上野みえこの庭

日本共産党熊本市議の上野みえこのブログです。

3月議会・一般質問をしました!・・・速報その2

2016-03-07 16:57:49 | 熊本市議会
一般質問・後半の原稿を紹介します。

【項目】
・桜町再開発・MICE整備
・花畑町別館の存続活用
・市役所の非正規雇用の改善について
以上


●桜町再開発・MICE施設整備
 市政史上最大の事業となる桜町再開発へのMICE施設整備は、再開発への補助金126億円含め総事業費は450億円です。今回の新年度予算で、本格実施に向け再開発会社への補助が34億円、MICE施設整備費が当年度分102億円、次年度以降の分を債務負担行為で205億円、合計約370億円が提案されています。改めて、事業費の大きさに目がくらむようです。私どもはこれまで、多額の税金投入となること、最優先する事業なのか、見通しはあるのかなど、機会をとらえ、幾度となく問題点を指摘してきました。
 大西市長は就任直後、ちょうど1年前、桜町再開発へのMICE施設整備について見直しをされました。ところが、コスト面では、事業費が9億円も増えるという結果となりました。当時、私ども共産党市議団のもとにも、「見直しだから費用が減るのかと思っていたら、逆に9億円も費用が増えるとはどういうことですか?」と市民の方々から相次ぎ疑問の声が寄せられました。市政史上最大のハコもの建設なので、当然節約方向での見直しだと誰もが思っていたに違いありません。それが増えたのですから驚かれるのも無理はありません。多額の税金をつぎ込む事業なので、説明責任を果たすべきという立場でお尋ねいたします。
① MICEの整備費となる保留床取得金の財源は、8割以上の250億8000万円が新たな借金です。その利子総額と、元利償還見通しをご説明ください。
② 今年2月に熊本市が国土交通省に提出した「桜町地区第1種市街地再開発事業」に関する補助金申請書を見ますと、保留床の総面積が84100㎡、マンションが15370㎡、市の熊本城ホールが約31000㎡、残り37730㎡を九州産交ランドマークが増床分として取得するようです。保留床の取得価格・床の単価は、熊本市の取得分が1平方メートル当たり933000円、民間部分が1平方メートル当たり平均約50万円となっています。しかし、予定の概算事業費で計算すると、実際は民間取得の保留床には差があって九州産交の取得する保留床は単価55万円、マンション業者の単価は377000円程度となります。このように保留床単価は、取得者によって大幅に単価が異なります。どう積算をすればこのような単価設定になるのかご説明ください。
③ 今年度予算化されていた保留床取得に関する不動産鑑定と保留床の持ち分割合等の妥当性評価が、28年度へと繰り越し執行されることになっています。保留床の鑑定や持ち分割合の妥当性評価が行われず、保留床価額の妥当性も検証されていないのに、308億円の保留床取得金だけを先に予算計上し、議決を求めてよいのでしょうか。妥当性の検証したうえで、予算の提案を行うべきではないでしょうか。
④ 保留床価格検証の鑑定は、平成26年度に約100万円の予算で概算段階の不動産価格等妥当性調査が行われています。今の時点でその結果を議会や市民に公表し、308億円の保留床取得金の妥当性を説明すべきではないでしょうか。
今回の再開発では、総事業費約700億円のうち、熊本市がその6割以上の450億円もの大きな負担をします。そのうち、約90億円が市の土地関係費で、その中に補償金65億円が含まれています。補償の対象となる権利者は、地権者1名、借地権者1名、借家権者が12名です。補償金65億円の積算根拠をお示しください。あわせて、従前資産における土地関係費もお示しください。
⑤ 再開発ビルの建設工事費は、550億3000万円になっています。権利変換計画で、各々の床取得者がそれぞれ工事費を負担するわけですから、補助金も出した基本・実施設計の内容を明らかにし、MICE,マンション、ホテル、商業、バスターミナル等、それぞれの建設費を説明すべきではないでしょうか。
⑥ 桜町再開発株式会社への無利子貸し付けは、国から10億円借りて、市が10億円だし、合計で今年度20億円の予定でしたが、査定で国費分が全額認められず、国から借りられたのは3億円、その結果、本年度再開発会社へ貸し付けたのは、国・市合せ約6億円でした。ところが、昨年調達できなかった分も含め、新年度予算では、30億円の貸し付け予算が提案されています。今年度国は10億円の要望に3億円しか貸してくれなかったのに、来年度30億の国費分15億円の貸し付けをしてくれる見通しがあるのでしょうか。
⑦ 熊本城ホールの整備には「暮らし・にぎわい再生事業」補助金が予定され、今年2月に国へ出された「桜町・花畑地区暮らし・にぎわい再生事業」補助金申請書では、平成30年度以降にシンボルプロムナード及び花畑広場の整備に約20億円の総事業費が予定額として記入してあります。予定される整備内容と積算根拠をご説明ください。

(答弁)

 一点目の利子総額は、450億円に含まれているのでしょうか。
 財政局長に伺います。

(答弁)

 じゃあ、再開発とMICE整備費を入れれば、熊本市の負担は480億~490億円にもなりますね。
 もうひとつ、「従前資産における土地関係費については、個人情報保護の観点からお答えは差し控えさせていただく」と言われましたが、地権者は一人、個人ではない、再開発の施工主そのものではありませんか。土地代へも市民の税金を90億円つぎ込むというのに、企業情報を優先するのは、誰も納得できません。市として、その程度の情報は出すべきと事業者に迫るべきではないですか。市長に伺います。

(答弁)

 再開発・MICE整備に使う費用の原資は税金です。個人情報等で、情報公開も説明もされないのは承服できません。私は、今回の質問に当たり、再開発会社の契約情報の公開を求め資料請求しましたが、出されてきたのは契約する事業を1枚の紙に羅列し妥当であると書かれたものでした。市の契約であれば、契約の仕様書・入札状況調書・契約書そのもの、すべて議会には公開、公正・公平な契約なのか、チェックできます。450億もの税金を出すのに、予算を承認する議会がチェックもできないというのは問題ではないでしょうか。
また、保留床取得金の妥当性も検証されないまま、再開発・MICE関連で370億円もの予算が提案されるのは納得いきません。これがエスカレートすれば、まともな事前説明もしないで、ただただ予算を議会に提案・議決を求めるという議会軽視のやり方にもなってしまうのではないでしょうか。
 再開発事業者への貸し付けの国費分や、また昨年の9月議会・予算決算委員会質疑で私が指摘しましたように、再開発への補助金も、要求に対し8割程度しか出されていないことなど考えると、この再開発事業が財政面では、大変厳しい中ですすめられているということを指摘いたします。
そこで、市長に1点伺います。
保留床取得金は308億円を超えないと言われていますが、今指摘したように、再開発を取り巻く状況は厳しく、また事情が変わればどんどん事業費が膨らんでいくのが、再開発です。それは、駅前東A地区再開発の事例を見ても明らかです。オリンピックを控え、建設物価は上昇しています。また、国の補助金も7~8割しか出ないという中で、保留床取得金にとどまらず、再開発への支出が補助金含め約450億円を超えないと言い切れるのでしょうか。明快な答弁をお願いします。

