肩峰下滑液包炎

2015年02月18日 | 治療の話

右肩が痛くて腕が上げられなくなってしまったAさん。

1か月ほど前から肩が痛みだし、ここ数日でとうとう腕が上がらなくなったとのこと。

今現在、どの程度挙げられるのか見せていただくと、痛みのある右肩は水平をやや超える程度

110度ほどのところで止まってしまいます。

右肩を触察すると若干熱を持ち、いくぶん膨れています。

肩峰の下、三角筋を押すと上腕骨との間に水袋のような弾力を感じることから

三角筋の下にある肩峰下滑液包というところに水がたまっていることがわかります。

図版引用 「公益社団法人 日本整形外科学会HP」より

肩に限らず滑液包を腫らすと結構痛いんですよね(*_*;

『Aさんよく我慢したなぁ(*_*;』などと感心しつつ、 

確認のために、腕を90度ほどまで開いたところでもう一度押してみます。

すると今度は「あれ?そんなに痛まない(。´・ω・)?」とおっしゃるAさん。

このテスト、ダウバーンテストという「肩峰下滑液包炎」の検査なんです。

つまり、Aさんの肩の痛みは「肩峰下滑液包」の炎症だろうということでほぼ確定。

その他の客観的所見を確認し、治療開始です。

患部はまだ急性期にあるので、治療は患部の炎症を考慮して行います。

何をしたか、ざらっと書いてみます。

先ず滑液包の下にある棘上筋の痙攣を鎮め(PRT)、

上腕骨と肩甲骨を収まり悪くずらしている棘下筋や小円筋をストレッチ(筋膜リリース他)したところで

140度まで腕があげられるようになりました。

この変化から私は、Aさんの肩の炎症は思ったより軽いようだと考えました。

なぜか?

滑液包には知覚神経がみっちりつながっていますので、

本来ここがしっかり腫れるとめっぽう痛いわけです。

ちょっと逃がしどころを作った程度じゃそうそう痛みも引きませんし、可動域も広がりません。

なのにAさんのケースでは、逃がしどころを作ったら痛みの減少と可動域の回復がみられているわけです。

そこから、『炎症も水腫もあるけどまだ軽い』と考えたわけなんです。

仮にしっかりと出来上がっていた場合は奥の手として「鍼」を使います。

中に溜まった水を散らしてあげるんです。

すると腫れている滑液包もしぼむので、関節に挟まれても暖簾に腕押し。

グッと痛みが小さくなって、動きも取り戻せるようになるんです。

こうした処置って、どこの滑液包でも、関節を包む関節包でも共通で、

私にとって唯一鍼じゃなきゃ出来ない処置なんですが…

話が逸れてるな…(-_-;)

 

ま、それはそれとしてですね…(^^;)

Aさんの肩にみられる変化から、急性期ではあるけども、

傷は浅いなということがわかったということです。

ということで、その後に肩を取り巻く筋膜の緊張をもう少し取る意味で左の仙腸関節の緊張を緩め、

腕の運動の支点となる第2・3胸椎間の動きの悪さを解消すると、

Aさんの腕は170度まで上がるようになりました。

後はテーピングで肩のズレを補正して、

アイシングの方法とセルフケアエクササイズ(棘下筋・小円筋のテニスボールマッサージ)を

お伝えして初回の治療は終了です。

次回、状態が良ければ肩のインナーマッスルの強化に移る予定です。

 

Aさん、油断しないでセルフケア(アイシング・テニスボールマッサージ)頑張りましょうね!(´・ω・)

=終わり= 

 


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