僕の感性

詩、映画、古書、薀蓄などを感性の赴くまま紹介します。

四十八歳(シジュウハッサイ)の抵抗

2010-01-28 00:04:05 | Weblog


石川達三の「四十八歳の抵抗」を読んだ。

主人公の西村耕太郎は床屋で顔剃りをしてもらっているときこう思った。

「このまま自分も老い朽ちて死んでしまうのか。何かしらしきりに口惜しい。もっと何かあってもいいのではないかと思う。五十ちかい人生を生きてきて、碌な恋もしなかった。実らない恋のまねごと位はしたことがあるが、遠い昔の話だ。さと子(彼の妻)は会社の先輩の妹で、先輩にすすめられて貰ったのだから、恋愛でも何でもなかった。さと子が居なければ、もっと美しい恋もしたかもしれない。」

人生の頽齢期にたった男、西村がもっと華やかで危険で生き甲斐のある人生に賭ける物語である。平凡な人生に対するささやかな反抗を試みる中年男性に、世の男性は、はたまた世の女性はどういった感情を差し向けるのであろうか。


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