霞ヶ浦のほとりで

徒然なるままに

地球の裏側の同業者

2020-09-03 11:39:16 | 地磁気観測の思い出

20代の終わりのことです。遥々南米ペルーから日本の観測技術を学ぶため一人の職員が半年間派遣されて来ました。

彼の名はオスカルと言い私より一つ年下だったこともあって、仕事後や休日等でも一緒に過ごし多くの思い出ができました。母国語はスペイン語なのでお互い片言の英語で会話しましたが、同世代の同業者ということもあって考えることは同じで言わずとも気持ちは通じました。

磁力計のアンプや表示器などを手作りしていた時のことですが、乾電池は売っているけどこんなアルミ板や銅板などは手に入らないとか、ここで買った関数電卓を帰国する時に荷物の中に入れると税関の人に取られてしまうなどのお国事情の話が印象に残っています。


その後、ペルーの政治不安定のニュース等を耳にすると彼の事が思い浮かんで心配になりました。20年程後に日本に立ち寄ったとの連絡があったので空港で再会しましたが、落ち着いた立派な紳士になっていて、その穏やかな表情には苦労して磨かれたという燻し銀の輝きが感じられました。それに比べ苦労らしい苦労もせず成長してない自分が少し恥ずかしく思えました。


写真のワンカイヨ(Huancayo)観測所は地磁気の赤道上にあることで重要な観測所です。2つの建物、①Absolute house(絶対観測室)と②Variation house(変化観測室)の組合せは世界中のどの地磁気観測所にも共通の特徴です。