(答弁)

 そんなあいまいな答弁で、事業費がどんどん増えたら、市長はどのように責任を取られるのでしょうか。
もう1点伺います。花畑広場、シンボルプロムナードの整備費20億円の質問に、市長は、一般的な公園整備に加え、屋根や水景施設、インフラの整備を考えていると説明されました。いつどこで決まったのでしょうか。

(答弁)

 シンボルプロムナードと花畑広場は、いわば再開発ビルの周辺整備のようなものです。 
 これまでの答弁を聞いておりますと、桜町再開発とMICE施設、その関連にどれだけの事業費をつぎ込むのかと、びっくりしています。これまで私どもは450億円も使うのかと言ってきましたが、借りる借金の利子まで含めたら480億、490億というのが桜町再開発。MICE整備費の総額ということになります。
再開発会社行う契約も不透明ですが、工事費だけでも約550億円ですから、契約情報を公開し、公正な契約を行い、経費の縮減も適切に行うべきであると指摘しておきます。
 
続けてお尋ねいたします。 
第1に、マンション部分の保留床を取得するのは株式会社マリモが予定され、ホテルの経営は、リゾートトラストに決まっていました。これらの事業者との契約は済んでいるのでしょうか。
第2に、商業スペースのテナント入居決定状況はどのようになっていますでしょうか。昨年の9月議会・予算決算委員会の質疑で此の点伺いましたときに、市長は「年内をめどにある程度こういう形のテナントが入ってにぎわいが増すのではないかといったことの説明は、当然のことながら我々の方に示されると思っている」と答弁されました。再開発事業は、大幅に増えるビルの床がどのように活用されていくのか、保留床の処分はもちろん、取得された保留床が、分譲ないし、賃貸によって各々の事業に有効に活用されることが再開発事業成立の鍵です。これまで、保育所・病院・バンケット機能・シネコンなど、様々な業種の参入が言われてきましたが、それらの入居は決まっているのでしょうか。また、テナント誘致の現状もご説明ください。
第3に、テナント誘致に際し、私は地域経済活性化の点からも、地元業者の皆様にも、この一等地に立つ新しいビルに入っていただきたいと思います。地元業者の参入見通しについて、ご説明ください。また、市長は地元企業がどの程度入ることをご自身の目標とされていますでしょうか。
 第4に、桜町再開発によって、約1000人の従業員が働いていた県民百貨店、また100店舗以上が営業していたセンタープラザなどが閉鎖になり、多く失業者を出しながら桜町再開発はすすめられてきています。今後の中心市街地の発展とはいっても、多額の税金を使う事業でもあり、営業や雇用を奪うばかりではよろしくないと思います。桜町再開発事業によって、生まれる雇用はどの程度と見込まれるのでしょうか。MICE施設による雇用はどの程度になりますか。
 
(答弁)

 マンション・ホテルの契約は、協議中との答弁でしたが、相手先は、住宅が「マリモ」、ホテルが「リゾートトラスト」ですか。確認させてください。

(答弁)

 テナント誘致で、「地元企業も候補に挙がっているので期待している」と言われましたが、桜町再開発で、県民百貨店・センタープラザテナントなど、あれだけの地元企業を追い出した責任を市長はもっと認識し、地元テナントを優先し、5割は地元企業でうめてほしいと、事業者に対して指導的に迫るべきではないでしょうか。また、県民百貨店による離職者のうち求職している人の1割以上がまだ仕事が見つかっていません。そういう方々を優先して誘致テナントに雇用してほしいと事業者に求めていくべきではないでしょうか。
市長に伺います。

(答弁)

テナント誘致は協議中と言われましたが、商業施設の何割がすでに見通しがついているのですか。キーテナントは決まっていますか。

(答弁)

キーテナントやシネコン、バンケット機能が決まらないと、現在行われている実施設計の進捗にも影響するのではないでしょうか。九州産交が取得する商業施設の床が埋まるのか、はっきりしない答弁ですが、私は、商業施設にテナントきちんと誘致できるのかは、大事な問題だと考えています。全国的にもコンパクトシティの先駆けといわれ、熊本と同じく株式会社の施行の再開発で行われた青森市の「アウガ」は、再開発ビルを経営する第3セクターの債務超過によって、事実上の破たんに陥り、全面的に支援してきた青森が床を買い取り「公共化」ということで市役所機能を再開発ビルへ移転することを検討、第3セクターに貸し付けていた23億円の債権放棄まで迫られる事態に陥っています。この事例で、問題の発端となったのは、予定されていたキーテナントの出店断念等が発端となり、店舗部分の売り上げが伸びなかったことが原因となって経営していた第3セクターが多額の債務超過に陥ったことです。これが、全国のトップを走っていた再開発の結末です。
九州産交は、熊本市のMICEと民間のマンション部分を除くすべての保留床を増床分として引き受け、207億円を負担することになっています。キーテナントが決まらなかったり、商業施設の床が埋まらなければ、再開発ビルの運営は行き詰まります。青森のように、自治体が破たんのツケを負うようなことにもなりかねません。全国的には、自治体が再開発失敗のツケを負わされている事例がたくさんあります。熊本市は、保留床の取得に308億円、補助金が126億円、再開発会社への無利子貸し付けを60億円と、莫大な負担を予定しています。それに、テナントが決まらない床を買うような羽目になったら、さらに400億、500億と負担を背負うことになります。そういうことにならないと言い切れますか。

(答弁)

 桜町再開発ビルに入るテナントの決定は、再開発成功のカギといっても過言ではないと思います。再開発事業は、建設にも莫大な資金を必要とし、再開発ビル建設後の事業運営も含め、全国どこでも自治体がたくさんの資金を提供する羽目になっています。そういう意味で、今回の桜町再開発やMICE整備においても、財政面はもちろん、契約や保留床の処分・入居テナント、運営まで含め、市民への情報提供を行い、説明責任を果たし、市民納得の上ですすめていくべきであると考えます。
市長は、JR九州が行う熊本駅周辺の開発によって「熊本駅前・桜町・中心商店街の3つのエリアに相乗効果が出てくると思う」といわれていますが、そんなに簡単な問題ではないと思います。いつまでたってもテナントの見通しすら示せない桜町再開発事業が、どんな賑わいをもたらすのか、何の確証もありません。市長の姿勢は、今後に問われてくると思います。


