こころの声に耳をすませて

あの結婚生活は何だったのだろう?不可解な夫の言動はモラル・ハラスメントだった…と知ったウメの回想エッセー。

幸せ恐怖 ~ひとり暮らしひとりごと~

2006-05-08 23:15:39 | 日々の想い
 連休が終わり、目覚めた朝。そうだ、今日から仕事なんだと自分にハッパをかける。ちょっと下界に戻ってきた気分だ。
 外を歩くと、空が青くて緑が輝いている。街路樹のハナミズキが満開だ。もう初夏なんだな~。早いな。暑いなぁ…。

 連休では実家に帰り、昔からの友人に会ってきた。なかなか会えないが、ひとたび会うと今までの距離と時間を一気にすっ飛ばして、心おきなく遊べる友人だ。その日は友人との時間を過ごすため、新緑溢れいろいろな花々の咲く大きな公園に行った。もちろんデパ地下でおいしいお総菜を山のように買い込み、ビールやワインも持って!
 周囲には家族連れやカップルもお弁当を広げている。私達は優しい木洩れ日の下でおいしいランチをゆっくり楽しんだ。この友人は二児の母で、普段賑やかで忙しい生活を送っている。この日友人の夫は「たまにしか会えないんだからゆっくりしておいで」と、小さい子ども達を連れて遊びに行ってくれたそうだ。素晴らしい夫!!どうして私には…なんてこんなこと考えるのはやめよう(^^;)。とにかく、その友人とアホな冗談を言っては笑い、人生について語り、他の友人達の噂話をしては皆の近況に驚いたり笑ったり。そのまま夜の二次会にも突入して存分に語り合った。
 別の日には、これまた12年振りの再会が叶った懐かしい人との時間を堪能できた。

 実家では両親、そして兄弟が夫婦で来てこれまた賑やかな夕食となった。食卓を囲んで食べながらのおしゃべり。昔話や近頃のニュース、父親のうんちく、母親の健康談議…楽しい時間だった。
 実はこうして家族で楽しくおしゃべりできるようになったのも、ここ数年のことなのだ。私は母親との葛藤で随分苦しい思いを抱えてきた。過干渉な母親。そしてかまわれたがりの母親。私はいつも母の話の聞き役だった。自分の話を母親にしようとしても、すぐ母親の持論に遮られ、沈黙することが多かった。そして私はイライラすると母親に攻撃的な態度をとった。そんな私に対して母親は、屁理屈ばかり言い、すぐに噛みつく扱いにくい小難しい娘、と思っていたようだ。私は母親に侵入させまいといつも身構え、距離を保つことに躍起だった。
 これもお互い年をとったということなのだろうか。。。

 懐かしい人たちとの再会、いつになく賑やかな家族の風景。夫と生活していた頃には、長い間感じることができなかった嬉しい幸せな気持ち。ごく普通の、たわいないおしゃべりができる楽しさ。

 そして夜も更け、布団の中に入ったとき、突然意識に入り込む不安…
 …ここのところ、いいことがありすぎる。久し振りすぎる再会、昔はありえなかった家族の団らん。このまま、こんないいことばかり続くことなんてことはないだろう。もしかしたら、もうすぐ私は死ぬのかもしれない…(大袈裟な奴ですね。。。)

 私は決して不幸になりたがっているわけではないのだ。それなのに、いいことがあるとどこかで湧き起こる灰色の影。
 私はいつもどこかで自分を抑えていた。いや、諫めていた。がっかりするのが嫌だからと、期待しないようにしていた。調子に乗るときっと失敗する、そう思いはしゃぎたい気持ちを抑えた。好きになった男性が親しげに近づいてくると、急に心が冷めて距離をとった。この人が私を好きになるはずがない、と思ってしまうのだ。
 そして嫌なことや辛い出来事が生じると、「やっぱりあのときの罰が当たったんだ」「やっぱり、いいことばかり続くはずがない」と思ってしまう。

 でもホントにそうなのか…?


 いやいや、本当はわかっているんだ。私は自分なりに経験し、学んできたはずだ。人生いいこともあれば、嫌なこともある。苛酷なこともあるけど、それはどうしようもできない不可抗力の場合だって多い。耐えられないことに囚われたら、まずそこから離れればいい。とても受け入れられない現実があったら、手放せばいい。あるときの私は無力だ。そしてあるときの私はけっこう力がある。いろんなことがあって当たり前。嬉しいときは素直に喜び、しんどいときは素直に嘆けばいい。それはきっと罰なのではないのだから。不安を先取りするのはやめよう。がっかりしてもいいんだ。それからまた気を取り直せばいいんだ。

 私は学んだはず。モラハラに遭って苦しかったけど、自分なりに情報を集め、本を読み、状況を把握し、判断し、決断し、行動できたんだ。そしてモラハラに遭った私を受け止め、力づけ、共感し、「モラ夫を選んだあなたが悪いのではない」という言葉をかけてくれた方々から学んだのだ。
 私の人生を、誰に気兼ねすることなく、私なりに生きていいのだと。


 さて、明日も初夏の光を浴びて歩こう