「語る言葉と聴く言葉」 コリントの信徒への手紙一 14章26~40節
パウロは、コリントの教会の人たちに宛てた手紙に、「自分は預言する者であるとか、霊の人である思っている者がいれば、私がここに書いてきたことは主の命令であると認めなさい。それを認めない者は、その人もまた認められないでしょう。」と厳しい口調で書き記しました。
コリントの教会の中には、異言や預言、そして啓示を語る人が多くいたようです。それらの人たちは、自分の信仰に自信を持ち、いつの間にか自分たちの言葉を誇るようになっていたのかも知れません。パウロが「認めなさい。」と厳しく書き記したのは、異言や預言、そして啓示が神さまから出た言葉であり、自分から出た言葉であるように誇ってはならないと戒めるためでした。
一方で、パウロは教会の婦人たちに向かって、「婦人たちは、教会では黙っていなさい。語ることは許されていません。何かあったら、家で自分の夫に聞きなさい。」と、これまた厳しい口調で書き記しました。これは、異言や預言、また啓示を語ることを誇る者たちに対して、父権制社会にある女性たちが、教会の場で語ることを自重し、家で自分の夫に聞いている姿を思い起こさせ、他人に誇るような言葉を語る以前に、神さまから聴くべき言葉があるのではないか、そう諭しているのではないでしょうか。