●花畑町別館建替え問題について伺います。
2007年、前市長の下で花畑町別館の耐震化への対応の必要性や建て替えも含めた検討という方向性が出されて以来、市民からの意見表明やシンポジウム等での論議など、さまざまに行われてきました。今年度も、昨年末の12月20日、熊本学園大学において「熊本市役所花畑町別館を残して、まちと共に生きる建築に」と題した市民シンポジウムが開かれ、「山田守」研究の第一人者で、東京家政学院大学助教授、ドコモモ・ジャパン幹事を務められている大宮司勝弘氏が講演され、熊本まちなみトラスト会長の西嶋公一氏をコーディネーターに、大宮司氏に加え、鹿児島大学大学院教授の鰺坂徹氏、建築空間デザインarchestra(アーケストラ)共同代表の大谷一翔(いっしょう)氏、花畑町別館を活かす会の江藤圭子氏らによるシンポジウムが開かれたばかりです。また、今年になって2月8日には、一般社団法人・日本建築学会九州支部支部長・黒瀬重幸氏から「旧熊本貯金支局(熊本市花畑町別館)の保存に関する要望書」も提出されています。そこで、お尋ねいたします。
① 2月8日に日本建築学会九州支部から熊本市に提出された要望書では、専門家の立場から花畑町別館の歴史的価値について述べられています。設計に携わった山田守氏は、東京帝国大学建築学科卒業の後、旧逓信省に入り営繕課の技師として活躍するとともに、全国に優れた建築作品を数多く残した、日本の近代建築史上に特筆すべき建築家であること。そして、花畑町別館は、その山田守の代表作の一つとして、1980年に出された「日本近代建築総覧」においても「価値の高い近代建築」と記されるものです。熊本大空襲の難も逃れ、熊本市中心部の景観を形成する上でも大きな役割を果たし、なにより市民に愛されてきた建物であると述べられています。このたび、専門家の集団である日本建築学会より、要望書が提出されたことは、市としても重く受け止めるべきではないかと思います。陳情書では、市長に対し、花畑町別館という貴重な建築の持つ高い文化的意義と歴史的価値について理解を求められていますが、市長の見解を伺います。
② 歴史に残る財産として花畑町別館を残してほしいという声が市民の中に根強くあり、今回また、専門家である日本建築学会からも保存活用の強い要望が出されるに至っているように、花畑町別館は、広範な市民が関心を寄せ、存続を願っています。熊本市は花畑町別館の解体・建替え方針を決めるにあたり、市民の声をほとんど聞いていません。今回、建築の専門家の方々からも、重要な要望が提出されてもおり、今一度市民の声を聞く場を設け、花畑町別館の今後について、検討すべきではないでしょうか。
③ 「花畑町別館に関する基本方針」では、耐震に係る工事費のみならず、耐震補強を行ったとしても、使い勝手が悪い、機能が大幅に低下する、構造物自体の寿命が不明であるとし、解体・除却という方針が出されています。私ども党市議団は、2012年に、構造物の躯体は残しながら、耐震化を図り、機能性を高めるための全面的にリニューアルするというリファイニングという手法によって生まれ変わった戸畑図書館を視察に行きました。1933年に戸畑市役所として建てられ、花畑町別館よりも古い建物です。建設から当時で78年も経っている建物が、見事にリニューアルされ、建築技術の進歩を目の当たりにしました。このような事例を見れば、耐震化した古い建物は使い勝手が悪いなど、とても言えません。使い勝手が悪い、機能が大幅に低下するということの検証はどのようにされたのでしょうか。どのような耐震化案を検討されたのか、どのような設計をされたのか、具体的な説明をお願いします。
④ 「花畑町別館に関する基本方針」では、耐震化には20億円もの費用を必要とするとし、耐震化は妥当でないと断定しています。ところが、建替え案には、いくらかかるのか明示されていません。一方、「花畑町別館の耐震化の対応に向けた事業手法等検討業務委託報告書」では、いくつかの事業手法とパターンが示され、最大で、解体費用を含めず57億6800万円の概算が算出されています。解体費用を含めれば、60億円を超える場合も考えられます。現在想定している解体費用と新庁舎建設費用をお示しください。
また、耐震化ならば20億円で済むのを、最大60億円もの費用がかかることを、市民への説明責任を果たし、合意を得ることが必要ではないでしょうか。

(答弁)

 あまりにも簡易な答弁で、重要な点を認識されていないようです。
先ほども申しましたように、花畑町別館は、市内中心街にあって、熊本大空襲の参加を逃れた貴重な建物です。今回、日本建築学会という権威ある専門家集団からの存続を求める要望が出されていることの意味は重いと思います。
 専門家の要望を受け、今一度近現代建築の価値を認識し、その保存について検討すべきではないかと思います。遺跡や建築の修復・保存再生に当たり、その基本理念として位置づけられている「ヴェニス憲章」前文では、「幾世代もの人々が残した歴史的に重要な記念建造物の神聖な価値を完全に守りながら後世に伝えていくことが、我々の義務となっている。」と述べています。世界的にみても、モダニズム建築といわれる近代主義建築の再生は、その価値が確立していないことと、再生事例が少ないことから、一層その修復や再生は難しく、貴重な価値となっています。日本でも、昭和時代につくられ、ランドマークとなってきた建築が危機的状況にある、昭和30年代以前に建設されたものは、すでに50年以上が経過しており、重要文化財となってもおかしくない建物が多数あるが、価値が評価される前に解体されていると、専門家も指摘しています。熊本でも、公共建築100選に選ばれ、世界的に有名な村野藤吾氏が設計した熊本市水道局庁舎が取り壊され建て替えられたばかりです。このように、希少価値となっているモダニズム建築は、今や「絶滅危惧種」とも表現されています。「花畑町別館に関する基本方針」では、「耐震性能が劣る建造物を除却することにより耐震化は達成される」と書かれています。壊せば、耐震化が達成されるという乱暴な考え方をするなら耐震の劣る建物はすべて壊さなくてはならなくなります。今回の花畑町別館の建て替えは、耐震診断で「耐震性能は不足するが、耐震補強が可能である」の結果であったにもかかわらず、庁内の検討だけで、建て替え前提の方針書作成の委託をしたことに大きな問題があります。これは、産業文化会館が閉鎖・解体に至った時のやり方と全く同じです。議会にはいい加減な情報を提供し、閉鎖・解体を決めさせ、後になって耐震化が十分可能であったことが判明し、裁判でもそのことが問題にされています。同じ轍を踏まないためにも、耐震改修の手法もも含めて、もう一度丁寧な議論をやり直すべきではないでしょうか。その議論にこそ、保存を求めておられる建築の専門家の意見を聞くべきではないでしょうか。市民の声も、専門家の意見も聞かず、このまま解体すれば、将来に禍根を残すことになります。歴史的に価値のある建物を残す努力こそ必要であると考えます。

