サイケデリック・ペンタトニック!?

カリメロレコード(架空)の店主の何でもござれの日々の音楽コラム

鈴木勲とザ・ヘアー

2008年01月24日 20時38分44秒 | 邦楽
気付いたら、前回の更新が去年の11月って...

本当不精になってしまいました。

でもでもレコードは際限なく購入している私ですが、
今回はそんな中での話を一つ。

最近はもっぱらジャズを購入している私ですが、
中でも日本人ジャズ、いわゆる和ジャズを集めてます。

ここ最近いろんな雑誌で特集されたりして、クローズアップされてますが、
私は数年前から...この下りは以前話した気がしますが、
あのフードブレイン時代のつのだひろがナベサダのレコードに参加している
ものを購入し、そのジャズロック具合にどんどんのめり込んでいったわけです。

昨年もP-VINEから「JAPANESE RARE GROOVE」シリーズと銘打ち、
猪俣猛とサウンドリミテッドや鈴木弘、石川晶、杉本喜代志などなど、
いずれ劣らぬグルーヴィーな作品がCD化されたり、
スリーブラインドマイスやソニーが非常に質の高い紙ジャケでの復刻など、
色々目が離せないものばかりでした。

鈴木勲の「BLOW UP」も前回のプラケースから廃盤状態が続いておりましたが、
昨年目出度く紙ジャケでの再リリースとなりました。

このアルバム、実は最近プラケでも紙ジャケでもなく、
オリジナルのレコードを入手することによってようやく聞く機会を得たんですが、
これがとんでもなく格好良い内容で、何故もっと早く手に入れなかったんだと
一人自分を責めてしまいました。

1973年に東京アオイスタジオにて録音された鈴木勲を初のリーダー作。

メンバー
鈴木勲三/四重奏団
◎鈴木勲
◎菅野邦彦
◎ジョージ大塚
◎水橋孝

A面
01アクア・マリーン
02エブリシング・ハプンズ・トゥー・ミー
03ブロー・アップ

B面
01ライク・イット・イズ
02い出しかねて
03ローフライト

とにかく少し和ジャズをかじったことのある人ならまず間違いない面子による
録音だが、その予想を軽く裏切る名盤である。
チェロでリードを奏でる曲もいいんですが、個人的にぶっ飛んだのが、
A面の最後を飾る「BLOW UP」。

この曲にいたっては水橋孝のベースの上に、主旋律を奏でる鈴木勲のベースが本当にグルーヴィー。基本的には3コードでおなじみのロックンロール/ブルースのコード進行なんですが、とにかく躍動感あふれる演奏が素晴らしい。一見、ベースで主旋律って重たくなりそうに聞こえますが、さにあらず。
これだけ聞くと、もうジャズではなくファンクやロックにも聞こえるだろう、7分28秒の世界。

そして何故この曲に異様に反応してしまう私がいるのか。

それはあいさとう率いるザ・ヘアーの実況録音盤『R&B天国』に収められていたからなんです。

この99年に発売の『R&B天国』は、モッズ~GS~ニューロックと変遷してきたヘアーが98年に発表した『R&Bイン東京』の拡大盤といった感じの、和モノ期のもの。
『R&Bイン東京』では移民の歌やふたりのシーズンなどを、昭和40年代よろしくグルーヴィーにカバーしていましたが、この実況録音盤にいたっては渚ようこやエム&チクをゲストに、ハッピーズの西ツヨシをピアノに迎え、よりジャジーによりグルーヴィーにした私の中でもかなりお気に入りなCD。

曲目
01モジョ・ワーキング
02ショットガン
03スピニング・ホィール
04サイケデリック・サリー
05ソウルフルストラト
06ヤギブシ・ラットマン
07ふたりのシーズン
08マーシー・マーシー・マーシー
09サニー
10男が女を愛する時
11サード・ストーン・フロム・ザ・サン
12ゼア・ワズ・ア・タイム
13ホールド・オン
14バック・オブ・ブーガルー
15ブロウ・アップ

一曲目からおそらくゴールデン・カップスを元にしたと思われる「モジョ・ワーキング」から始まり、その当時としてはかなりマニアックなサラ&メロディの「ヤギブシ・ラットマン」などのレア・カバー、おなじみどころのカバーをはさみ、ジミヘンのジャズロック解釈がまことに素晴らしい11曲目「サード・ストーン・フロム・ザ・サン」(後半のギターソロが本当にしびれる!)を経て、後半になだれこみ、メンバー全員が白熱のプレイを繰り広げる「ブロウ・アップ」で幕を閉じる大名盤。

このアルバムは発売より少し遅れて入手してからというもの、心のヒットチャートに常にランクインするほどの愛聴盤となっているわけですが、約8年を経て私の中で鈴木勲とザ・ヘアーが繋がった時には、思わずなんとも言えない高揚感にかられてしまいました。

まさかあのクロージング・ナンバーが鈴木勲の「BLOW UP」だったとは!

ジャズだし、ベーシストのリーダー作だしと全く予想していなかった私は、
このLPの3曲目に針が差し掛かった瞬間、震えて仰け反ってしまいました。
それ位の驚きと、またオリジナルバージョンの格好良さに打ちのめされてしまったのです。

この感情は言葉では表現出来ないですね。

嗚呼これだから音楽は止められない!