日本共産党都議会議員(町田市選出)池川友一「市民とつくる都政への架け橋」

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問題だらけの英語スピーキングテスト(ESAT-J)を都立高校入試に活用することは、法的にも問題がある

2022-10-01 | 東京都政・都議会のこと

 東京都教育委員会が、英語スピーキングテスト(ESAT-J)の都立高校入試への活用を行うことに対して、反対の声が日増しに広がっています。

 現在もオンライン署名が行われています。(オンライン署名はこちら→都立高入試に英語スピーキングテストを使わないでください

 日本共産党都議団は、15日の文教委員会、27日の本会議代表質問、30日の文教委員会で徹底的にこの問題点を追及しました。

 代表質問はこちら→https://www.jcptogidan.gr.jp/report/6223/

 この間の経過と英語スピーキングテストの問題点について、29日に和泉幹事長の「談話」も発表しました。(談話はこちら→https://www.jcptogidan.gr.jp/opinions/6239/

 採点の公平性、不受験者への対応、個人情報の扱い、ESAT-Jがベネッセの商品GTECと酷似していること、民間企業のテストを入試の合否に使うこと、利益相反、都教委の説明不足など、都教委が進めている英語スピーキングテストには、多くの問題点があります。

 ポリタスTVで、詳しく紹介されていますので、ぜひご覧ください。

 都立高校の一般入試は、入学試験当日に行われる「学力検査」(700点)の点数と各教科の中学校3年生2学期の成績を記した「調査書点」(300点)の合計によって決めることになっていました。つまり、1000点満点でした。

 ところが、2023年2月の入試から、そこにESAT-Jの点数が最大20点加わることになります。

 ESAT-Jの評価は6段階で、Aが20点、Bが16点…Fが0点という具合です。ESAT-Jの点数が1点違った場合でも、評価が一段階変わることで、入試では4点の差になることは、公正性・公平性の観点から言って大きな問題があります。

 なぜ、入試当日の「学力検査」の中でスピーキングテストをやらないのか。「調査書」に書き込むという、ややこしい仕組みにしているのか。私は、とても疑問がありました。

 ESAT-Jは、入試当日の「学力検査」ではなく、いわゆる「学力テスト」です。「学力テスト」というのは、文科省が行なっている「全国学力・学習状況調査」(全国学力テスト)と性質的には同じものです。

 ESAT-Jは、English Speaking Achievement Test for Junior High School Students の頭文字をとったものですが、AはAchievemen(達成度・到達度)をはかるというものです。

 法律上はどうなっているのか。

 どのような入試にするのかは、教育委員会が決定する事項です。

 地方教育行政の組織及び運営に関する法律(以下、地教行法)の第21条第4項で「学齢生徒及び学齢児童の就学並びに生徒、児童及び幼児の入学、転学及び退学に関すること」とされていることを根拠にしています。

 しかし、今回のESAT-Jは、入試の「学力検査」ではありません。その場合、法的にどうなっているのか。

 同じ地教行法の第54条第2項には、「文部科学大臣は地方公共団体の長又は教育委員会に対し、都道府県委員会は市町村長又は市町村委員会に対し、それぞれ都道府県又は市町村の区域内の教育に関する事務に関し、必要な調査、統計その他の資料又は報告の提出を求めることができる」とあります。

 都教委が、区市町村公立中学校の生徒に対して、直接テストを行うことは法律上できません。都教委が法律上やろうとすれば、地教行法第54条第2項による「調査」として行う以外の方法は認められていないのです。

 しかも、第54条第2項は「求めることができる」と書いてあるとおり、強制的にできるものではなく、あくまでも「協力依頼」として「調査」(今回でいうとESAT-J)を行うことができるというものです。

 つまり、区市町村教育委員会がESAT-Jをやるかやらないかを自主的に判断をすることになります。

 もう一度いいますが、「協力依頼」による「調査」というのがポイントです。

 しかし、この「協力依頼」による「調査」を都立高校入試に活用するとなった場合、ESAT-Jを受けなかった生徒は不利益を受けることになります。ESAT-Jの点数(20点満点)がもらえないからです。

 ESAT-Jを受けなかった生徒が不利益になる=事実上の強制性を持たせることになります

 強制してはならないものを、入試に活用することで強制するというのがESAT-Jです。これは、明らかに法的に問題があります。

 都教委による教育の「不当な支配」(教育基本法第16条)そのものです。

 都議会本会議と文教委員会で、この問題を徹底追及しましたが、都教委は、ESAT-Jを公立中学校に対して行える根拠として、教育基本法第16条第3項だと言い張っています。

 第16条第3項とは「地方公共団体は、その地域における教育の振興を図るため、その実情に応じた教育に関する施策を策定し、実施しなければならない」と一般的に地域の教育振興をはかるものであり、これを根拠にして施策を行うのであれば、なんでもできてしまうことになってしまいます。

 事実を事実として認めなかったら、議論は成りたちません。

 地教行法第54条第2項を根拠にしているといった瞬間に、ESAT-Jを入試に活用することが事実上強制につながることになるために、このことを頑なに認めず欺く態度は絶対に許されません。

 都民の運動と力を合わせるとともに、都議会でも党派を超えたとりくみによって、英語スピーキングテストを中止させるために全力でとりくみます。


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