僕の感性

詩、映画、古書、薀蓄などを感性の赴くまま紹介します。

夢二と彦乃

2015-10-10 16:00:32 | 文学


ある日、竹久夢二は笠井彦乃にこう言葉をなげかけた。

「彦というのは男の子を表す文字だから名前を山路しのに変えなよ」

山路は、芭蕉の句、「山路来てなにやらゆかしすみれぐさ」から採用した。

しのという名は、彦乃の肌が志野焼の白釉のように優しくて
すいこむような美しさがあるから。

彦乃は夢二にとって永遠の人であった、が、彦乃の父宗重は二人の交際を頑なに反対した。

そこで二人の逢瀬を長唄の師匠が手助けをした。

その際に、山と川という赤穂浪士ばりの合言葉を用いた。

彦乃は山路しのだから、山、夢二は川の流れが好きなので川なのである。

手紙も「山」、「川」と符丁を用いて交わした。

後に夢二は二百首あまりの短歌を配列した絵入り歌集「山へよする」を発表したが
いわずもがな山とは、「笠井彦乃」、その人である。

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2 コメント

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統合失調症 (夏記)
2016-03-16 06:32:34
彦乃は、重い精神病だったようですね。
他には、芥川龍乃介、夏目漱石がそうだとされています。
夏目漱石は、黒猫によって救われ、小説家になったそうです。
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夏記さんへ (僕の感性)
2016-03-19 17:07:17
コメント有難うございます♬

小説家や彼らに関わる人は
精神的に病んでいた人は多いようです。

中原中也なども愛息が亡くなったあと
神経が衰弱し悲嘆に暮れる毎日を過ごしました。
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