私はどうして、夫からすぐに離れられなかったのだろう。あんなに酷い目に遭っていながら、どうして8年近くも一緒に暮らしていたのか。モラハラは既に結婚1年目から始まっていたというのに。
同じモラハラ被害者の方々にも、もしかしたら言えることかもしれない。私の夫はモラハラを行いながらも、時にはほろりとするような優しさを見せた。その姿が夫の真実だと思えたのだ。
夫は私に怒りを、憎しみをぶつけるときは徹底して私を蹂躙した。そしてひとたび怒りが爆発すると2~3時間の罵倒はざらだった。私は夫の感情を静めるために、ひたすら弱々しく刺激しないような態度を努めてとっていたものだった。
そして恐ろしく不機嫌な夫の無視、大きな溜息、恐ろしい無言の形相が何日も続く。
しかし、それこそまるで違う次元に入り込んだかのような優しさもあったのだ。そう、その時は、夫の怒りの態度を別次元だとも錯覚していたのだが。
夫の機嫌のいいときは、私の名を「ちゃん付け」で呼んだ。仕事から帰ってくると、夕食を作ってくれ、私の子連れの友人をもてなしてくれ、子どもの相手も上手だった。私は冬などはよく足が冷たくて眠れなかったが、夫は私の足を自分の足の間に挟んで温めてくれた。夫は私の弟の慢性病を心配し、よく効くという高価な漢方薬を弟に送ってくれた。結婚してしばらくするまで、出勤するときは「いってらっしゃい」のキスをした。私が昼寝をしていたらそっと毛布を掛けてくれた。私の日本酒好きをしっていて、時々おいしい地酒を買ってきてくれた。仕事の資料作りで悩んでいるとき、それを自ら調べてアドバイスをくれた。おいしいレストランにも連れて行ってくれた。
そして自分のことを「俺は弱い人間」「俺は自分とつきあうことが一番大変なんだ」「感情を抑えられなくて、つい酷いことをいってしまった。許してくれ。」と言った。
私は、この優しい、内省的な夫が本当の夫だと思おうとした。いや、信じようとした。夫の罵倒、怒りや憎しみのつぶて…これは仕方のないことなんだ、夫は感情不安定で自分でもそれを苦しんでいる人間だ、だって極悪非道だったら優しいところなんてないだろう。こんな優しいところもある、だからこのぐらい我慢しなくては、長い目で見なくては、私も変わらなければ、もっと夫を受け入れられる度量の広い女にならなければ、夫婦は喧嘩しながらお互いの関係を築いていくものなんだから。
モラハラ被害の残酷な点はここであろう。恐怖と残酷な日々、そして突然日だまりのような優しさ。これに翻弄されるのだ。鬼のような夫は、一時的なもの。優しい夫が本当なんだ。だから優しい夫がもっと現れるように、私が努力しなければならない。こうして夫から離れられなくなってくる。いつしか、優しい夫の姿も信じられなくなりながら、心が虚ろになって、夫の優しさも疑いながら、それでもふと「こんな夫が続いて欲しい」「もしかしたら、このまま優しい夫でいるかもしれない」「本当の夫の姿はこれなんだ」と思う。何度も何度も冷たくされながら、何度も何度も罵倒されながら、優しい夫の影にすがりついていたのだ。 見たくない夫の姿には蓋をし、記憶を封印して、次の瞬間には「夫には上手に付き合えば何とかなる」「夫は本当は優しい人なんだ」「ただ機嫌が悪かっただけなんだ」と無理に思い、夫に笑いかける私。
私は常にその場その場の恐ろしい変化に、必死で対応していた。さっきまで激怒していたと思ったら、簡単に謝り機嫌よく笑う夫。私は混乱しひきつりながらも次の変化に合わせて笑っていた。私は何が本当で何が嘘なのかわからなくなっていた。何が現実で何が悪夢なのか。この夫の優しさは何?この夫の狂ったような罵詈雑言は何?私が努力すればいいの?そうすれば夫はもっと優しくなるの?私が悪いから夫は怒っているの?それとも夫は怒りっぽい性格だから仕方のないことなの?
