はじめに、筆者の記憶から、涼しさの思い出が拾い出されて語られます。
宿屋の二階から見下ろした夜の中庭の木々のしずくに映る灯火、炎天下の舟遊びの後に食した冷たい豆腐、葦簾張りの店で食べた熱いぜんざい(ホントでしょうか?)・・・
次に、気象の話として、ずっと昔(昭和8年からみても昔!)に行われた調査によれば、東京の夏は、夕凪の時間が長い他の地方に比べて、夕風の涼しさに恵まれているということが書かれていて、意外の感に打たれました。
これは、汐溜の高層ビルができて、状況が変わってしまったんでしょうね。
そして、「涼しさは暑さとつめたさとが適当なる時間的空間的週期をもって交代する時に生ずる感覚である」と定義しているのも、科学者らしいです。
後の方では、「涼しい顔」の話にもなって、百貨店の食堂で、他人の食い残した席に悠然と座り込んで残りを食べて笑顔で帰っていくという人の話が可笑しいです。
岩波文庫『寺田寅彦随筆集 第四巻』で、7ページ。
宿屋の二階から見下ろした夜の中庭の木々のしずくに映る灯火、炎天下の舟遊びの後に食した冷たい豆腐、葦簾張りの店で食べた熱いぜんざい(ホントでしょうか?)・・・
次に、気象の話として、ずっと昔(昭和8年からみても昔!)に行われた調査によれば、東京の夏は、夕凪の時間が長い他の地方に比べて、夕風の涼しさに恵まれているということが書かれていて、意外の感に打たれました。
これは、汐溜の高層ビルができて、状況が変わってしまったんでしょうね。
そして、「涼しさは暑さとつめたさとが適当なる時間的空間的週期をもって交代する時に生ずる感覚である」と定義しているのも、科学者らしいです。
後の方では、「涼しい顔」の話にもなって、百貨店の食堂で、他人の食い残した席に悠然と座り込んで残りを食べて笑顔で帰っていくという人の話が可笑しいです。
岩波文庫『寺田寅彦随筆集 第四巻』で、7ページ。
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