々と書き込んで下さいました。エントリーも含めて、vagabond67さんに、マティスの見方を教えられたと思います。ありがとうございました。



フランドル絵画展は私も行くべきでした。後悔…。



ピカソ展は、川村の方が作品が栄えていたようですね。

私は東郷青児の方で見ましたが、ちょっと窮屈そうでした。



いつもvagabond67さんの美しい写真にうっとりしています。

来年も楽しみです。

それではよいお年をお迎え下さい。
返信する
今年もよろしくお願いします! (ra-goo)
2005-01-01 00:35:39
新しい年もたくさんの感動に出会えますように。

美術展の口開けは源氏絵@出光の予定です。

美味しいもの報告も忘れません、今年もよろしくお願いします。
返信する
Unknown (イッセー)
2005-01-02 01:55:29
vagabond67さん

新年明けましておめでとうございます。イッセーです。

ベスト5拝見しました。マティスは最終日の前の日に行ったので、あまりに混んでいて落ち着いて見れず印象が薄いんです。やっぱり混んでない時期にゆっくり時間をかけて見ないと、と少し反省してます。

今年もよろしくお願いします。
返信する
今年もよろしくお願いいたします。 (vagabond67@管理人)
2005-01-03 00:22:38
皆様,本年もよろしくお願いいたします。



>おけはざまさま

TBありがとうございます。おけはざまさんの紹介してくれた「文庫もの」かなり惹かれています。少しずつ回ってみたいと思いますので,また有益な情報をお願い致します。



>はろるど・わーどさま

お褒めにあずかり恐縮です。はろるど・わーどさまのBlog自体もすっごく楽しみにしているのですが,それにも劣らずBlogネームがお気に入りなのです,実は。何てったって,私のは,vagabond(バカボン・放浪者)ですからねー。でも,今年は,その名に恥じない(?)新たな展開をしたいと思います!期待(??)していてください!!



>ra-gooさま

拙Blogへの今年の初コメントありがとうございます

美しいもの,心動かされるもの,まだまだ沢山ありますよねー

今年も元気いっぱい行きましょう!

源氏絵もなかなか良さそうですね。

そういえば,源氏物語,最後まで読んだことがありません。高校生のころ,与謝野源氏で挫折,瀬戸内源氏も3巻ぐらいで挫折してしまったー

でも,NHK大河ドラマの関係上,今年はまずは宮尾本平家物語からですかねぇ。



>イッセーさま

新聞社等とのタイアップものはどこへ行っても激混みですよね。

私も出足が遅い方なので,展覧会では混雑していることが多いのですが,最近はBlogでの混雑情報をチェックして作戦を立ててから行くようにしています。ホント便利ですよね。

今後も,情報交換よろしくお願いいたします!
返信する
あけましておめでとうございます (lysander)
2005-01-03 18:16:52
TBありがとうございました。



昨年は、教えていただいた川村記念美術館で

ジャクリーヌ・コレクションを堪能できまし

た。また、いろいろ教えてください。



今年もよろしくお願いします。
返信する