この堂々巡りで私の頭はすっかり考える力を失っていた。何が危険で何が安全なのかもわからなくなっていた。
同じモラハラ被害者の方々にも、もしかしたら言えることかもしれない。私の夫はモラハラを行いながらも、時にはほろりとするような優しさを見せた。その姿が夫の真実だと思えたのだ。
夫は私に怒りを、憎しみをぶつけるときは徹底して私を蹂躙した。そしてひとたび怒りが爆発すると2~3時間の罵倒はざらだった。私は夫の感情を静めるために、ひたすら弱々しく刺激しないような態度を努めてとっていたものだった。
そして恐ろしく不機嫌な夫の無視、大きな溜息、恐ろしい無言の形相が何日も続く。
しかし、それこそまるで違う次元に入り込んだかのような優しさもあったのだ。そう、その時は、夫の怒りの態度を別次元だとも錯覚していたのだが。
夫の機嫌のいいときは、私の名を「ちゃん付け」で呼んだ。仕事から帰ってくると、夕食を作ってくれ、私の子連れの友人をもてなしてくれ、子どもの相手も上手だった。私は冬などはよく足が冷たくて眠れなかったが、夫は私の足を自分の足の間に挟んで温めてくれた。夫は私の弟の慢性病を心配し、よく効くという高価な漢方薬を弟に送ってくれた。結婚してしばらくするまで、出勤するときは「いってらっしゃい」のキスをした。私が昼寝をしていたらそっと毛布を掛けてくれた。私の日本酒好きをしっていて、時々おいしい地酒を買ってきてくれた。仕事の資料作りで悩んでいるとき、それを自ら調べてアドバイスをくれた。おいしいレストランにも連れて行ってくれた。
そして自分のことを「俺は弱い人間」「俺は自分とつきあうことが一番大変なんだ」「感情を抑えられなくて、つい酷いことをいってしまった。許してくれ。」と言った。
私は、この優しい、内省的な夫が本当の夫だと思おうとした。いや、信じようとした。夫の罵倒、怒りや憎しみのつぶて…これは仕方のないことなんだ、夫は感情不安定で自分でもそれを苦しんでいる人間だ、だって極悪非道だったら優しいところなんてないだろう。こんな優しいところもある、だからこのぐらい我慢しなくては、長い目で見なくては、私も変わらなければ、もっと夫を受け入れられる度量の広い女にならなければ、夫婦は喧嘩しながらお互いの関係を築いていくものなんだから。
モラハラ被害の残酷な点はここであろう。恐怖と残酷な日々、そして突然日だまりのような優しさ。これに翻弄されるのだ。鬼のような夫は、一時的なもの。優しい夫が本当なんだ。だから優しい夫がもっと現れるように、私が努力しなければならない。こうして夫から離れられなくなってくる。いつしか、優しい夫の姿も信じられなくなりながら、心が虚ろになって、夫の優しさも疑いながら、それでもふと「こんな夫が続いて欲しい」「もしかしたら、このまま優しい夫でいるかもしれない」「本当の夫の姿はこれなんだ」と思う。何度も何度も冷たくされながら、何度も何度も罵倒されながら、優しい夫の影にすがりついていたのだ。 見たくない夫の姿には蓋をし、記憶を封印して、次の瞬間には「夫には上手に付き合えば何とかなる」「夫は本当は優しい人なんだ」「ただ機嫌が悪かっただけなんだ」と無理に思い、夫に笑いかける私。
私は常にその場その場の恐ろしい変化に、必死で対応していた。さっきまで激怒していたと思ったら、簡単に謝り機嫌よく笑う夫。私は混乱しひきつりながらも次の変化に合わせて笑っていた。私は何が本当で何が嘘なのかわからなくなっていた。何が現実で何が悪夢なのか。この夫の優しさは何?この夫の狂ったような罵詈雑言は何?私が努力すればいいの?そうすれば夫はもっと優しくなるの?私が悪いから夫は怒っているの?それとも夫は怒りっぽい性格だから仕方のないことなの?
