僕の感性

詩、映画、古書、薀蓄などを感性の赴くまま紹介します。

初鰹

2010-05-20 21:37:04 | 食べ物



河竹黙阿弥の芝居に『髪結新三』という世話物がある。
天秤棒を担いで初鰹を売り歩く魚やが登場する。
幕開きに、ホトトギスの鳴き声を聞かせ、花道から威勢のいい売り声でやってくるのだ。
縁側には新緑の植木鉢が置いてある。

山口素堂の有名な

「目には青葉 山時鳥(ホトトギス)初鰹」の句を全部見せようという趣向だ。

この芝居を見ると、江戸っ子がどんなに初鰹を珍重したかがよくわかる。
「女房、子どもを質に出しても食え」といわれたほど、初鰹という初物を尊び好んで食べた。鰹は「勝男」とも書いて、意気のよい魚とされたので、きっぷのいい江戸っ子気質には、ことに合致した。
初物を食べると、寿命が75日長くなるそうだが、初鰹はなんと750日長生きできると言われたのだ。
東を向いて笑いながら食べると良いそうである。

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