●次に、非正規雇用の問題でお尋ねいたします。
 今月1日に総務省が発表した家計調査によると、勤労者世帯の実収入が1・3%も減少し、5か月連続で前年同月を下回るという結果でした。労働者世帯の暮らしは、困窮の一途です。今や労働者の4割近くを占める非正規労働者、「働く貧困層」・ワーキングプアの増加が、このような事態を招いています。OECDの報告書2015年版では、日本の相対的貧困率は加盟国中高い方から6番目、依然として高位であると報告し、1980年代以降、最も低い所得階層が実質収入の絶対額で減少した国はOECD諸国の中で日本しかないこと、また、すべての勤労者世帯と子どものいる世帯において税と社会保障によって貧困率が改善されないのは日本だけであると、日本の異常さを厳しく指摘しています。2004年に世界第4位だった国民一人あたりのGDPは、2014年には世界第27位にまで急激に落ち込んでいます。非正規雇用が増え続ける中で、勤労者の所得減少が、今や日本経済全体を低迷させています。
また、昨年6月に開かれたILOの第104回総会では、非正規労働から正規雇用への転換を促進する「インフォーマル(非正規)経済から、フォーマル(正規)経済への移行に関する勧告」が採択されました。この勧告は、労働者の基本的権利を尊重し、所得の安定などを図り、非正規から正規の経済への移行を推進するとともに、人間らしい労働・ディーセントワークを推進することや、正規が非正規化していくことを予防することなどを目的としています。非正規労働の増大は、今日の国際社会が抱える深刻な問題ですが、国際社会は、この勧告に基づき、非正規労働から正規雇用への転換が促進されようとしています。
熊本市では、全職員に占める臨時・嘱託等の非正規職員は再任用短時間職員を含め、年々増え続けて4割を超えています。昨年12月、全国的にも増え続ける非正規公務員を酷使する「ブラック自治体」の実態を明らかにしようと、東京にあるNPO法人「官制ワーキングプア研究会」の調査報告が公表されました。全国初となったこの調査で、たいへん不名誉なことに、熊本市は非正規職員のブラック度が全国一となりました。全調査項目は50で、法律や国の通知で実施が求められているものです。汚名返上のためにも、他都市に遅れた点の改善を早急に取り組む必要があると思います。
そこで、市長に伺います。
① 非正規労働者の増大が、雇用者所得を押し下げ、ワーキングプアの広がり、格差と貧困を悪化させる大きな要因となっています。また、格差と貧困のみならず、日本経済の成長の失速を招いています。そういう意味でも、非正規が当たり前というような働かせ方を見直すことや、労働者の処遇改善が求められているのではないでしょうか。見解を伺います。
② 先ほど紹介した「インフォーマル(非正規)経済から、フォーマル(正規)経済への移行に関する勧告」に明記されている労働基準は、⑴労働者と経済単位を非正規から正規へと移行させることを促進する、⑵正規経済の中で企業創設と人間らしい仕事の創出を促進する、⑶正規の仕事を非正規化することを防止する、この3つです。日本はILO加盟国の一つとして、国も自治体もこの勧告を真摯に受け止めるべきではないかと思いますが、見解を伺います。
③ 先ほど紹介しました非正規職員のブラック度日本一を解消するためにも、嘱託職員については、ほとんどの政令市で実施されている「雇止めの中止」「任用回数の制限」「空白期間」「再度募集の制限中止」「時間外勤務手当支給」「割増賃金支給」「夏季休暇」「妊産婦の業務転換」「女性労働者の保健指導」「妊娠中の勤務時間変更」「育児休業」「介護休業」については、直ちに改善するべきではないでしょうか。
同じく、臨時職員については、嘱託同様の改善を図っていくと同時に、嘱託職員には認めながら臨時職員には認めていない「反復更新」「「有給休暇」「有給の繰り越し」「災害時の有給」「親族死亡時の有給」「公務上の病気休暇」「生理休暇」「「産前産後の休暇」「育児時間」「看護休暇」「短期介護休暇」「健康診断」などは、他の政令市のほとんどが臨時であっても実施しているもので、労働者であれば当然認められるべきものであります。臨時職員を労働者と認めないような悪しき待遇は、直ちに解消すべきではないでしょうか。
④ これまで何度も指摘してきた非常勤職員・臨時職員の通勤手当の支給です。熊本市を除く政令市19市は、若干計算の仕方は違っていても、すべて実費相当額を支給しています。熊本市は、必要運賃の半分にも満たない交通費があまりにもひどいと思ってか、次年度から若干の改定を予定しています。それでも5キロ圏内は1日170円を180円に、10キロ未満を180円から280円になど、まだまだ実費には程遠い金額です。働く人に当たり前に支給すべき実費の交通費を熊本はなぜ支給しないのか理由を説明してください。嘱託でも臨時でも実費相当の交通費を支払うべきではないでしょうか。
⑤ 市役所のあらゆる分野に嘱託等の非正規雇用が広がっています。資格を必要とするような専門的な分野だけ見ても、図書館司書の84%、市電運転士の67%、児童相談所や福祉関係の各種相談員の64%、保育士の26%、比較的割合の少ない教職員でも14%、街づくり交流室等の図書業務嘱託員や児童育成クラブ指導員に至っては100%非正規の嘱託です。しかも、同じ職場で同じ業務を行っていてもその賃金は、保育士・看護師・図書館司書・児童相談所心理判定員など、どの職種も嘱託の報酬は、一般職員の初任給にも満たないというのが実情です。専門的な資格、ノウハウを持ちながらこのような格差は、まさに嘱託で採用した人を普通の労働者として扱っていないに等しいものです。嘱託職員の処遇を抜本的に改善するとともに、ILOも勧告しているような非正規化の防止のためにも、正規職員をきちんと採用していくべきではないでしょうか。

(答弁)

 非正規職員に対する処遇改善も実施していかれるようですが、納得できない点があります。
 それは、新年度から改定予定の通勤費です。「正規職員の交通用具使用者と同水準にまで引き上げる」というものです。これは、先ほど言いましたように、実費相当ということではありません。ほとんどの政令市は、実費で支給しています。一般職員は、バス・市電等公共交通機関を利用した場合、その実費が払われます。非正規の場合は、バスで来ても、バイク等の通勤分しか払われません。非正規職員には、公共交通機関を利用するなといわれるのでしょうか。こんな差別的な待遇でいいと思われますか。市長に伺います。