この堂々巡りで私の頭はすっかり考える力を失っていた。何が危険で何が安全なのかもわからなくなっていた。
「私の心は虚ろだった。これが何回も続くと、もう何も感じられなかった。ただその時をやり過ごすことだけを考えていた。そう、心を無にして感じないようにすれば、何とかなる。」
長い間離婚に踏み切れませんでした。
こんな人間なんか死んだほうがいいと思って毎日半升の焼酎を飲んでいました。
結婚11年目にとうとう肝臓を壊し、生きるか死ぬかの選択を自身に問う結果になりました。そして脱出。
今思うと、親からもらった大切な命をどうしてあんな荒んだ生活に・・・。
でもそのときはそれしかなかったんです。
人間の可能性を信じたかったから。
いい勉強になりました。
この世の中には、いくら努力しても、妻を死に追いやっても通じない人間もいると、生まれて初めて知りました。高い授業料でしたが、知ることができてよかったと思っています。教えてくれた前の夫にも今は感謝しています。
……今読むと、おかしな台詞ですよね。
いい大人がぬけぬけと。
きっと悲愴な顔で言ってみせたんだろうなあ。
(本人はマジだったんでしょうけどね)。
でも。すみません。失笑してしまいました。
アンタと付き合うウメさんが一番大変だっちゅーの!
(あ、ちょっと言い過ぎた?)
そうなんですよね。ハネムーン期に見せる夫の優しさ(みせかけの?)に
どっちを信じていいか、分からなくなるんですよね。
それに振り回されて、結局同じことの繰り返し。きっと、怒るには何かあるんだと思うしかないんですよね。
結局、自分が悪いのか、相手が悪いのか、
だんだん分からなくなっていく・・・。
でも、やはりモラハラをしているほうが絶対的におかしいんですよね。
その中にいる状態では、それを見極める力が弱りすぎて、分かりませんが・・・。
モラルハラスメントという歪んだ関係の中にいる、
加害者と被害者の全てを現されていますよね!
本当にウメさんは聡明な方だなぁ、って思いました。
今日の記事、私はもう頷いてばかりでした!
今現在、この歪んだ関係の中で、
もがき苦しんでいる人たちに、是非読んでもらいたいと思いました。
いや、ホンマにすごいですわ
なおさん、こんばんは
なおさんも苦しく辛い日々を送られていたのですね。
長い長い時間、前夫さんの可能性を信じようと努力されたのですね。
でも脱出できて本当によかったです。
命取られる前に離れられて本当によかった!
私も思いました。
この世にはいくら努力しても言葉のまったく通じない
モラという人種がいるのだと、初めて知りました。
高すぎる授業料ですね。
でもなおさんはもうすっかりモラから遠く離れ
静かに過去を見つめておられる。
私もそうなれますように…!
ありがとうございました!
ウメより
☆酒蔵さんへ
酒蔵さん、こんばんは
「俺は自分とつきあうことが一番大変なんだ」というセリフ…
夫から言われた当時は、「夫も悩んでいるんだ~」なんて妙に感心していました。
しかし、酒蔵さんの言うとおり、よくよく考えてみたら
何だか可笑しいセリフですよね。
今ならこう言いたい。
「よ~言うわ!自分の責任は自分で取れっ!!
そんなおまえとつきあう周りの人間が一番大変なんじゃ~~!!」と。
いや~、ほんと大変でしたもん。
酒蔵さん、いつもモラ夫のおかしな言動を
ビシッとおさえてくれますね~。
ありがとうございます~!
ウメより
やまさん、こんばんは
モラ夫って、どうしてこう言動パターンが似ているのでしょうね。
私も他の方々の体験談を読み、「私の夫のこと?」と
何度も驚きました。
やはりモラ星人共通の異常遺伝子があるのでしょう。
ほんとに、ハネムーン期にはしてやられますよ。
一時的な幻影に惑わされます。
そのうち結婚生活も後半になると、
ハネムーン期すらなくなりましたけどね。
その方がはっきりと夫の姿がわかってよかったかもしれません。
だから、脱出を決意できました。
モラハラは恐ろしいです。
モラハラは相手の生きる力を奪い取ります。
一緒に暮らしていて未来はないと、悟りました。
何十回も、何百回もモラハラを繰り返され
やっとやっとわかりました。
愛情は、生きる力を奪い取るものではないと思います。
怯え不安におののく日々は尋常ではないです。
やまさん、気を付けてくださいね。
モラは相手の命を削ります。
いつもありがとうございます!
ウメより
☆宇砂子さんへ
宇砂子さん、こんばんは~
んまぁ~…そんなに宇砂子さんにほめられたら
赤面しちゃいますよ~
でもこうやってとっても共感してくれる宇砂子さんも、
どんなに苦しい思いをされたのか、と
アンビバレンスな感情に引き裂かれ、
どんなに辛い思いをされたか、と
同じ体験をした者として、切なくなります。
こうやって、共感のパワーをいただきつつ
私は私を取り戻していきます。
他の方から理解し、受け止めてもらうことで
私が他者を「理解する」ってこと、
このモラ苛酷体験によって学びました。
はぁ~…しかし人生学ぶこと多すぎ!?
