治療には旬がある!?

2013年03月27日 | 治療の話

「痛み」という相談は一律な方法では対処できない

って言ったら皆さんはどう思われるでしょう!?

実は、「痛み」への治療には「旬」があるんです。

おなじ「痛み」という表現を使っていても、

炎症が活発に起きているために痛いのと、

疲労して強張った筋肉が循環障害を生じて痛いのとでは、

その対処は正反対になるんです。

痛む箇所が炎症している時にグイグイ揉んだり伸ばしたりすると、

治るどころか腫れがひどくなってしまうでしょう!?

そんな時には安静にして、腫れが広がらないようにアイシングをするわけです。

組織の傷を治すのは治療家ではなくカラダ自身の能力なんですね。

この時期はカラダの仕事を邪魔しないことが重要です。

 

逆に、炎症が治まって強張りに転じた時にまで安静にしていたら

強張りは解かれるタイミングを逸してしまうでしょう。

この時期になってきたら私たち治療家の出番です。

 

ね、痛みの治療には旬があるでしょう!?

 

と、今日はそんなお話でした。

 

では。


ランニング障害の克服

2013年03月20日 | 治療の話

日ごと温かくなり(ちょっと急ですけども…)

桜の蕾もほころび、

連日突風も吹きすさび、

その風に乗せて杉の木たちが盛んに花粉をまき散らし

私の眼や鼻、のどに愛をささやく…

そんな迷惑な 季節になりました。

 

個人的には外出どころか窓すら開けたくない感じの毎日ですが、

ランナーの皆さんは花粉の猛烈なアタックにも負けず、

日々トレーニングに励んでいらっしゃる。

 

すごすぎ…

 

はい、脱線もこの辺にして本題。

昨年末から引き続きランナーの皆様からの依頼が多いので、

今日は私なりの

「ランニング障害からの回復期のガイドライン」

についてお話します。

 

はじめに、

痛みが強く炎症なども伴っている時期には、

思い切って休むことから始めましょう。

急性期の対処として安静・アイシング等の実施をし、

損傷部位の回復に努めることが第一です。

強い腫れも通常3~6日アイシングしつつ安静にしていれば落ち着くものです。

この時に無理をして小出しに動くと故障も話もこじれてしまいますのでご注意を。

 

急性期を過ぎたらリハビリ開始です。

まずは異常運動の解除・修正を行います。

私の治療では下の動画のエクササイズから始めていただくことが多いです。

このエクササイズも実施の際に痛みがあるならNGです。



他にも手はありますが、諸々の手を打ちつつ、

先ずはフルスクワットとランジを崩れずにできることを目指します。

 

そして、 

下肢の動きが崩れなくなってきたら、ランニングを再開。

ただし障害部位に運動強度を合わせることが大切です。

 

回復期のトレーニングは以下の手順を順守するようお願いしています。

 

走っていて障害部位に違和感が生じたら足を止め、

修正エクササイズを実施し症状の消失が認められるか確認します。

 

症状が消失するならランニングを再開しましょう。

また違和感が出たら同じ手順を繰り返します。

 

ちなみに、エクササイズ実施の基準は「張り」や「だるさ」といった「違和感」であって

「痛み」ではないことにご注意を。

 

RUN⇔エクササイズを繰り返し、エクササイズ後も「違和感」が消えないときには

その日のランニングは終了です。

 

可能な限りスタートからエクササイズごとの距離と、総走行距離を記録しましょう。

 

徐々に痛み無く走れる距離が延びる場合は順調に回復していることが分かります。

 

距離が短くなる場合は運動の頻度を減らす必要がある可能性があります。

 

とは言え、その日の体調で距離は増減しますので、距離の増減に一喜一憂しない方が良いでしょう。

のんびり構えて、あまり神経質にならない事。

 

ランニングを再開いした当初、

腱や靭帯位の故障を負ったケースでは練習の間隔を中2日は空けるよう指示しています。

腱や靭帯は筋と違って運動刺激からの回復も遅い組織ですので、

回復にも時間を掛けるのだと考えて下さい。

その間もセルフエクササイズは、痛みの悪化がなく

腫れなどの急性期の症状がないことを条件に毎日続けてもらいます。

 

念のため付け加えると、

痛みがなくなったから今まで通りの練習をこなそうとするのは間違いのもとです。

 

たとえ運動量を(故障前より)軽めにしたとしても、

「患部の耐えうる運動強度」を無視して決めた距離を走るのは再発のリスクを伴います。

患部は痛みが癒えても以前のような強度がないのです。

病み上がりの患部にあった運動強度でトレーニングを重ねないと、

すぐにオーバートレーニングを生じ、再発の憂き目にあってしまうのです。

ですので、「違和感」という患部の声に耳を傾けることが大切なのです。

急がず丁寧に、患部を鍛えてあげましょう。

 

ただ、トレーニング全てを患部に沿った運動量に抑えると、

元気な部分の体力も衰えてしまいます。

 

そんな時こそ「走る」以外のトレーニングの出番です。

 

体幹と股関節の動的平衡機能を高めたり、

全体の協調性を高めたりと、

身体運動の効率化、つまり神経系による「調整力:コーディネーション」

という能力を高めるということに時間を割くのです。

 

元気な時にはなかなか時間を割けない分野でしょうから、

ここでじっくりと取り組めば、「故障」というアクシデントを

プラスの出来事に転化できるでしょう!?

