創発企業経営

起業13年目の会社の経営、事業報告

創発企業経営 (16)

2012年08月13日 | 経営
楽天の創業時の戦略
 
楽天創業の 1997年、米国で amazon.com の累積顧客数は150万に達しました。 売上は前年の$15.7 million から $147.8 million (838% 増) に急伸しました。
当時のamazon のサイトの訪問数は、米国でトップ20位でしたから、既にこの時点で米国にはインターネットショッピングは定着していたといえます。
 
この当時、三木谷氏は米国での留学経験等により、インターネット経由でモノを購入するという流れは確実に日本にやってくると確信していたことでしょう。
 
ショッピングモールの発展は、時代のトレンドであり間違いなく日本にもやってくる。 この当時インターネットの世界では クリティカルマス(臨界量) といわれる多数を握ったものが勝利するといわれており、楽天も出店者数とユーザ数で突き抜けたショッピングモールが全てを握るとの戦略のもと、店舗数の拡大を進めます。 このクリティカルマスという考え方は当時良く知られていたことです。
 
では、楽天の成功要因は何でしょうか?
 
三木谷氏は、「インターネット上に出店者やユーザーが使いやすいと感じる"仕組み"さえ構築すれば、絶対に成功」し、「出店者の店舗に魅力的なコンテンツが集まればショップへの来客数が増加し、来客数が増加すれば問い合わせや売り上げ、収益が増加する」という考えます。  一般には、これが楽天の成功要因であるとされ、三木谷氏本人もそのように語っているようですが、本当に楽天のサイトが「使いやすい」から集客できたと言えるでしょうか?
 
2012/8/3 日経電子版「アマゾンの引き立て役になりかねない楽天コボ」に以下のような記事がありました。
 
米アマゾン・ドット・コムが1995年にインターネット上の書店としてサービスを開始したとき、まず人々をとらえたのがその使いやすさだった。もっと分解すると、ウェブサイトの各ページの設計、ブラウジングによる本のショッピングのしやすさ、検索による本のみつけやすさ、各書籍の各種情報の充実度、商品の価格と購入決済のしやすさなどなど、多くの要素で構成される使いやすさだ。ウェブ上の店に来店した瞬間から、本を買って届くまでの一連の体験全体、つまりUX(User Experience)が優れていた。同社が創業以来何年も債務超過を続けているあいだも株式市場が見捨てず一定の時価総額を維持させ続けたのは、投資家や投資銀行のアナリストが実際に使ってみて直感的にサービスの競争力の強さを感じていたからに違いない。
 
アマゾンのサイトを洗練された百貨店とすると楽天のサイトは、検索し難い、建て増しの雑居ビルのように感じます。
 
では他に成功要因があるとすると..
「楽天の開業当時の出店数は13店舗。 その後1か月に4, 5店の出店者を獲得するのがやっとだったそうです。 しかし、創業1年後に出店数が100を超え、これを境に出店者数が急増し始めた... 」といいます。
 
最大の成功要因は創業後の1年間を地道に営業努力を重ねたことだと思います。 その後の楽天の強さも実際のところは営業力であり、それは開業当初、飛び込み営業の門前払いを防ぐために走ったり、腕立て伏せをしてから営業先に飛び込むという「つまらない(けれど重要な)」方法であったと思います。
 
一生懸命頑張っている営業マンを、簡単に門前払いできる人は少ない - 差別化とは微差力だと思います。
 


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