(答弁)


市長は、「上質な生活都市」の実現ということを言われます。しかし、今回の質問を通じて、子どもの医療費や障がい者のパス券、生活保護の支給ミスへの対応など、子育て中の方や障害を持ったかた、生活保護の困窮世帯には本当に冷たくて、大型ハコものには湯水のようにお金をつぎ込んでいくというやり方が、本当に「上質な生活都市」と言えるのでしょうか。立命館大学教授の唐鎌直義氏が論文の中で、「社会保障の拡充が主張されると、即座に『国の財政難』『赤字国債の累積』『少子化による世代間の不公平』など、拒絶的な答えが返ってくる。一方、新国立競技場の建設費3000億円を巡って議論が喧しかったとき、安倍政権の誰一人として財政難を言うものがいなかった。ロンドンオリンピックの競技場を5個も6個もつくることができるような莫大な金額を、なぜ東京五輪の一競技場に投じなければならないのか、関係者は皆、金銭感覚がマヒしているのであろうか。いや、そうではないであろう。本当は財政難など深刻に考える必要がないほど、日本の経済力は豊かなのではないか。」と書かれていました。これは、本市の桜町再開発や熊本城ホール整備の話と同じではないか、と思われるのは私だけではないと思います。
「上質な生活都市」というならば、私は、弱い立場にある方々も含めすべての市民ひとりひとりが本当に喜びを感じていただけるような熊本市でなければならないと思います。そのために、これからも全力で頑張っていく決意を述べ、質問を終わります。


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3月議会・一般質問をしました!・・・速報その1

2016-03-07 13:19:35 | 熊本市議会
3月7日、午前10時より、3月議会での一般質問を行いました。
【内容】
1、子ども医療費無料化の自負負担撤廃と利用さ負担引き上げの中止
2、「こども食堂」への支援
3、困難を抱えた子どもたちへの支援
4、障がい者の「おでかけパス券」廃止中止、障がい者の利用者負担無料化
5、生活保護の支給ミスに対する市の責任
6、公共施設の老朽化対策
7、四方寄団地廃止について、居住者の声を聞く対応
8、桜町再開発とMICE整備について
9、市役所の非正規職員の処遇改善

*数日後より、市役所HPでの録画中継が放映されます。
*質問内容は、以下のとおりです。(前半)


2016年3月一般質問原稿                             上野みえこ
大西市長が就任されて、初めての一般質問の機会となります。新年度予算と合わせ、国のすすめる「地方創生」のもと、新総合計画をはじめ、熊本市の将来を指し示す基幹的な計画の策定も提案されており、極めて重要となる議会です。市民の声を市政に届ける立場でお尋ねいたしますので、市長はじめ執行部の皆様には、意を汲んでいただき、真摯なご答弁をいただきますようお願い致しまして、質問に入ります。

●まずはじめに、子ども医療費助成制度についてお尋ねいたします。
 今回の新年度予算には、子育て世代の方々の痛切な願いであった子ども医療費助成の対象年齢が中学3年生まで引き上げられ、入院の自己負担が撤廃されました。粘り強く取り組んでこられた「新日本婦人の会」の方々などの運動の成果として大変うれしく思います。ところが、一方で、通院は、これまでの1診療科月500円の自己負担を倍加し、月1000円にするというもので、しかも、これまで無料だった薬局の窓口でも、月1000円の自己負担を求めるというのです。こうした一連の制度改正を財政面でみると、現行の自己負担のままで助成の対象年齢を中学3年生まで引き上げをすれば、約7・5億円の費用が必要となるところ、今回は、自己負担の引き上げで、熊本市の財政の持ち出しは4200万円しか増えていません。要するに、中学3年正までの対象年齢引き上げと入院の自己負担廃止を、子育て世帯の通院治療を行う人に7億円もの負担を押し付けることによって、実施しているわけです。
 今回の制度改正を知った子育て中の方からお手紙が届きました。「熊本市では、大西市長の公約である『中学3年生までの医療費助成の拡大』のため、現在の助成対象に大幅な負担増を強いることで対象を拡大するという、安易な手段を取ろうとしている。これは、特に症状を訴えることができない幼児などが、大幅な自己負担増により医療を受ける機会を失ってしまう可能性があり、子どもの健やかな成長を阻害する極めて問題のある改正です。私の長男5歳、次男2歳の医療をもとに、本制度の改正がいかに幼児期の子を持つ親にとって負担増となるか試算しましたので、どうか子どもたちのために次年度からの改悪を止め、よりよき制度設計が改めてなされるようにお力を貸してください」と書いてありました。この方の試算は、2014年11月から2015年9月までの11か月間で、おおよそ1年ということですが、現行制度で5歳の長男さんが払った医療費は7112円、これが次年度からの見直し案で計算すると19826円になり、約2・8倍に跳ね上がります。2歳の次男さんは、来年から3歳になるのでちょうど自己負担の発生する年にもあたるために、今まで無料だったものが、現行制度でも年間14738円の負担となり、制度見直しの下での自己負担は48454円となるそうです。この方の世帯は、今年度と比べ、一挙に年間の負担額が6万円以上も増えてしまいます。
 今回の制度見直しは、この事例にはっきりに示されているように、子育て世帯にとんでもない大きな負担増を押し付けるものです。
そこで、市長に伺います。
 第1に、「子ども医療費助成制度」は、今や全国の自治体が子育て支援の柱として実施し、本市でも、昭和42年にお母さんたちの切実な要望が実って、「乳幼児医療費無料化制度」としてスタートしました。それから43年、半世紀近くがたちました。周辺市町村に大きな遅れをとり、今回やっと中学3年生までの引き上げとなりました。そもそも、この制度の目的は、子育て世代の経済的負担の軽減ではなかったのでしょうか。見解をうかがいます。
 第2に、先ほどのお手紙にありましたように、今回の対象年齢引き上げは、子育て世代の経済的負担の軽減に全く反するものです。市長が子育ての応援として対象年齢引き上げを実施しようとお考えなのであれば、子育て世帯の自己負担を増やすべきでなく、拡充部分に対しては、市が責任をもって財源を措置すべきです。周辺市町村ではほとんど取っていない窓口での自己負担は通院も含め撤廃すべきではないでしょうか。

(答弁)