 

具体的にはどんなことをするのか、

言葉ではつかみ辛いと思いますので下の動画をご参照ください。

ランナーの相談ではありませんが、

「体幹と股関節の動的平衡機能を高めたり、

全体の協調性を高めたり」

のイメージは付くと思います。


と、こんな感じです。

怪我を乗り越え、更なる高みへ!

頑張りましょう(^-^)


そろそろ「寝違い」の季節ですね その2

2013年03月19日 | 治療の話

前回から大分間が空いてしまいましたが、引き続き「寝違い」を語ってみようと思います。

タイトルも「そろそろ」ではなく「もう」寝違いの季節

ですね…

いや、すみません。

 

さて、

前回は、

異常な姿勢から「過労」に追い込まれた筋肉が、

ふとした拍子で痙攣し、首が回らなくなった状況が「寝違い」とお考えください。

という所まででした。

今日は、この続きからですね。

 

今日は「筋痙攣:きんけいれん」についてもう少し掘り下げて説明します。

 

筋痙攣の立役者に「筋紡錘」というセンサーがあります。

筋紡錘は「自分の動きを認識する」ためのセンサーとして筋肉に散りばめられています。

しかし、筋紡錘はもう一つの働きを持っています。

それは、

「急に引っ張られて筋肉が傷つけられないように、引き延ばされた筋肉をオートマチックに縮ませる」

といった防御装置としての働きです。

これは脊髄反射といって脳まで連絡をやり取りしない反応なので

無意識で素早く強い反応となります。

 

猫背で顎を突き出した「頭位前方姿勢」や、

顎を引いて胸から首までを真っ直ぐにした「ストレートネック」のような

無理な姿勢では、肩と首(そして頭)をつなぐ筋肉に散りばめられた警報装置達は

いつでも「緊急事態」の警報を出せるよう、その感度をグッと高めてしまいます。

そうした「準備」が整っている状況で、不意に姿勢を変えようとしたとき、

運が悪いとこの警報が一斉に鳴りだし、「筋肉を守れ!!!」と反射的に縮みこんでしまうのです。

寝違いを起こすとき、多くのケースではギックリ腰と同様に『アッ!?来た!!』と兆候が見られます。

この『アッ!?来た!!』が筋肉の痙攣した瞬間です。

この瞬間に無理に動くのはNGです。

選択を誤ると立派な「寝違い」のでき上がりです。

『アッ!?来た!!』となったら元の姿勢にいったん戻すこと、これが重要。

そして一呼吸おいて、ゆっくりと頭を戻してゆきます。

これはギックリ腰も同様です。

 

くり返しになりますが、

「筋紡錘」は引き延ばされることで反応しますので、

『アッ!?来た!!』となった時に、ゆっくりと元の姿勢に戻し、

しばらくそぉ~っと休ませてあげると、

大きな痙攣を起こさずにやり過ごすことが出来るのです。

パニックを起こしそうになった筋紡錘をなだめてあげる

といったニュアンスです。

この時、攣れた筋肉を更に伸ばそうとすると、

痙攣を起こした筋肉がより強く縮みこもうとしてしまい、

立派な「寝違い」のでき上がりとなってしまうということです。

逆に、筋紡錘を「たわめて」あげると、この「緊急事態だ!筋肉を縮めろ!!!!」という悲鳴にも似た警報は静まります。

筋紡錘も(そこに付着している神経も)生き物ですから、

カッカと興奮している状態からお休みさせてすぐに落ち着くわけではありません。

しばらくの間(90秒ほどが目安)お休みさせてあげると

過敏になった筋紡錘の感度はおおむね正常に戻ってくれます。(「戻る事がある」といった方が正しいかもしれませんが…)

ここまで来た時に、そろりそろりと頭の位置を変えてあげれば「痙攣」を避けることが出来るのです。

 

さて、やっぱり長くなってしまいましたね。

でも、あともう少しお付き合いください。

 

この時期、駆け込んでいらっしゃるのはだいたい花粉症の

「なで肩の華奢なお嬢さん」か「背を丸め、顎を突き出した社長さん」です。

 

なぜこうした方に寝違いが多く起こるのか?考えてみましょう。

花粉症以外の共通項は何でしょうか?

