僕の感性

詩、映画、古書、薀蓄などを感性の赴くまま紹介します。

ダス・ゲマイネ

2017-10-24 18:06:02 | 文学
太宰治の小説に「ダス・ゲマイネ」という作品がある。


これは昭和12年6月1日に新潮社から初版発行された太宰の第二著作になる。

ダス・ゲマイネとはDas Gemeineと書き、ドイツ語で「通俗性」とか「卑俗性」という意味になる。

また太宰は意図的にダブルミーニングを仕組んだといわれる。

青森弁で、「んだすけ まいね」という言葉が、「だから駄目なんだ」という意味を持つからだ。

主人公はラストの場面の、「頭が悪いから駄目なんだ。だらしがないから駄目なんだ」という言葉で示唆している。

作品の内容は、4人の太宰治の分身が、「海賊」という雑誌を作ろうとするが、仲たがいにより頓挫するという物語だ。

実に個性的な、芸術性を顕示しようという若者たちの軋轢を
ものの見事に描き切っている。

また太宰の文章がさえている。

恋をしたのだ。そんなことは、全くはじめてであった。・・・・好きなのだから仕様がないといふ嗄れた呟きが、
私の思想の全部であった。二十五歳。私はいま生まれた。生きている。生き、切る。私はほんとうだ。好きなのだから仕様がない。


最後に、この書籍には著者近影ということで、口絵代わりの太宰の写真が掲載されている。



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2 コメント

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ダス・ゲマイネに、そんな意味が😆 (雀(から) )
2017-10-24 19:59:55
昔、難解なままに、一応読みましたが、何を言わんとしているのか全然解りませんでした😅 今、やっと解決できたような? 有難うございました🙋
太宰は、小説家と言うよりは詩人だと思っていますけど👼
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雀(から)様へ (僕の感性)
2017-10-25 19:02:07
コメント有難うございます♪

確かに太宰治の文章は散文的というよりは
抒情的な言葉の集合体のような気もします。

彼は古今東西の作家の作品や評論を
読み漁り血や肉とする勉強家でありました。
けれど来客があると、読み途中の本を
サッと隠したそうです。
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