 市長は、自己負担をなくせば「不要不急の受診増加を招く恐れがある」ことになるとお答えになりましたが、実際に自己負担をなくした自治体で不要不急の受診が増えたという事例は聞いたことがありません。「適切な受信習慣を子どもの時から身に着けさせる」とも言われましたが、病院に行かないことが適切だといわれるのでしょうか。病気の時は、早く受信して重症化を防ぐ「早期発見・早期治療」こそ、医療費抑制の基本です。市長の答弁は、あまりにも不見識と思われます。
また、代表質問では「4200万円も拡充した」と答弁されていましたが、一方で子育て世帯に7億円もの負担を押し付けるならば、対象年齢が上がっても、子育て世帯の負担軽減とはなりません。いよいよ国も世論に押され、子ども医療費助成の現物給付に対するペナルティ廃止を打ち出しています。それはとりもなおさず、窓口負担のあるなしで医療費は増えないと国が判断したからです。本市では、4700万円のペナルティが課されています。そういう財源も使い、子育て世帯の負担となる窓口負担の引き上げは中止すべきだと思います。

●次に、子どもの貧困問題で「子ども食堂」について伺います。
 子どもの貧困率は16・3%、今や子どもの6人に一人が貧困状態におかれ、子どもの貧困が社会問題として大きくクローズアップされています。一方で、困難を抱えた子どもたちを何とか支援していきたいという動きも全国に広がっています。その一つが「子ども食堂」の取り組みです。本市でも10カ所程度の実施事例があるようです。
医療機関やNPO,個人などその主体は様々です。利用料も、すべて無料・子どもだけ無料など、様々です。しかし、食事の提供は、全く無料ではできません。衛生上の問題もあれば、集まる子どもの様々な困難も見えてくるので、その解決という課題も出てきます。そういう意味では、困難を抱える子どもたちへの支援として、公的な責任が強い性格のものです。2013年6月に制定された「子どもの貧困対策の推進に関する法律」第2条「基本理念」では、「子どもの貧困対策は、教育の支援、生活の支援、就労の支援、経済的支援等の施策を、子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのない社会を実現することを旨として講ずること」と述べられ、第4条では「地方公共団体は、子どもの貧困対策に関し、地域の状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する」と定められ、自治体の責任が明示されています。家計の厳しさが食生活に大きく影響していることが、厚生労働省の調査にも示されています。標準的な所得の半分を下回る世帯の子どもは、家庭で野菜を食べる頻度が低く、週3回以下、インスタント麺やカップラーメンを週1回以上食べる割合は一般世帯の2・7倍にも及ぶというものでした。衣食住は生活の基本であり、食は直接命にかかわる部分です。子どもの貧困解消の一つとして全国に広がってきた「子ども食堂」の取り組みに対し、本市としても「子どもの貧困対策の推進に関する法律」を積極的に実践する立場で、具体的な支援を求め、お尋ねいたします。
① 市内一円の「子ども食堂」に類する取り組みの実態を把握していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
② 実際取り組んでいらっしゃる方々の実情や要望等を聴取する場をつくっていただけないでしょうか。
③ すべてをボランティアで実施・継続していくことは大変困難です。本市も含め、全国的にも実施事業所は増えています。立ち上げには場所・器具等も必要です。運営費や食材費への支援や立ち上げへの援助ができないものでしょうか。
④ 事業実施には様々なノウハウも求められます。市が立ち上げや運営に当たっての相談窓口など、開設できないでしょうか。
健康福祉子ども局長に伺います。

(答弁)

●次に、「困難を抱えた子どもたちへの学習支援」について伺います。
 「子どもの貧困対策の推進に関する法律」では、対策の第1に「教育への支援」を掲げています。法の目的にもあるように、生まれ育った環境によって左右されないためにも、教育の機会確保は重要であります。
 現在熊本市は、福祉部門で生活困窮者自立支援事業の一環として、「貧困の連鎖の防止のための学習支援事業」を生活保護世帯の中学3年生・中学2年生を対象に実施しています。過去には、生活保護に限らず、生活困窮世帯も対象としていた時期もありましたが、現在は生活保護世帯だけで、60名定員に、今年度4カ所合わせて37名が在籍しています。一方、熊本県では、子ども・若者支援として、「支援マップ」をつくり、ひきこもり・不登校・発達障害・就労支援・非行等への対応を行う機関を紹介しています。その中には、学習支援の機関もあり、その一つ、民間の「私学教育支援事業団」の「学習支援センター」は、専門資格を持ったカウンセラーのカウンセリングや、教員資格者による具体的な学習支援がなされ、在籍する学校との連携によって出席日数・単位認定の道も開けるなど、具体的な効果のある取り組みが行われています。しかし、1民間事業でできることには限りがあります。こうした学習や居場所を兼ね備えた、子どもたちへの支援は、本来公で実施すべきものでもあり、貧困対策にとどまらない子ども・若者への学習支援が、市として必要ではないかと思います。
① 現在貧困対策として福祉分野で行っている学習支援事業の枠を積極的に広げて取り組んでいただきたいと思いますがいかがでしょうか。
② 全国的には、地域の実情、対象となる過程の実態など、貧困の現場を一番よく知っているケースワーカーの提案によって、対象の中学校のみならず、小学校・中学校・高校と広げている自治体もあります。教育においても、途切れ目の無い支援は非常に重要です。本市でも、対象となる子どもたちの範囲を広げる検討ができないでしょうか。
③ 国の「子どもの貧困大綱」では、学校が子どもの貧困対策の「プラットホーム」、いわば窓口的役割を果たすことを求めています。そのためにも、福祉行政と、学校・教育行政との連携が必要です。本市においても具体的な形で、学校がプラットホームの役割が果たせるような部局間の連携体制がつくれないでしょうか。
④ 文部科学省は、2015年度「地域未来塾による学習支援の充実」として全国2000カ所を予定して新規2億円の予算を措置しました。補助率は3分の一ですが、2016年度はさらにカ所数も3000ヵ所予算3億円に拡充される見通しです。このような国の支援策も是非活用し、本市としての学習支援事業の拡充を図っていただきたいと存じますがいかがでしょうか。
⑤ 先ほど紹介したような、民間による学習支援事業に対する支援はできないものでしょうか。
関係局長に伺います。

(答弁)

