僕の感性

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詭弁

2011-05-13 18:11:59 | ことば
ある学生がカンニングを見つかって、こう開き直った。

「他にもやっている人がある。要領よくやっているのが得をして、たまたま見つかったものが損をするのですか」。

これに教師は次のように答えた。

「他にやっているというが、見たことがあるかね。噂しているほど、実際はやっていないと思う。かりに、監督の眼をのがれてうまくやった者があるからといって、君自身の責任がまぬがれるわけではない」。

この教師の返答は正しいだろうか。
実は、最悪の答え方で、この場合、次のように言い返すべきなのだ。

「それは、君自身のことだ。カンニングをして、労せずに好成績を得るのを『要領よいのが得をしている』と言うんだ。君はそうやろうとして、たまたま失敗しただけだ。他人事のように言うんじゃない」


このケースには学生の詐術があらわになっている。
「要領よくやっているもの」と「たまたま見つかった者」が対比されているため、「たまたま見つかった者」は要領がよくないように錯覚されだちだが、実際はそうではない。
試験勉強をせずに、カンニングで好成績を得ようとする者はそもそも「要領よくやっている者」なのだ。
「得をする」「損をする」という対比もおかしく、カンニングを発見された者が、学則に従って処罰されるのは当然の報いなのであって、別に「損をする」わけではないのだ。



                       レトリックと詭弁(香西秀信)


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3 コメント

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詭弁・・・ (可奈)
2011-05-13 19:58:50
を弄しているのはもちろん生徒のほうですよね?
でもこの生徒さんなら
「先生、それは詭弁ですっ!」
とか先に言いだしちゃいそうですね^^

今日もお勉強になりました♪

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何度もすみません・・・ (可奈)
2011-05-13 21:15:41
あらからどうしても分からなくなり・・・。
この場合詭弁を弄しているのは誰ですか?
生徒ではなく先生?、それともこの物語を語っている人?
あれ?
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可奈さんへ (僕の感性)
2011-05-14 09:19:02
この学生の弁明には無理があるのです。
自分の不正を正当化しようとしているからです。
カンニングはカンニングで
見つかろうがうまくすり抜けることができようが
絶対行ってはいけないのです。
よって詭弁を弄しているのは学生です。
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