僕の感性

詩、映画、古書、薀蓄などを感性の赴くまま紹介します。

犀星の悲哀

2007-10-01 22:30:49 | Weblog
ご存知、室生犀星です。抒情小曲集の中の小景異情を読むと、彼の生い立ちへの慟哭が痛いほど伝わってきます。幼い頃、妾の子とからかわれ、実の両親の顔を見ることもなく養子に出されてしまいます・・・
文壇に名を轟かすようになってからも金沢に戻る事もなく、その代わり犀川の写真を貼って眺めていたといいます。

          小景異情(その二)

  ふるさとは 遠きにありて思うもの

  そして悲しく うたふもの

  よしや

  うらぶれて異土の乞食(かたひ)となるとても

  帰るとこにあるまじや

  ひとり都の夕暮れに(ゆふぐれに)

  ふるさと おもひ 涙ぐむ

  そのこころもて

  遠きみやこに かへらばや

  遠きみやこに かへらばや