ルネ・クレマン監督、アラン・ドロン主演の1960年に製作されたサスペンスタッチの映画です。
1950年代後半、ローマ、イスキア島。出身の卑しいアメリカ青年リプリー(アラン・ドロン)は金持ちの放浪息子フィリップ(モーリス・ロネ)をアメリカに連れて帰るようフィリップの父に依頼されるところから物語りは始まります。しかし、フィリップは帰ろうとせずリプリーは5千ドルの報酬金を受け取ることが出来ませんでした。フィリップは、ナポリに近いモンジベロという漁村に腰を落ち着け、豪華なヨットを買い込み、パリ娘の恋人のマルジェ(マリー・ラフォレ)と享楽の日々を送っています。しかも、フィリップはリプリーを奴隷か下男の様にぞんざいに扱うのです。そのうちリプリーは金への欲望と、エスカレートするフィリップの嫌がらせに対する復讐心から殺意を抱くようになります。そしてついに、ヨットで沖に出て二人きりになった時をねらい太陽がサンサンと輝く中で殺害計画を実行。死体はロープで縛り、海へ捨てました。陸へ上ると彼はサインを練習し、パスポートを偽造し、偽の手紙をタイプして送ります。嘘に嘘を重ねて、やがてフィリップの恋人だったマルジェさえも手に入れて……。フィリップに成りすまして念願の豪遊生活を送ります。
完全犯罪は成立するでしょうか。
「太陽がいっぱいだ」と呟くラストシーンは印象的。輝く太陽を浴びながら、計画通りに金と女を手に入れて喜びに浸るリプリー。ニーノ・ロータの音楽が、リプリーの運命をどのように暗示するのでしょうか。心に沁みる旋律です。
ストーリー、サスペンス感とも巧くまとめられていますが、やはり何よりも若き日のアラン・ドロンの妖しげな魅力、鮮烈な太陽と青い海、白いヨットの印象が強烈な映画です。
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