サイケデリック・ペンタトニック!?

カリメロレコード(架空)の店主の何でもござれの日々の音楽コラム

泣きのギター、ピーター・グリーン

2005年03月24日 03時48分41秒 | 洋楽
今日は雨。
雨の日は憂鬱だ。
そんな日には、BLUESでも聞いて
とことん憂鬱に浸るのもまた良い。

憂鬱と言えばBLUES、BLUESと言えば泣きのチョーキングとなる訳だが
(ちなみにチョーキングとは弦を押し上げるという奏法の一つで
 人間の感情にも似た微妙な機微がこの奏法によって表現出来る。
 またベンド、ベンディングともいう)、
数多くいるギタリストの中でも、
私がとりわけ惹かれるのがピーター・グリーンである。

あのギターの神様であるエリック・クラプトンをして、
「彼は俺よりすごいギタリストである」と言わしめた
その人物は英国のブルースバンドを代表する、
フリートウッド・マックのリーダーであった。

フリートウッド・マックは、
後に「噂」などで大ヒットを飛ばすPOPバンドになるのだが、
ピーター・グリーンがいた時代のこのバンドは間違いなく
英国で一位か二位を争うブルースロックバンドだった。

そんな彼らは1969年にブルースの本場、
シガゴのCHESSレコードのスタジオに乗り込み、
オーティス・スパンやウィリー・ディクソン、バディ・ガイといった
本物のブルースマンとセッションを繰り広げている。
その模様が現在は二枚のCDに残されているのだが、
ここで聞けるピーターのギターは、
本場と言うことでの気合の入り方やフレーズが兎に角ものすごく、
これは残されたスタジオ作の中で一番の出来なのではないだろうか。

白眉は「SUGAR MAMA」と「HOMEWORK」の二曲。
「SUGAR MAMA」はスローブルースで、
魂を削って出している様なチョーキングが物凄く、
「HOMEWORK」はロックっぽいノリの曲で、
ソロのフレーズも最高なのだが、出だしの切り込み具合が抜群で、
聞くたびにぐっと来る。

彼のギターは、引きの美学といったらいいだろうか。
音数が少ないのだが、その無駄のないフレーズは、
聞くものを圧倒し且つ心に残ると言うような素晴らしいものだ。
その点で、私はクラプトンよりも彼の方が勝っていると思う。
恐らくクラプトンもそう感じたので、上記のような発言をしたのだろう。

そんな彼は1970年を過ぎた辺りからドラックと病気に陥り、
バンドを脱退、ソロ作を残した後失踪していたが、
1990年代後半になりシーンに奇跡のカムバック。
私は幸運にも彼の来日ステージを二回も体験している。
当時の危機迫るようなフレーズは聞くことが出来ないが、
彼の素晴らしいギターは今もって健在である。