「子どもの貧困」問題は、どんな課題よりも先にとりくむ必要があると私は常々思ってきましたが、2つの記事に接してその思いを強くしました。
一つは、「沖縄タイムス」に掲載された「子どもの貧困・先進地に学ぶ」の兵庫県明石市・泉市長の記事(「子どもを核にしたまちづくり」で人口V字回復 兵庫県明石市の取り組み 【子どもの貧困・先進地に学ぶ(1)】)です。
「貧困対策で貧困は解決しない」──という視点から、「子どもにかかるコストを誰が負担すべきか。子は親の『持ち物』と考えれば親の責任だが、そうではない。明石の子は社会全体で育て、コストは社会が負担する。欧州では主流の考え方だ」と政策を進めています。
「対象者の絞り込みは難しく、時間がかかる。どの家が貧困かという議論に子どもを巻き込んでしまう恐れもある。そこにかけるコストやエネルギーを事業そのものに回した方がいい」と、子どもの医療費も、保育料の第2子以降も無料にしています。
「財政を圧迫しないか」という問いにも「要は優先順位の問題。明石市は子どもを後回しにしない。第2子以降の保育料無料化には7億円かかるが、最初に確保し、残りでほかの予算を編成する」と。
こうした施策展開によって、市が独自に試算した内容によると、夫婦共働きで年収700万前後、6歳、3歳、0歳の子がいる世帯の場合、年間約74万円の負担減になるというのです。泉市長は「明石に引っ越すだけで年収70万アップと同じ効果がある。その分のお金を塾や習い事に充ててもらっていい。貧困層だけでなく、中間層も助かる。教育熱心な中間層が流入してくればそれだけ街の力が上がる」と語っています。
「人が増え、地価が上がり、住民税や固定資産税の収入が増えている。税収アップで住民サービスをさらに拡充できる。そんな好循環をつくり出していきたい。特別なことではなく、全国どこの自治体でもできる。首長が本気かどうかが問われている」と語っています。
参考:「子どもの貧困対策をするつもりはない」と 対策先進市・明石市長が言う理由(yahoo個人 湯浅誠氏)
もう一つは、「しんぶん赤旗」に連載中の「今を生きる子どもたち 貧困と格差の拡大のなかで」に掲載された、長野県健和会病院の和田浩副院長の記事です。
和田さんは次のような視点を提起しています。
「どうすれば子どもの貧困が見えるか」と考えて取り組んできましたが、最近では、それは簡単なことだと感じています。時間外ばかり受診する、指示を守らない、厚化粧、あいさつができないなど、私たち支援する側が「困った人だ」と感じる時、相手はきっと何か困難を抱えていて、その背景に貧困があることが多いのです。
さらに、「孤立している親子にとって、小児科だけが社会の接点という場合もあります」「受診抑制効果は貧困層ほど高いのです。『心配だから受診する』というのは健康維持のために必要なことです。『こういうときにはあわてなくていい』という判断ができるような教育も含めて小児医療の課題なのです」と語られています。
私は、小児医療や新生児医療の問題を議会でもくり返し質問してきました。その際に、「子どもを守るためにお医者さんを守ろう」という視点で問題提起をしてきました。医療資源を消費し尽せば、そのツケは自分たちに跳ね返ってくることは疑いない事実です。
そして、この2つの記事を通して、「貧困対策」だけという視点ではなく社会資源の総合的なとりくみの中に貧困問題を解決していく知恵があるのだとも感じました。子どもの貧困対策だけに狭くしない取り組みを展開していく必要性があると思います。同時に第一義的には、一人ひとりの所得(収入)を増やしていくことが必須であることは前提であることは明記しておきます。
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私は船橋市で小規模保育所A型の「共同保育所子どもの家」の経営に関わっています。
先日、ある親御さんが、「二人の子を保育していただいてきたが、保育料が高すぎて保育所を辞めざるを得ない」ということで、退園しました。
それで、どうしたら良いか考えて、保育料減免を自治体に適用させるのが良いかと考えて、各地の実例を調べていました。でもどこの自治体でもなかなか適用要件が難しいと思いました。
「保育料 無料化」で検索したところ、明石市と東京の港区が第2子無料化をしていることがわかりました。
とくに、明石の「沖縄タイムス」の記事には衝撃を受けました。
「“第2子の壁”は経済的理由がほとんどだ。結婚したくて子どももほしいのに経済的理由で断念するという社会は健全ではない。財政が許すなら、第1子から無料にしたいところだ」という市長の発言は目からうろこでした。また、人口30万の都市で、「今年度1000人分の保育所定員枠確保」とありました。これは私の住む船橋市に換算すると2000人分になりますよね。
市長のいう「人が増え、地価が上がり、住民税や固定資産税の収入が増えている。税収アップで住民サービスをさらに拡充できる。そんな好循環をつくり出していきたい。特別なことではなく、全国どこの自治体でもできる。首長が本気かどうかが問われている」は共産党の基本政策と共通すると思います。
新婦人や保育問題の団体なども今は「売り」の住民(保育)要求がつかみにくくなっている気がします。
私もいろんな場で「第2子無料化」を提言していきたいと思いました。ともに頑張りましょう。
コメントありがとうございます。
貧困対策だけに狭くしないとタイトルにつけましたが、この視点が好循環を作り出すのだなと思います。
保育料の第二子無料は踏み込んだ内容ですよね。
明石市の泉市長が言うように、自治体の姿勢の問題なのだと強く思います。
こうした流れを加速させるために、運動していきたいと思います。