現在この世に創発経営という方法論がある訳ではありません。 現在進行形で経営理論を作りながら、実際の事業に応用する方法論を模索しています。
そのために過去にあった創発的といえる経営者や企業活動の例を学ぶことは有益であろうと思います。 そうした例を幾つか挙げてみます。
ケース1 楽天の創業時の戦略
以下、三木谷浩志著 「成功のコンセプト」からの引用です。
この本が書かれた2007年は、楽天の出店者は20000店。 流通総額は1兆円。 インターネット企業としては世界6位の規模になったと述べています。 しかし1997年の時点、開業当時の出店数は13店舗。 1か月に4, 5店の出店者を獲得するのがやっとだったそうです。
当時、三木谷氏は楽天の出店料を当時としては格安の月5万円に設定しました。 当時、三木谷氏はインターネットの世界では、出店者数とユーザ数で突き抜けたショッピングモールが全てを握ることになるとの戦略のもと、店舗数の拡大に突き進みました。
三木谷氏はこの出店料の大幅値引を 「僕の予想した "未来へのビジョン" 通りに世の中が動き、インターネットショッピングが日本で普及して初めて成り立つ戦術だった」と述べています。
そして、「10年後の世界を想像しながら現在のビジネス全体の戦略を立てることはスキーをすることに似ている」といいます。
「スキーに喩えれば、目的地の遠くの森を眺めてコースを決めると同時に、足元のスロープ状態はいつも正確に把握しておかなければいけない。つまり、足元に現れる予測不能のコブやアイスバーンを上手に乗り越えていかなければ、どんなに遠くまで見通す鋭い目を持っていても目標である森に到達することはできない。 同時に遠くの景色を眺めていなければ、いくら足元のコブを上手に滑ってもやはり森に到達することはできない。」
そうして毎日営業努力を続けるうち、創業1年後に出店数が100を超え、これを境に出店者数が急増し始めました。
久しぶりにブログを楽しく読ませていただき、またはじめてコメントさせていただきます。三木谷さんのお話、とても分かりやすい話ですね。神田昌典氏の本にもよく同様の指摘がみうけられますよね。先日LikedInの創業者と対談していたVIDEOをみましたが、やはりとてもわかりやすい話をしていたように思います、まあいろんな意見もでるのでしょうけど。思い出したのですが、私の大学時代のメンターで後々ポール・ナースという英国のノーベル医学生理学賞とった人の下でも働いていたりもしたすこぶる優秀な先輩がいたのですが、この人が師匠を選ぶときの選択基準は、国内外問わず‘難しいことを簡単に説明できる人‘でした。
福沢諭吉は「こういう人は本当は馬鹿で、本当の利口者は、難しいことをやさしく表現する人間のことだ」と言っているそうです。 共通するところがありますね。