それはデスクワークです。

 

さあ、ここまで来るとピンときたかたもいらっしゃるでしょう。

 

つまり私の考えはこうです。

 

スタート:普段からデスクワークが多く姿勢が崩れている。

→その無理な姿勢のせいで首筋は慢性的に疲労困憊している。

→年度末に向けデスクワークが増える。

→首筋の慢性疲労が悪化する。

花粉が飛び鼻をすすりくしゃみをする。(ここがミソです!!!)

→首筋の筋肉は呼吸の補助をしていますので、首筋の疲労が限界に達する。

→長く続けた姿勢から、次の姿勢に移る際に、疲労困憊した筋肉が引き延ばされる。

→「寝違え」る。

 

ね、繋がったでしょ!?

では、どうするのか?

花粉症はDrにご相談いただくとして、私が言えることと言えば

1、長時間同じ姿勢を取らない

30分に一度は席を立ってストレッチ!過労に追い込ず、溜まった疲れを後に残さない工夫をするということです。

 

2、不良姿勢を改善する

これは自分でもできます。

が…

説明するのも大変なので、後日動画にまとめて挙げますね。

しばしお待ちを!

 

3、睡眠時間を長めにとる

アレルギー反応は免疫細胞が過剰に反応している状況です。

寝不足や過労などで交感神経が敏感になっていると

一部の免疫細胞も反応が過敏になってしまいますので、

アレルギーによる症状は強くなります。

なので、しっかりと寝ましょう。

 

といったところです。

では、いつやるか…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はい、ここは笑うところです。

 

 

そして、もう一つ。

4、プロに頼む

 ご来院、お待ち申し上げます。

 

 

 

では、いつ行きますか?

 

今でしょう!

 

とか言いつつ、

このところ予約が混んでいてなかなかすぐにお受けできないのが現状なのですが…

 

 

ああ、尻すぼみな記事になってしまった…

 


股関節痛について講義をしてきます

2013年03月14日 | セミナー/講習会

今月24日に大阪で、来月21日は東京で、

股関節の痛みについて講義をします。

股関節ってとても頑丈な作りになっているのですが、

それでも周囲の筋のアンバランスから関節がガタツキだし、

周辺の関節構造を傷つけて痛みにつながって行くっことがあるんです。

 

疾患名を挙げると「弾発股」や「グロインペイン」、そしてそれらが高じて

関節が退行変性(変形)してゆくと「変形性股関節症」といったところ。

 

それらへの対処についてお話(というか実技講習が主だけど…)してきます。

 

<!-- 股関節痛の徒手的臨床告知動画 -->

<編集後記>

先日から徒手医療協会の会員特典としての今まで行ってきた講義の模様を

編集していたところ、

股関節痛の講義でも紹介する予定の技法が上手いこと見つかったので、

股関節痛の回のコマーシャルとして編集してみました。

テーマは「ちらリズム」です(笑)

いや、いままで全部見せてきたものですから、

某役員から「見せすぎ!」とおしかりを受けた物で…

 

こうした技法も、DVDや書籍(ん~冊子がせいぜいでしょうけど)にまとめて紹介してゆきたいと思います。

…臨床の合間の作業ですので、大分後になりそうですが。。


【参加者の声】筋膜連鎖を応用した姿勢と動作分析(4)側屈運動の評価

2013年03月03日 | セミナー/講習会

日頃より当ブログをご愛読くださりありがとうございます。
一般社団法人徒手医療協会事務局からご案内いたします。

2013年2月24日(日)での講習会には多くの方にご参加いただきありがとうございました。
参加者みなさまの熱意でたいへん有意義な会とすることができました。

みなさまからいただいた当日の感想の一部をご紹介いたします。

講習会タイトル:筋膜連鎖を応用した姿勢と動作分析(4)側屈運動の評価

感想:

・実技演習後に体が変わっていることが実感できた

・施術側としても効果を実感できた・手ごたえがあった

・しっかりとした変化を感じた・理論が分りやすく、変化が実感しやすかった

・変化が出る部分と、やや残る部分があり、評価の大切さがわかった

・動作分析についていろいろ勉強できた

・評価の重要性がわかった・評価の大切さを実感できた

・反射を応用したものは誰が施術しても同じ結果が出るとわかった

・分りやすく使い勝手のよい手技ばかりだった

・実技の切れがよかった

・誰でも簡単にできる


・臨床で活用できる・現場ですぐに使えそう

・自分で臨床を組み立てて、評価・実践していくためのきっかけになった

・翌日より評価・治療に利用することができる

・実技の受け手になることで、自分の身体で施術がクライアントにどのように伝わるのかがよく分り学びも大きい

・足部のアプローチで制限の軽減が見られ印象に残った

・慣れ、触知力の重要性がわかった

・楽しかった

このほかにも貴重なご意見、ご感想をいただきありがとうございました。

今後も、手技療法の可能性を追求し患者様・クライアントへの還元を第一に実践を共有してまいります。

講習会情報:http://wwwa.dcns.ne.jp/~mma

今後とも徒手医療協会をよろしくお願いいたします。
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一般社団法人徒手医療協会事務局

 

 


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