サイケデリック・ペンタトニック!?

カリメロレコード(架空)の店主の何でもござれの日々の音楽コラム

宮間利之とニューハード / 仁王と鳩

2010年11月26日 23時28分38秒 | 邦楽
宮間利之とニューハードの「仁王と鳩」

1972年の作品です。

1969年の「パースペクティブ」
1970年の「天秤座の詩/ニューハード+佐藤允彦」
1971年の「牡羊座の詩/ニューハード+富樫雅彦」に続く意欲的な作品。

今回はニューハードのギタリスト、山木幸三郎のオリジナルを取り上げた
全曲「和」の要素満載なアルバム。

A面
1.かくれんぼ
2.狐の嫁入り行進曲
3.艶歌に対する悲しみ
4.仁王と鳩
5.白鳥のねむるとき

B面
1.隅田川
2.祈願美
3.成人式

まず特筆すべきはこのジャケット。非常にインパクトがあります。
キング・クリムゾンの1STに比肩しうるくらいのインパクト!
当たり前ですが、やはりLPサイズだと迫力も凄いです。

また中身も凄い。山木氏のオリジナル楽曲が全8曲収録されていますが、
曲名からして普段は見かけないようなタイトルばかり。
しかもジャズでこういう曲名というのはあまりないのではないでしょうか。

ジャケットや「仁王と鳩」というタイトル、
そしてそれぞれの曲名からも取れますが、
非常に日本人としてのアイデンティティを打ち出した感があります。

使用した楽器もあえて「でんでん太鼓」などの昔のおもちゃを使って、
どこか懐かしい感じもしたり、ちょっと雅楽ぽい音を出していたりします。

一曲目の「かくれんぼ」からして五拍子で「もういいかい」「まあだだよ」と
いうところからきてるらしいですが、聞き応えあります。
なんでも当時のリサイタルではこの曲に日野皓正氏を迎えて演奏したらしく、
くわー!聞いてみたい!と叶わぬ思いに歯ぎしりをしてしまいます。

他にも全編良いですが、最後の「成人式」は必ず聞いて欲しい一曲!
他の収録曲は3分から5分と比較的コンパクトにまとめられていますが、
このB面最後の曲は10分近くと非常にながく、それでいてダレルことがなく
非常にアグレッシブなジャズ・ロックとなっています。

最近ではDJ XXXL氏のMIXにも収録されました。

ベースとドラムが非常にタイトなリズムを打ち出す格好いいミッドグルーヴ!
そこにビッグバンドならではの重層的で和的なテーマが提示され、
ソロ回しとなりますが、熱いですが、どこか日本的な「抑制された美」
のようなクールな印象があります。

そしてこの曲のアウトロでは、なんとあの英国産JAZZ ROCKの代表格である「NUCLEUS」の1970年の1ST「Elastic Rcok」から「1916 - The Balttle Of Boogaloo」を引用したフレーズ(かなり似てます)を用いてフェイドアウト!知っている人が聞くとニヤリとしてしまいます。

人名/曲名をド忘れしてしまいましたが、山木氏は女性歌謡曲歌手のとなる曲でもニュークリアスの「Torriod Zone」(同じく「Elastic Rcok」収録)を大胆に用いた曲もあったりするので、当時はニュークリアスが相当好きだったのでは?と思います。(解説ではデューク・エリントンとゲイリー・マクファーランドが好きと語っていますが)

このLPは残念ながら非常に高額で市場では取引されています。オリジナルは見開き仕様で、再発も出ていますがそちらはシングルジャケに変更されています。再発盤もレアです。

私の中では日本のジャズは、イギリスのジャズ/ジャズ・ロックと共鳴する部分も多く、是非沢山の方に聞いて頂いて賛同を得たいところですが、如何せんまだまだ復刻状況も厳しくそのような状況まで至っていないのが残念でなりません。

これからもちょこちょこっと紹介していけたらと思います。


白石かずこ

2010年11月22日 01時29分08秒 | 邦楽

先日白石かずこの詩集を買いました。

現代詩文庫の「白石かずこ詩集」

1969年11月1日発行となってます。

今から41年前のものです。

ただこれだけだと記事にはしません。

家に買って帰ったあと、表紙をめくってみると、

裏にはこんな文字が。。。

おお!この「比呂公一」のことかしら?!

ちょっと分からないけど、白石かずこ本人から比呂某さんに送られたであろう、この詩集になんだかほっこりした気分になります。

 

もともとは音楽方面で「ジョン・コルトレーンに捧ぐ」というアルバムがCD化されたときに知りましたが、サム・リバースのSAXをバックに朗々と詩を読む白石かずこに私は相当感激しました。この詩集にもコルトレーンに関する詩が収録されてます。

(以下CDのinfo)

“詩のロック・スター”白石かずこがサム・リヴァースと共演した伝説の名盤、奇跡の初CD化!原盤USミュージック・ワークス1977年。サム・リヴァース正式許諾を得て、世界が待ち望んでいたCD化。代表作「マイ・トーキョー」「聖なる淫者の季節」収録。

詩人白石かずこは、仏リベラシオン紙では“詩のロック・スター”と謳われ、代表作に「聖なる淫者の季節」(H氏賞)、「砂族」(歴程賞)など。また、J.A.シーザーをはじめ、沖至、翠川敬基といったミュージシャンや、大野一雄など舞踏家との共演を行ってきている。本作は彼女のヴォイス・パフォーマンスを聴くことの出来る数少ない資料であり、その朗読にはシャーマニックな雰囲気があり聴く者をある種のトランス状態に誘う。また共演のサム・リヴァース本人にとっても数多い演奏歴の中から後年これを代表作として挙げる(英WIRE誌)など名盤として語り継がれている。

解説 : 副島輝人 
白石かずこインタビュー掲載