小品日録

ふと目にした光景(写真)や短篇などの「小品」を気の向くままに。

武田百合子 「富士日記」(昭和41年12月27日)

2006-12-27 23:59:59 | 日記文学
この日の「富士日記」は、とても長くて、文庫本で9ページにもなります。

道路管理事務所で会った、「顔見知りだが名前は知らない人」(周囲から敬遠されている)とのやりとりに、著者のはっきりとした性格が出ていて面白いです。
その人に、「ねえ、奥様、この暮れか正月には招ばれたい。行ってもいいですか」と言われると、
「うちはきてもらいたい人を招ぶの。来てもらいたい人は、こっちが決めて、こっちが招ぶの。招ばれなかったら、きてもらいたくないか、用事がないかだね」とピシャリ。
続いて、「私のところでは男前でなくては招びません」などとも。

これとは対照的に、スタンドのおじさんは、とても気の合う人で、その人柄がわかるエピソードが、温かな目を通して描かれています。
おじさん、ホントにいい人だなあ。

中公文庫「富士日記(中)」で、どうぞ。

富士日記〈中〉

中央公論社

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