vagabond の 徒然なるままに in ネリヤカナヤ

エメラルドグリーンの海,溢れる太陽の光,緑の森に包まれた奄美大島から,乾いた心を瘉す写真をお届けします。

今でもクライバー

2004-09-14 22:59:44 | 音楽
カルロス=クライバーの死が伝えられてから2か月が経とうとしている。今でもまだ心にぽっかり空いた穴が埋まらないでいる。思えば,クライバーとの,そして,クラシック音楽との出会いは1986年のことであった…
当時,私は,大学のオーケストラのチェリストに恋をしていた。彼女はコンサートに向けてある曲を熱心に練習していた。
その曲とは,ベートーヴェンの交響曲第7番。
ちょうどそのころ,カルロスがバイエルン国立歌劇場管弦楽団と共に来日していた。演目は,7番と4番。貧乏学生の私は,四畳半の下宿で,NHK FMから流れる昭和女子大学人見記念講堂でのライブ録音に聞き入った。世の中にこれ程素晴らしい「音」と「リズム」があるのかと驚き,全身を雷で打たれる思いがした(アンコールは,「こうもり序曲」と「雷鳴と電光」)。
彼女への思いが募るに連れて,カルロスの紡ぎ出す音楽,さらにはクラシック音楽の深く広い森へと歩んでいった。
結局,彼女への思いはかなわなかったが,カルロスの7番から始まったクラシック音楽との縁は,今でもなお深まる一方である。
私にとって,カルロスは,一番好きな指揮者を超えて,唯一無二の指揮者でさえあった。
その後,1988年,1994年とカルロスは来日したが,先立つものがなく,涙をのんで他日を期した。借金をしてでも行けば良かったと心底悔やまれる。
カルロスは,録音嫌いで,お蔵入りしたマスターテープが相当あると聞く。海賊版もそれなりに集めたが,今後,徐々に出てくるであろう正規音源を少しずつ辿り,私の青春時代に幕を引きたい(もう中年の真っ直中という気もするが)。
今日,11月にウィーン国立歌劇場を振ったカルメン(DVD)がリリースされるということを知った。早速予約してしまったが,手許に届くまで待ちきれない。