霞ヶ浦のほとりで

徒然なるままに

みずほ生活(9:フランダースの犬)

2017-11-25 05:14:50 | 南極の思い出
男4人だけの生活が数ヵ月経った頃のことです。リーダーから、前の隊のみずほでの話で、ある時一人の隊員が本を読んでいてボロボロ涙をこぼしていたそうです。何を読んでいたかというと「フランダースの犬」で、泣いている隊員を冷やかした別の隊員がその本を読んだところ同じく涙をボロボロ流したそうです。回し読みして最後は4人とも涙を流して泣いたそうです。
たしかに可哀想な物語ですが、泣くまでのことではないだろうと信じられませんでした。そこで私もベットでその本を読んでみたところ、涙が溢れてきて止まらなくなり、声を圧し殺しながら泣いてしまいました。自分でも不思議な感覚でした。
男ばかりの閉じられた世界ではどうなるのか、第1次越冬隊の西堀栄三郎隊長もこの事を心配されたという話が「南極越冬記」に書かれています。 ギラギラして喧嘩っ早くなるのだろうなんて想像されるかもしれませんが、私の体験は全く逆でした。きっと純化されるのでしょう、自分でも気持ちが透き通っていることを自覚しました。
ちなみに、男ばかりの船上生活ではここまでのことはなく、また日本に帰ってこの本を読んでみましたが、泣くまでのことはありませんでした。

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