僕の感性

詩、映画、古書、薀蓄などを感性の赴くまま紹介します。

愛することを教えてくれたあなた

2012-01-11 23:38:49 | 
「男はつらいよ」シリーズで寅さんは、数々のマドンナに想いを寄せては振られてしまうという繰り返しだった。
時にはリリーのように好いてくれる女性もいたが、彼の方から身を引いた。
彼、寅さんは決して成就しない恋愛に身を焦がし、その夢中になっている過程に溺れたのであろう。

古典的名作、スタンダールの赤と黒の主人公ジュリアン・ソレルは、ナポレオンに憧れ情熱的な野心を秘めた男性だった。
レナール夫人と道ならぬ恋に身を投じ、破局した後マチルドと恋仲になる。
しかしマチルドとの関係もある手紙が原因で終わりを告げる。


愛することを教えてくれたあなた。こんどは、忘れることを教えてください。(アイリス・マードック)

人生には別れはつきものである。
心惹かれる人に出会って、終生二人の仲が変わらずあってほしいと願う。
なぜ別れなければならないのかと悔やんだり追いすがったりしても
徒労に終わったり、別れに拍車をかけたりするのだ。

別れがあるなら、最初から好きにならないほうが傷つかなくてもすむだろう。
けれどそれでは人生が味気ないし人間性も磨かれないことだろう。
別れの苦しみ、別れた人との思い出を断ち切れず、涙に明け暮れてしまうのも
やむなし。
その苦しみ、懊悩が人を情け深い魅力ある人間性に高めるのだ。

諸君!
未知の人との出会いを恐れず、自分だけの小説のモチーフを探す旅に出よう!