霞ヶ浦のほとりで

徒然なるままに

水晶の糸

2020-06-25 13:31:02 | 地磁気観測の思い出

先の『蜘蛛の糸』は捻れが無い性質を利用しましたが、この『水晶の糸』は反対に捻れの力を利用して地磁気の変化を測定していました。水晶はその捻れが温度変化による狂いの少ないことが特長とのことです。


使われる水晶の糸の太さは70μというので0.1mmより細く長さは20cm程ありますので、注意しないとすぐに折れてしまいます。

この水晶糸を縦方向にし下に磁石を吊るして水平分力の変化を、横方向にし中央に磁石を吊って鉛直分力の変化を観測します。磁石の大きさは水平分力で3mmΦ×10mm、垂直分力は少し大きく4mmΦ×20mmです。


特に横方向に吊るのは至難の技で、水晶糸の代わりにリン青銅線も用いられていましたが、水晶糸で吊られたものを見た時にとても感動した事を思い出します。横方向に水晶糸を吊ったと言う方の話では、水晶糸を葉書きの上に乗せて両端を留めたそうです。


私の生まれた頃は、業務として水晶棒を熱してガラス細工のように引き伸ばして作っていたとのことです。永年にわたるこの測定器(吊り磁石変化計)の観測も平成に入り暫くして終了しました。測定器を止める時は御神酒を捧げました。

現在は磁石を使わない方式で観測しています。


(写真 左:水平分力変化計、右:鉛直分力変化計)