小品日録

ふと目にした光景(写真)や短篇などの「小品」を気の向くままに。

武田百合子 「雛祭りの頃」

2006-03-01 23:46:16 | 随筆・エッセイ
作者が子どもの時、2月も終わりに近づくと、おばあさんが3組のお雛様を飾ってくれた。
一つは自分のもので、他の二つは、死んだ母と姉のものだという。
短い文章の中で、雛人形を軸に家族の歴史や関係が浮かび上がってきます。
雛祭りの頃にきまって風邪をひく作者は、お雛様の飾られた離れに寝かせられますが、食事に出される干し杏の含め煮を食べるところが実に美味しそうに描かれています。
また、幼い作者は、お雛様が天井裏にしまわれていると思いこんでいて、その人形たちの妖しい様子を想像していたということですが、同感される方も多いのではないでしょうか。
ちくま文庫『ことばの食卓』で、7ページ。
ことばの食卓

筑摩書房

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