いつも力強いエールをありがとう~~~!
ウメより
又もや『あなたは私ですか?』と叫びたい気持ちで一杯になりながら拝読しました。
私の場合は”ハネムーン期”が極々少ないので、モラ夫に対する混乱は少なかったとは思いますが、良い姿の方を信じようと思い込む点では同じでした。
モラハラの専門書を読むと、モラ夫は「変質的自己愛者」なんでしたよね。そうすると、行動・言動もパターン化されてしまうのかもしれませんね。
慣れって恐ろしいじゃないですか。
こっちが我慢強ければ強い程、その我慢レベルがどんどん上がって行っちゃう。そのうち自分の気持ちが麻痺してきて、正しい判断も鈍ってきますよね。
この混乱が被害者の脱出の時期を遅らせている一因だと思うのです。
モラハラの事をよく分からない人には『そうやって何だかんだ言いつつ生活を共にしているんだから、単なる愚痴でしょ?』としか映らない。理解されない、誤解を受けるってのは、本当に辛い事ですよね。
とにかく今はウメさん、next go!!ですよ。環境を自力で変えれたのだから、幸せの扉は片方開いていますよ!!
ここのところ、寒くなりましたね~。
kabuさんの方はすごく寒くなっていそう!
風邪引かないようにしてくださいね。
ところで、kabuさんも夫の二面性で苦しまれたのですね…
二重人格かと思えるこの性質には振り回されますし
わけがわからなくなります。
そしてホントに、こちらの『我慢レベル』もアップしてしまうのですよね。
しかもアップすればするほど酷くなるモラハラ。
悪循環でした。
ここはモラハラを受けた人にしかわからないところでしょう。
何もわからない人に「いいときもあるが悪いときもある」
なんて言っても、理解されないでしょうし「それが当たり前」なんて
言われるだけですもんね。
それにしてもkabuさんの言う通り
今は明日に向かって歩いています。
モラと離れて発見したことはいろいろ。
私自身の建設的な人間関係作りについて
学んでいるところです。
しかしね~…自分の課題がいろいろ見えてきますよ。
kabuさん、いつもありがとうございます~!
ウメより
ココに書き込むのが適当かは迷ったのですが、
私のほうはと言うと、夫がちょっとしたきっかけで、私の持っていたDVやモラハラの本をちょっと読んでしまって、私の書き込みなども見たらしいです。
そのことによって、冷静に話し合うことができて、夫は今のところ、とても気遣ってくれるようになりました。
これからどうなるかは分かりません。
完全に信用できたわけでもありませんが、夫も私をとても追い詰めてしまったことに、反省してくれているので、
今は共存と言う道を選んでいます。
ウメさんのブログを読み返してみて、
本当におつらい時期があったんだなと感じて、読んでいて、自分のことに重ね合わせて、本当につらかったです。
でも、ウメさんは今、おひとりになられて、
少しずつ、心の回復に向かわれているようにお察しします。
これから、どのように形になるにせよ、
本当のお幸せになられるよう、心からお祈りしています。
私もやまさんには、いつも丁寧なコメントをいただき嬉しかったですよ!
やまさんの夫さんは、ご自身のことを振り返られて
やまさんと話し合いをされたのですね。
きっと誰でも、こんなふうに夫と話し合いたいと願っているはずです。
やまさんの夫さんが、そうやって自分の傾向に気づき、
変わろうとしてくれるのであれば
やっぱり一緒に暮らしたいと思うことは当然ですよね。
だって、お互い一緒にいたいから結婚したわけですからね。
私だってそうしたかったです。
やまさんが、そうやって夫さんと話し合う努力をされ、
歩み寄ることができ、本当によかったです。
私が今行っているのは、モラハラ標本作り?です。
自分の中だけに閉じこめておいたモラハラ体験を綴りつつ
自分を客観的に見られるよう、
二度と同じことを繰り返さないようにと願っています。
私には共依存的傾向が強いと、最近再認識させられることがありました。
そんな自分を発見することが今の私の宿題です。
私は案外たくましく生きていますよ。
モラハラから生還したことからして、打たれ強い証拠!?
なんて、もう打たれたくないですけどね~(笑)。
やまさん、ありがとうございます~!
ウメより