良質の経営者は、組織のミッションを実現する媒体に徹することができる。 そこにはエゴがない - 以下はその実例です。
「会社の目的とはいったい何だろうか」
私は改めて考えざるを得ませんでした。 しばらくの間、悩み続けた結果、私は会社経営の真の目的は、エンジニアである私の夢を実現することではなく、従業員とその家族の生活を守っていくことだと気付かされたのです。
その時から、私は「稲盛和夫の技術を世に問う」という当初の目的を捨て去り、京セラの経営理念を「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること」 と定めました。
このように経営の目的を明確にした瞬間から私には何をするにも迷いがなくなり、みんなのためにいかなる苦労もいとわないという、新たな決意が湧いてくるのを感じました。
それ以来、私はいい加減な仕事をしている従業員を見つけると、「あなたを含めた全従業員の幸福のために会社はあるのだから、みんなで一生懸命に働かなければならない」 と叱るようになりました。
稲盛和夫著 「高収益企業の作り方」日本経済新聞社 17-18pp
稲盛和夫氏は、京セラ創業のみならず、当時独占企業であったNTTに対抗するKDDIを設立した戦後日本の名経営者でもあります。 なぜそんな大きな仕事ができたのか? ここにその答えがあると思います。