小品日録

ふと目にした光景(写真)や短篇などの「小品」を気の向くままに。

武田百合子 「富士日記」(昭和43年3月25日)

2006-03-25 23:58:34 | 日記文学
夫である武田泰淳や娘の花子との富士山麓での生活を綴った日記で、愛読者も多いようですね。
一日一日の日記には、特別なことが書かれているわけではないのですが、しっかりとした暮らしぶりや、著者の天真爛漫ともいえる感情の発露、感受性の豊かさなどが表れていて、読むごとに味わい深いです。
この日は、朝・昼・晩の食事のメニューや、スチームバスに入ったこと、雪のことなどが書かれているのですが、テレビでの天気の伝え方に対する批評や、夫の発言に対するちょっとしたツッコミ的な記述が面白いです。
雪で買出しに行けないのを心配してキャベツの芯まで薄く切って使ったり、段ボールの箱を壊して雪落としに転用したりと、生活感あふれる細部も楽しめます。
中公文庫で三巻本。
富士日記〈中〉

中央公論社

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