●次に、「障がい者のお出かけパス券」についてお尋ねいたします。
 私どもは、熊本市が公共交通の利用についてICカードへの移行に合わせて、さくらカードの障がい者パス券「おでかけ乗車券」を廃止するという方針を出した昨年9月以降、繰り返し、その中止を求めてきました。
第1に、昨年の9月議会・予算決算委員会、那須議員の質疑で、市長は「利用者に対し丁寧な説明を行うとともに、利用者からの御意見もしっかり聞いてまいりたい」と答弁されていました。今年2月に、障がい者の方々への説明会が開かれました。ところが、参加者の方々は、何を聞いても、「ご理解ください、可能な限り対応します」の繰り返しで、何を言っても通じない。心配なことはたくさんあるけれども、安心できる回答は何もなかった。何のための説明会だったのかと不満を漏らしておられました。この5カ月間、市長は、直接に当事者の声を聞かれましたか、その不安をどのように理解されていますでしょうか。
 第2に、利用者負担の問題です。これまでも幾度かご紹介してきましたように、障がい者への公共交通助成制度は政令市では14市で実施されています。うち、障がい者に利用者負担を求めているのは、横浜と熊本の2市だけです。横浜市は、利用者負担とは言っても、年間1200円の定額負担で、熊本市のように1割の自己負担を求めるような内容ではありません。要するに、実施自治体のほとんどが利用者負担は無料です。私は、他の政令市にお尋ねして、料金がどのように負担されているのか調べてみました。全国的に、障がい者の方が公共交通機関を利用される場合、障がい者手帳を見せれば利用者は半額で乗ることができます。この場合、かかる料金の半分・5割を事業者が負担し、残り半分・5割が利用者の負担です。他都市の障がい者公共交通助成制度は、利用者が負担している5割の分を自治体が負担することで、利用者無料の制度を実施しています。熊本市でも、障がい者手帳を持った方は、手帳を見せることで公共交通機関は半額です。そこに、熊本市は、さくらカード制度によって、障がい者の場合で、熊本市が残る料金の5割分を市が出しているので、障がい者は無料で利用できるはずです。利用者から1割の負担を求める必要もないはずです。他の政令市のパス券制度同様に、障がい者のさくらカードの利用者負担は無料とすべきと思いますが、いかがでしょうか。
市長に伺います。

(答弁)
 
 利用者の不安に、「可能な限り、交通事業者に対応していただく」と言われましたが、これまでのパス券ですら、運転手に負担をかけることでいやな思いを幾度となくしてきた」と、涙をにじませ訴えられました。市の説明会にも参加せず、利用者の声も直接聞かないからそんなことが言えるんです。日頃市長は、「市民の皆様の声を聞く」と言われますが、障がいを持ち日々様々な困難を抱える障がい者の方々の声こそ、真っ先に聞くべきではないでしょうか。
 今回の議会には、お出かけパス券の存続を求めて「熊本市手をつなぐ育成会」「障害者・児の生活を豊かにする会」、きょうされん熊本支部などでつくる「おでかけパス券を存続させる会」から陳情が出されています。そこでは、パス券廃止により利用者負担が大きく増えること、バス・電車が利用しにくくなることなどから、社会参加が大きく阻害されることが指摘されています。
答弁では縷々述べられましたが、熊本市の障害者へ1割負担を求めるやり方は異常です。何度も言いますが、全国の障害者の公共交通助成制度は、手帳を見せれば半額だから、その半額分を各自治体が負担をして無料化が実施されています。熊本市でも、手帳を見せれば障がい者は半額です。それに熊本市が半額分を負担しているのですから、他の政令市と同じように無料になるのが当たり前ではないでしょうか。なぜ、市が障害者の半額分を負担しているにもかかわらず、当事者が1割を負担するのでしょうか。ご説明ください。

(答弁)

障害者の自己負担分5割を市が4割しか負担しないのならばともかく、自己負担分を全部出しています。
 今回パス券廃止によって、利用者負担は4千数百万円程度と見込まれているようですが、これを全部無料にしても、桜町再開発や熊本城ホールに使う450億円のわずか1%にもならないではありませんか。弱い立場の方々をいじめる市長のやり方は絶対に間違っています。おでかけパス券の存続と、障がい者の無料化を強く要望いたします。


●「生活保護の支給ミス問題」について伺います。
 11月に、17件・総額2036万8028円に及ぶ支給ミスが判明しました。それを受けて、市内の全保護世帯の総点検が行われました。それによって、さらに過大支給と過少支給合わせて176件のミスが新たに発覚し、1月末にその内容が公表されました。昨年11月発覚分と12月調査の総点検分を合わせると、一連の保護費支給ミスの総額は、過大支給が、141件で3227万4246円、過少支給が52件1078万1158円、合計193件、約4300万円でした。これだけの件数・額は過去最大・最悪の支給ミスにほかなりません。原因は、過大支給で、障がい者加算の間違い、住宅費の代理納付に係る二重支給、年金収入の認定漏れ、入力ミスなどでした。過少支給では、障害者加算の間違い、級地区分の間違い、仕送りの収入認定の間違いなどでした。そのほか、口座の登録漏れ、間違った振込み、関係通知の発送間違い、氏名の入力間違い、決定通知の未発送など、金額に影響がなかった案件が31件もありました。加えて、課長の決済を経ず保護費を支出したという不適切な事務処理もありました。どの件を見ても、ケースの実態把握がおろそかでした。私どもは、折に触れ、ケースワーカーや査察指導員が標準数に達していないことを指摘していましたが、一人の担当ケースが標準80世帯なのに、実際は、100世帯も受け持っていたことが今回の大きな原因です。しかも、約2割は嘱託という5年以上で雇止めの非正規雇用者というのも、経験や責任の面から問題です。当然知っておく点を知らずに業務にあたったり、課長の決済も経ずに葬祭費を支給するなど、ありえないミスです。今回の大規模なミスの発生は、今の本市の保護行政の実態そのものであり看過することはできません。今後の対応策がいくつか示してありますが、チェック体制の強化はじめ、示してある改善策のすべては、直ちに実施すべきであります。
そこで、市長にお尋ねいたします。
① 今回の大規模なミスの責任をどのように感じておられるでしょうか。
② 長年言い続けてきたケースワーカー・査察指導員の充足が対応策にかかげてありますが、新年度、充足率100%の体制を実施されるのでしょうか。また、5年雇止めの嘱託ケースワーカーはやめ、席職員で対応すべきと思いますが、いかがでしょうか。
③ 多くがお金にかかわるミスで、過大・過少それぞれにあります。過大支給については過去5年にさかのぼって取り立て、過少支給はわずか2か月しか遡及しないとのことです。これには驚きました。ミスの責任は市の側にあるのに、そのつけは保護受給者に押し付けてことを処理するというのですから、絶対に納得いきません。しかも、過大支給では、多い方は120万円近くの金額を返済しなければなりません。一方、過少支給では、これも一番多い人は、本来130万円も少なく支給されていたのに、16320円しか追加で支給しないというのはあまりにも酷いのではないでしょうか。一方、過大支給の返還については、仮に1年遡っても20万円の人もいます。月10万円程度しかもらわない人が、これだけの返還を求められるは本当に酷です。しかも生活保護費は、この1年だけでも昨年4月の支給減額、7月の住宅扶助減額と、減額に次ぐ減額です。最低限度の生活が、国の改悪とはいえ、減りに減っているときに、市が事務処理ミスまで冒して、受給者を苦しめる、こんな仕打ちが認められるでしょうか。間違った責任はどこにあるのかといいたくなります。先日厚生労働省を訪ねてこの件での国の見解を伺いました。一般的には、市がやろうとしているように過少支給の遡及は2ヶ月、返還は5年にさかのぼるけれど、今回は市がミスを犯したのだから、市が責任を取り、過少支給の全額支給や、過大支給の返還を求めないという措置をとっても厚生労働省はそのことに口は挟まないといわれました。要するにミスをした市で責任で処理をしてもよいということです。これだけ膨大な前代未聞のミスに対し、責任は市が取り、過少支給は全額支給し、過大支給は市が負担するという措置を取っていただきたいと思います。いかがでしょうか。

(答弁)

 今回の支給ミスに関して、深くお詫びといいながら、国の通達があるから遡及の支給は2ヶ月、返還は全額というのでは、誰が間違ったのかと言いたくなります。瑕疵は、市と保護受給者のどちらにあるのでしょうか。

(答弁)

私が、2月に東京で厚生労働省の担当者と話したとき、こんなに大規模な支給ミスが全国に事例がありますか?と尋ねたら、首を傾げられました。そして「市が間違ったのだから、仮に市が全額返還し、払いすぎた分を取り戻さないといっても国は、国は口を挟まない」と言われました。市長は、「国の通知に基づき」と言われましたが、その通知は、こんな大規模な行政側のミスを想定していないからそういわれたのではないでしょうか。
200件近くで4300万円もの支給ミスが、あちこちで発生したら、困ります。生活保護の信頼は失墜するのではないでしょうか。そんなミスを起こしながら、失敗のツケを保護受給者に押し付けるなど最悪です。瑕疵がある側がお金の面でも責任を取るべきではないでしょうか。

(答弁)

 また、前代未聞の支給ミスが発生ですから、そして改善すべきは改善するといわれているのですから、ケースワーカー・査察指導員等の職員体制は、直ちに基準の充足率100%へと改善すべきであり、強く要望いたします。

●公共施設の老朽化問題について伺います。
昨年12月、本市の「公共施設マネジメントに向けた基本的な考え方」が公表されました。全国的にも、各自治体の抱える問題として大きくクローズアップされてきた問題ですが、主にはバブル期に膨大に整備されてきた公共施設、そしてバブル期はもちろん合併等による影響もあって整備が促進されてきた道路・水道・下水道などのインフラ資産、これがどこの自治体でも大規模な修繕や改修の時期を迎えています。一方、先日公表された昨年の国勢調査で初めて国の人口が減少し、いよいよ本格的な人口減少時代が目の前に迫ってきており、その影響で今後どこの自治体でも税収の減少や高齢化に伴う社会保障費の増大などによって、必要となる公共施設・公共インフラの維持管理更新費の捻出が大変厳しくなっていきます。私どもは、この問題を重視し、先進政令市の取り組みなども紹介しながら、この問題への対応や、ハコもの行政の在り方なども指摘してきました。今後は、「公共施設マネジメントに向けた基本的な考え方」に基づき、「公共施設等総合管理計画」が作成されていくことになります。総合計画の柱が3つ立てられています①総資産の適正化、②施設の長寿命化の推進、③施設運営に要するコストの削減です。今出されている基本的な考え方では、公共建築物を現状のまま維持管理更新していけば今後40年間に1兆240億円が必要となり、それは費用的に困難と結論付けられています。そこで、課題解決に向けた目標設定の案として現有施設の延べ床面積を20%削減、建替え更新の周期を60年から70年に見直し、大規模修繕の周期も30年から35年にすれば、40年間で6364億円と、費用は約6割に縮減できるというものです。その妥当性の検証は、公共施設の安全性確保と財政面から今後、さらに詰めた検証も必要になってくると思います。そこで、伺います。
① 現状を考えれば、一定の公共施設の集約・総量適正化が必要になってくるは致し方ない面もあります。しかしながら、公共施設は市民にとって、必要な行政サービスを提供してくれる施設であるとともに、街づくりにおいても大切なコミュニティ形成の拠点でもあります。なくなることや、集約されることによって不便になるだけでなく、地域のコミュニティが崩れていくということも考えなければなりません。「公共施設マネジメントに向けた基本的な考え方」の策定までは、行政が主導でやってきましたが、これからはそういうわけにはいきません。現在明らかになった公共施設・インフラの現状を市民に丁寧に説明し、今後の「公共施設等総合管理計画」作成に当たっては、市民の声を十分に聴きながらすすめていくべきではないでしょうか。
② 今わかっている公共建築物の現状を見ますと、分野別には、市営住宅の36・4%が第1位、第2位が学校教育施設の35・3%であります。全国的にも同じような状況で、各地で学校の統廃合や公営住宅の廃止などが問題となっています。本市でも、公共建築物の適正化を先取りするように、北区にある四方寄団地が昨年突然に廃止が決められました。確かに建設から古いものは46年も経過し、かなり老朽化している団地を今後どうするのかは課題です。しかし、団地住民の方から聞こえてきたのは、突然言われてびっくりした、他へ移転すれば家賃が大幅に上がってしまう、などなど、多くの不安の声でした。市は、この間、全住民を対象に2回の説明会が開かれましたが、納得を得るというよりは、決まったことなので、市が決めた3年での退去に従ってほしいと理解を求められただけのようでした。そもそもの発端は、市が昨年11月に、突然予告も無く、廃止を言い出したことにあります。先ほども言いましたように、公共施設は地域コミュニティの拠点です。特に、団地はそこに人が住むコミュニティそのものであります。意見も聞かずに廃止を住民に押し付けた市のやり方は無謀です。2回の説明で住民の不安は解消されていません。廃止先にありきでなく、老朽化した団地の今後について今一度住民とよく話をして方向を決めることが必要ではないでしょうか。廃止となっても、市の都合で、立ち退きを強いるわけですから、長年住み慣れたところを出て行く人に、立ち退き料は20万円です、あとは勝手にやってくださいというのでなく、誠意ある対応が必要ではないでしょうか。ひとつひとつの問題を丁寧に解決すべきと考えますが、いかがでしょうか。
市長ならびに都市建設局長に伺います。

(答弁)

☆以上が前半です。後半は、お待たせ、桜町再開発・MICE整備は後半です。

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